第5話 残念無念だけど勇者に譲って良かったかも?

 マックスが原作でニーナを捕らえた経緯は書かれていない、その後、クッコロ状態の彼女を魅惑スキルで堕として、自分の性欲の対象にしていく過程がこれでもかと書かれているだけである。まして、魔族が多くの部族に別れていること、それが相互に対立、抗争をくりかえしていること、今の魔王は久しぶりに飛び抜けた力を持った魔族で、力でほぼ魔界を統一している、中には内心は嫌だが力の差からやむを得ず、膝を屈して、従属し、命令を聞いているだけで、チャンスがあれば独立したいと考えている部族もある、ニーナの部族もそうだということは全く記憶がない。


 彼女の奮闘は、戦い破れ屈服とている同族の保身のためという面もあった。

「どうだ、我々と協力して今の魔王を倒さないか?その後は、勇者様を介して人間と攻守同盟を結ばないか?」

とマックスが切り出すと、前半の部分で目を輝かせた。"おい、後半もよく聞け。"とマックスが苦り切った表情を見せたところ、

「マックスの言うように、永遠に戦いの繰り返しなんていうのは悲しいじゃないか。共存の道を探ろうじゃないか。僕も協力する、全力で。だから君も協力してくれ!」

と勇者が乱入して、彼女の手を握り締め、本気モードオーラ全開で、目をキラキラさせて彼女を見た。

「ゆ、勇者様が・・・そこまでいうのなら・・・。しんじてもいいかも・・・信じようと思う。」

と真っ赤な顔になって、か細い声で答えた。

"恋する乙女の顔だな~。鈍い勇者のために、恋のキューピットしてやるか・・・。あ、3人が睨んでいるー。そっちの説明は勇者にやらせるか。"とマックスと心の中でため息をついた。


 その夜は艶めかしい声が聞こえ、翌日魔正騎士ニーナは、勇者チームのメンバーとなった。


 その翌日から、彼女は八面六臂の大活躍を始めた。

 魔王軍と戦うことには、ためらいは全くなかった。確かに、捕まる前に魔王軍の先頭に立って勇戦していたのは、そのことで自分達の部族の立場をよくしようとしてのことだったからだ。魔王の属する部族などには、恨みしかないのである。そいつらを殺せるならと、嬉々としているほどだ。

 さらに、自分の部族の魔族を見つけると帰順を働きかけた。そのうち、彼女の部族の幹部にまで接触できた。情報は入るため戦いに有利になる、それどころか、勇者チームに加わる者達もでた。最終的には、同盟軍として加わってきた。彼女には、感謝、感謝といった思うマックスは、彼女が自分の女であった原作ではそのような記述はない、彼女の体を弄んだことしか記述はないから、確信はしていなかった。重要ではないから記述されなかったというより、"原作の俺は好色な目でしか、彼女をみていなかったという事なんだな。う~ん。やっぱり勇者の妻になってよかったんだろうな。"と思おうとしたマックスだったが、

「あれ、俺って寝取られた、俺は寝取られされた?」

と思いついた。寝取られ物では、結局、寝取られた女達は村一番の美人程度であり、主人公ははるかに美人な恋人達を得る、それを自覚するという場合もある。そうでない場合もある。彼女らは、間違いなく後者だった、マックスにとっては。

「でも、アルバート、勇者が寝取ったというには・・・。ニーナは、勇者に惚れたからこれだけの活躍をしてくれたわけだから・・・。これでよかったんだよな。」

と思うことにしたマックスだった。

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