第4話 女魔剣士を勇者にあげました

 原作では、勇者の力を得たマックスが魔王を倒すことになっている。しかし、屑で最後はざまあされ、悲惨な末路のマックスの英雄?談などは、ほとんど語られない。それは当然である。主人公はアルバートであるから、その間は彼の新たな力の覚醒と獣耳超絶美少女達との出会い、冒険が語られるのである。


 だから、あの夜、アルバートの部屋から悩ましい声を聞き、

「あ~ん」

だとか、

「だめ~ん。」

とか、

「いいー。」

とかいう声だった。原作では、彼女達はマックスに言う言葉を、勇者アルバートに抱かれて口に出すのである。"涎をながしながら・・・最後は、幸せそうにぐつたりとして・・・。"原作で描かれる自分との痴態を思い浮かべて、妄想して、マックスは少々寝不足だった。

 翌日、少し恥ずかしそうな、それでいて、大人になった…感じる4人を見て、複雑な思いを抱きながらも、顔では笑い、暖かい?揶揄いの言葉を投げかけたマックスは、その翌日出発した魔女討伐の旅がどのようになるかの知識はなかった。


 勇者のことは・・・心配する必要はなかった。愛する者達を得たということで、守る相手というかができたということか、とにかく今までも、勇者は凄いなと思っていたが、魔界に入ってからの勇者の凄さ、その比ではなかった。勇者のハーレム3人娘も勇者に続けとばかりばかりに大活躍。大進撃だった。

「賢者様の言う通りでしたね。」

とチームではマックスの評価がまた上がってしまった。

「だけどよ、やっぱり・・・色恋は戦いには・・・。」

と言うのが一人。"お前が言うな。その赤髪の騎士お姉さんとつきあっているじゃないか。"とマックスは口には出さず呆れていたが。


 そのマックスが、何度目かの魔族、魔王軍との戦いで、それは副魔王が率いていた、女魔族騎士を助けようとして、

「どうしてだい?彼女は、僕たちを殺そうとしていたんだよ?ま、まさか…とは思うけど…。」

とアルバートに言われ、

「美人だから?マックス、最低!」

と女達に罵られて、

「ちょっと、気になることがあるんだ。捕虜にして、魔族のことを訊きたいんだよ。俺達、魔族のことを知らなすぎると思わないか?彼らだって、家族もいるし、身分や制度もあるだろうけど、ほとんど知らないじゃないか?魔王を倒した後、もしかしたら、共存できるかもしれないじゃないか?そのために、彼らのことを知っておいた方がいいと思うんだ。」

と力説したものの、実は彼女は魔王討伐の過程でマックスが気に入り、魅惑してハーレムにいれた女魔族なのである。自分の女?だったので、少し情が移った、それだけのことだったのだ。

 チームの皆は、不満そうな顔だった。誰も死ななかったものの、苦しい戦いで、流石に副魔王とそれが率いる精鋭であり、かなり手強かった。後方を、或いは本陣を奇襲のように襲撃して、すかさず退却を繰り返して魔王軍を翻弄してきた勇者のチームだったが、見事に、副魔王と精鋭の親衛隊の少数精鋭部隊に捕捉されたのだ。事前に察知して準備することができたから、奇襲こそ受けなかったが、苦しい戦いとなり、かなりの深手を負ったメンバーもいる。そもそも魔族に親戚を殺された者も、知り合いにそういう者がいるものばかりだった。その上彼女は、ニーナという名だが、最後まで先頭で戦い、かなり目立っていたし、彼女に傷つけられたメンバーもいた。それをマックスが治癒魔法で直したのだから、流石に声を荒げて、彼を非難できる者がいなかったのが幸いだった。なかった


「流石、マックス、賢者だよ。そんなのこと、考えたこともないよ。」

と感動して、目がキラキラの勇者。俺は、詐欺師、嘘つき…。“と心臓が痛くなるマックスだった。


「こんな屈辱、我慢できない!ひと思いに殺せ!」

とクッコロ丸出しのかのだったが、勇者が優しく話しかけているうちに、次第に落ち着きを取り戻し、話し始めて…結果として、勇者アルバートに恋し、マックスが恋の橋渡しをすることになってしまった。金髪で、勝ち気そうでいて、かわいい、やや小柄な容姿抜群の美人、かつ、マックスの好みストライクだったのだが。

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