第3話 ざまあされる運命を変える
勇者アルバートは、突然勇者の力を失う。戸惑う彼の目に、幼馴染でもあり、もっとも信頼する、頼りになる仲間である、女剣士ヴェラ、魔導士エレン、聖女ポーラが賢者マックスに全裸で抱かれ、快感に喘いでいる姿を見せつけられる。マックスは、強奪と魅惑のスキルを持っていて、その力でアルバートの勇者の力と恋人を奪ったのである。マックスは、せせら笑ってアルバートをチームから追放する。勝ち船に乗るのが人の性(さが)、チームメンバーは、マックスに従い、アルバートに冷たい視線を向けるだけで、助けようとする者はいなかった。失意の中放浪するアルバートだが、新たな力を覚醒するとともに、聖獣の末裔である獣耳超絶美少女達と出会い、冒険者として新たに旅立つ。他方マックスは魔王を倒し、欲深な国王達と手を組み、魔族を壊滅させ、亜人を奴隷化しようとする。アルバートは、女魔王と出会い、提携し、彼女と超絶美少女達とマックスと人間の国王達に立ち向かう。その過程で、人間の王女も加わり、最終的に勝利し、マックス達、かつての恋人達も含む、にざまあ、復讐を果たし、人間の諸国を滅ぼし、味方について王女に人間達全ての統治をまかせ、魔族と亜人の共存する世界を作る。マックスの最後は、哀れを通り越して悲惨の一語に尽きるものである。以上は小説「全てをチャームと強奪で奪われたけど、獣耳超絶美少女達とざまあする」の内容である。
"俺は、その小説の世界に転生したらしい。記憶をもったまま転生したものの、はっきり理解するまでには、時間がかかった。ある程度成長してから、多分理解力、脳の発達が記憶に追い付いたのだろう。当然俺は、バッドエンド、悲惨な運命を回避したいと考えた。当然だよな。当然だよな。どうするかだ、問題は。結局、勇者を絶望に落として、その結果悲惨な運命に堕ちるのだから、勇者を助ければいい、という結論になった。原作には、どうして俺が賢者になるのか、勇者チームにいるのか分からない、記載がない。とにかく、そこそこの貴族の長男として生まれた俺は努力することにして、可能な限り品行方正に生きてきた。そのうち、賢者としての力が発動して、魔王の出現、脅威、それに対する勇者の認定の中で、勇者のチームに入ることになった。そこで俺は、強奪と魅惑のスキルを行使せず、勇者から勇者の力と女達を奪うことはしなかった。勇者を助けて、さらに本当に善良で、奥手な勇者にじりじりして、好み100%の女達を見ていて堪らなくなったので、恋のキューピット役まで引き受けてやった。このまま、勇者に助け、必要なら強奪と魅惑のスキルは、勇者を助けるために使うことにした。強奪はともかく、魅惑はどう使えるのかはわからないけれど。とにかく、このまま魔王を倒すことだよな。"
マックス・プランクは、その時点ではそう思っていた。そして、ほっと安心し、魔王討伐の旅に関心を奪われて、失意の勇者が3日後助ける一人目の獣耳超絶美少女のことに思いをはせなかったことに、後悔することになるのである。
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