第3話
心臓の音が時計の秒針の音と重なるように鳴り響く。
「た…橘…くん?」
カーテンの隙間から射し込む月明かりが、橘くんの真剣な表情を照らしだした。
(あ…きれい…)
その表情に見惚れて…
心臓が高鳴るのが顔に出ていたのかもしれない。
あるいはそのまま
声に出てしまっていたのかも…
「先輩、俺のこと好きでしょ?」
スーツの上着がパサッと乾いた音を立てて床に落ち、
私はそれを目で追った後
橘君と目を合わせるまでが
スローモーションに感じた。
気づいた時には
優しく抱きしめられた私の唇に
橘君の唇が重なっていた
私は一瞬見開いた瞳を
ゆっくりと閉じた。
後輩の橘くんが彼氏になったら。 @yuzunoka
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