第2話

「ダメだった?」の破壊力…やば


…じゃなくて、

ダメに決まってる。


泥酔した姿を見せた上、

家まで送らせたなんて…


穴があったら入りたい。


だいたい…

任せろと言った博美じゃなく

どうして橘君が私を介抱することになったの?

恐る恐るスマホのメッセージアプリを開くと、未開封メール1件。

博美だ。


(策士と呼んで♡お幸せに♡)


その一行を見た瞬間、

思考回路が停止した。


博美はわざとお酒を盛って私を泥酔させ、橘君が介抱する様に仕向けた…ということ?


まさかそんなベタな…

でも博美ならやり兼ねない…


スマホを投げ捨てるようにベッドの上に放り投げた私は、橘君に向き直って深々と頭を下げた。


「ごめん!橘君。あの…私だいぶ酔ってたみたいで…あの…部屋まで送ってくれたんだよね?」 


「許さないって言ったら?」


「え?」


橘君の怒った様な視線が私の瞳を捉えた。


「先輩は此処まで来た時の記憶、無いの?」


「え…っと…」


無い。なんて言ったら益々不快

な気分にさせそうで言葉を探した。


「あ…そうだね…あの、終電もうないし、タクシー代出すから待ってね。」


嫌われた…そう感じて涙を堪えながらカバンを探ろうとした私の手首を優しく掴んだ橘君は、

急に豹変した様に強い口調で言った。


「帰るつもり無いんだけど。」
















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