第6話

 そっと中を覗いてみると、絵を描いてるその姿があって、フェルディナントはホッとした。一番最初に湧いたのは安堵だったが、すぐに、ネーリの身体がそこにあることに、夢中で色を重ねているその後ろ姿に、愛しさがこみ上げて来る。


「ネーリ」


 驚かせないように静かに声を掛けて扉を鳴らすと、彼は気づいて振り返った。

 黄柱石の瞳が輝き、優しく微笑む。

 会えたことを喜ぶみたいに、嬉しそうに笑ってくれた。


「フレディー」


 額に、黄色がついている。


(お前が何者でも、どんな名前でも、

 何を抱えてても構わない。

 俺はお前が好きだ)




【終】 

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海に沈むジグラート14 七海ポルカ @reeeeeen13

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