最終話 旅行

【客室 ロフト】


 温泉を出た3人は部屋に戻り、そのまま部屋に備えられたロフトへと出た。3人分の椅子が用意されていたため、それに座り空を眺める。温泉で火照った体に、冷たい風が気持ち良い。


「綺麗な空ね〜」


 ルナが金髪を風でなびかせながら言う。


「だな。しかしまあ、綺麗な満天の星空だな〜オイ」


「ええ、空気が澄んでるのね」


 都会では見られない美しい空に、思わず息を呑む。


「星空は満天なのに、私は赤点なんだよね......」


「なのにってなんだよ、関係ないだろ」


 ルナが満点のツッコミを入れた。


「ふふっ。それにしても。こうやってみんなで旅行なんで初めてだったけど、悪くないわね」


「だな」


「ね! またこの4人で来ようね!」


「あと一人は誰なんだよ」


 サキがツッコむ。別に叙述トリックとかではなく、シンプルにしょうもない由香のボケだった。


「......ねぇ、体も冷えて来たし、もう一回ゲームコーナー行かない?」


 ルナが空を見上げたまま言う。


「おー! 行きたい行きたい!」


 由香がそれに楽しそうにこたえる。


「はぁ? さっき風呂入ったじゃねーかよ」


 サキだけが反対の声を上げる。


「また体を動かしたら汗で汚れるだろ」


「いいじゃん! すでにもう手を汚してるんだから!」


「なんの罪だよ」


「まあまあ、そんなの、もう一回入れば良いじゃないの」


 ルナが宥めるようにいう。


「そうそう!」


 由香もそれに同調した。


「うーん......」


 少し考えて、サキが答える。


「......まあ、そうだな」


「やったー!」


 由香が嬉しそうに声を上げた。


「じゃあ、次はビリヤードやりましょうよ」


「え? ファッキュー?」


「お前はゲームコーナーより耳鼻科行けよ」


 こうして、女子高生たちの旅行は滞りなく進んでいくのだった。

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格安の温泉旅行に参加した女子高生3人が色んな目に遭う話 me @me2

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