射精執行人ルリ(番外編 短編)


ホテルの一室───


一人の男が性交している。


相手の女性は豊満な胸ながら、くびれは細い美貌の女性だ。

歳はかなり若い。20歳くらいだろうか。


男は、黒い帽子を被っている。ボルサリーノだろうか。良い帽子だ。

だが、なぜセックス中に帽子を被っているのかは謎だ。

彼のポリシーなのだろうか。


彼はマフィアの親玉だ。

彼は豪快な手腕と緻密な計略を駆使し、ライバルを蹴落とし組織内の出世競争に勝ち、今の地位までのぼりつめた。

(マフィアもサラリーマンも変わらない。)

さらに彼はとても用心深い性格で知られ、片時も、家族と家にいる時でさえ、気を抜いたり油断することはなかった。

彼の眼光はかつての剣豪、宮本武蔵を思わせた。

だから彼にはどんな政敵も近づくことすらできなかったのである。


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彼はとても興奮していた。なぜなら彼が今性交している女性はとても美しかったからだ。

彼女の白く大きく柔らかな胸が揺れている。


射精感が込み上げてきた。それにつれて彼の突くスピードは上がっていった。


そしてついに、


彼は達した───。


そしてその瞬間、彼の頭と胴は切り離されていた。しかし彼の精液はまだ彼女の中に出され続けていた。


「どんなに用心深い男も射精の瞬間だけは隙が生まれる」それが女(ルリ)の暗殺理論であった。


事実、彼は死ぬ寸前まで彼女の肉体に視覚、聴覚、嗅覚、触覚、全ての神経を奪われていた。


彼は死の瞬間に際しても何にも気づかなかった。彼ほどの男が。


男という生き物は射精する瞬間、その瞬間だけは世界の全てを忘れるのである。


床に落ちた彼の顔に苦悶の色はなかった。


彼は殺されてしまったが、一切の苦痛なく逝った。

男であればこういう死に方も悪くないのではないか、とも思う。


世界で最も美しい女の肉体を最後に見ることができたのだから。




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https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=23849637


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女好きの俺が異世界に転生したらエロスキルで無双した件。 さすまた @sasumata

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