第1話 貧乏神ってガチ?

  一朗が部屋で唖然としていると、目の前の少女はふてくされたように腕を組み、こちらを睨みつけた。


「で、こそ誰?」


「やぁ!それは俺のセリフだろ!ここ俺の部屋なんだけど」


 少女は眉をひそめて部屋を見回しながら肩をすくめた。

「ふ~ん、一応が借りてんだから、の部屋ともいえる、でもず――っと前からここに住んでいる、うちの部屋ともいえる」


 一朗は何が何だか分からなくなり、頭がクラクラして目眩が起きそうになる。

「は?いやいや、入居許可されているのは俺だぞ!管理人さんから鍵をもらったし」

 彼は鍵を見せながら、思わず声を荒げたが、少女は全く気にしていない様子で、押し入れの床にごろりんと寝転がった。


「そういう細かいことはどうでもいいの。うちの名前は咲。は?」


「鈴木一朗・・・だけど」


「ふーん、イチロウ・・・なんかえない名前だね」


「ほっとけ!!それより、なんでここにいるんだ?」


 咲はしばらく考える素振りを見せた後、意味ありげな笑いを浮かべながら答えた。


「うち、貧乏神


「・・・・・・・はぁ?」

 一朗は聞き間違えたか、耳がおかしくなったのかと思い、もう一度聞き返した。


「だ~から、貧乏神。知っているでしょ?『桃太郎電鉄』にもでてくるボンビーの元祖だよ。人間に不幸をもたらす存在の!」

 咲は得意げに胸を張りながら話し続けるが、一朗はホトホト困り果てて頭を抱えた。


「いやいや、そんな非現実的な話、信じられる訳ないだろ・・・」  





  

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