ないものはない 魔力
仲仁へび(旧:離久)
第1話
あるところに、魔力が尽きた勇者がいた。
勇者は魔王と戦わなければならない。
しかし、それには魔力が必要だった。
ならば、魔力を得るしかないが、その方法が限られていた。
魔力を得る方法は、自然に回復するのを待つか、魔石から吸収するか、人間の生命力を使うかだ。
一つ目の方法は時間がないからダメだった。
定められた刻限までに魔王を倒さなければ世界が滅ぶからだ。
刻限はもうあとわずかだ。
二つ目の方法はも駄目だった。
魔石を勇者はもっていなかった。
これまでに何度も魔力が枯渇し、必要になったからだ。
三つ目の方法も駄目だった。
ここには勇者しかいない。
そのため、勇者が倒れたら魔王を倒す者がいなくなってしまうからだ。
つまり、勇者は世界を救えない。
世界は滅亡するのが確定していた。
風景を見れる魔道具で、遠くからその様子を見ていた魔王は、高笑いをした。
「ないものはないのだ。勇者よ! 諦めるがいい!」
それでもないところから何らかの方法を作り出すのが勇者だった。
勇者はこれまでに、不可能を可能にしてきた。
だから今回もそうしたのだった。
世界の認識を騙し、勇者の周りの時間を少しだけ早く流れさせて、魔力を少し回復した。
そして、魔王の元へ進むまでに倒した敵の魔石を利用して、魔力をさらに回復した。
最後に、魔王が作り出していた自らのコピーの培養装置を見つけ、勇者は勇者のコピー体を利用。
そのコピー体の生命力を使って、魔力を回復させた。
そうして勇者は魔王との最終決戦に臨んだ。
戦わずして世界の行方が決まるという事はなくなった。
ないものはない 魔力 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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