第10話 ダンジョンの主現る――その正体とは!?

 洞窟内を進む妾たちは、異様な気配に包まれておった。足元の湿った石床から冷気が立ち上り、風が耳元で囁くような音を響かせる。壁には苔が生え、所々で光る結晶が不気味な輝きを放っておる。


「ママ、なんか変な感じがする……」


 リオが不安そうに妾を見上げる。その瞳には、冒険への期待と一抹の不安が入り混じっていた。


「このダンジョンは普通ではない。気配を探りながら慎重に進むのじゃ。」


 妾は周囲を見渡しながら答えた。リオが無意識に拳を握りしめているのを見て、妾は微笑んだ。


「リオ、怖い時こそ落ち着いて自分を信じるのじゃ。妾はそなたを信じておる。」


 リオは少しだけ頬を染め、「うん、わかった!」と元気よく答えた。


 通路を進むと、急に唸り声が響いた。その瞬間、通路の影から鋭い牙を剥き出しにした3体のコボルトが飛び出してきた。


【敵情報】

名前: コボルト

種族: 獣人

レベル: 15

HP: 120

MP: 10

攻撃力: 90

防御力: 60


「リオ、気をつけるのじゃ。このコボルトはゴブリンよりも賢く、連携して襲いかかるぞ。」


「わかった!僕がやる!」


 リオは勇敢に一歩前へ出た。コボルトたちは低い体勢を取り、一斉に襲いかかってきた。その動きは素早く、攻撃がどこから来るかわかりにくい。


「くっ、早い……でも!」


 リオは壁に映る影を利用して敵の位置を把握した。


「そこだ!」


 リオは一体目のコボルトの横に滑り込み、拳を振り抜いた。


 ズゴンッ!


 コボルトが壁に叩きつけられる。しかし、残る二体がリオを挟み撃ちにしようと動く。


「リオ、側面を狙われておるぞ!」


「わかってる!」


 リオはコボルトの攻撃をギリギリで避け、すばやく一体目を蹴りで突き飛ばす。そして、最後の一体の頭上に飛び上がり、拳を振り下ろした。


 ゴンッ!


 コボルトたちは地面に倒れ、動かなくなった。


「ママ、やったよ!」


「うむ、素晴らしい動きじゃ。お主の成長が目に見えてわかるぞ。」


 リオの胸には、セリーヌの言葉への嬉しさが広がっていた。


 さらに奥へ進むと、洞窟が急に広がり、巨大な空間に出た。壁には古代の紋様が彫られ、天井から吊り下がる結晶が淡い光を放っておる。中央には圧倒的な威圧感を放つゴブリンキングが立ちはだかっていた。


【敵情報】

名前: ゴブリンキング

種族: ゴブリン

レベル: 45

HP: 3,000

MP: 200

攻撃力: 700

防御力: 300


「グォォォッ!!」


 ゴブリンキングが雄叫びを上げ、巨大な斧を振りかざして突進してきた。その背後にはスライムの群れが控えておる。


「リオ、スライムはお主に任せる。ゴブリンキングは妾が相手をする。」


「わかった!ママ、気をつけて!」


 リオはスライムに突進し、その核を見極めて次々と撃破していく。一方、妾はゴブリンキングの斧を余裕で避けつつ、相手の動きを観察しておった。


「その巨体でこの程度の速さか……少々退屈じゃな。」


 ゴブリンキングの斧が地面を砕き、洞窟全体に響き渡る衝撃音。しかし、その攻撃は妾の一歩後ろをかすめるだけであった。


「これでは妾には届かぬ。」


 妾はゴブリンキングの巨体に向かい、軽やかに一歩踏み込む。そして、右手の人差し指を額にそっと当てた。


 パチンッ!


 軽い音とともに、ゴブリンキングの巨体が宙を舞い、壁に激突する。その衝撃で洞窟全体が揺れた。


「まだ立ち上がるか?」


 ゴブリンキングは再び立ち上がろうとするが、その動きは明らかに鈍い。妾は冷ややかに相手を見下ろし、拳を振り上げた。


「これで終わりじゃ。」


 ゴッ!


 拳がゴブリンキングの胸元に直撃し、その巨体を完全に止めた。ゴブリンキングが地面に倒れ込み、静寂が訪れた。


 戦闘後、妾たちは洞窟の奥で宝箱を発見した。中には金貨と希少な魔法石が収められており、その石には古代文字が刻まれておった。


「ママ、この石、すごく綺麗……でも何か怖い感じもする。」


「ふむ、これはただの財宝ではない。後で調査が必要じゃ。」


 その時、背後から低い笑い声が響く。


「面白いものを見せてもらった。」


 振り返ると、黒いローブに身を包んだ人物が立っていた。その袖口から覗く金色の刺繍と、奇妙な香りが漂ってくる。


「お主……何者じゃ?」


「フフフ……いずれまた会おう。」


 影は洞窟の闇に溶けるように消えていった。妾は眉をひそめ、その場に立ち尽くす。


「ママ、あの人、誰なの?」


「ただの冒険者ではないな……。」


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 ついにセリーヌがその本気を解き放つ!母として、魔族として、さらに磨きがかかった圧倒的な戦闘能力が明らかに――。戦闘の中でリオも魔王としての覚悟を試され、親子の成長が描かれる重要なエピソードです!


 そして謎の影の正体が少しずつ明らかに……。果たして親子の前に立ちはだかる新たな試練とは何か?これまでとは一味違うドキドキの展開をお楽しみください!


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異世界転生で子育て!? 息子(魔王)と挑む冒険と日常! リディア @tm_xyz

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