冷結姫の復讐劇
やなな
第1章 魔神殲滅部に入団
第1節 村が滅亡するまで
第1話 嵐の前の静けさ1
「ほらー、早く起きなさいー。もうー。」
頭上から、お母さんの声が降ってくる。もう朝だ。しかし、あたしはまだまだ眠たいので、「もうちょっとだけ」、と言いながらころんと寝返りを打って布団を深く被る。
薄いピンク色の髪を流して、布団の中に深く入って寝ているちっこくてかわいいあたしの名前は結菜。
エルフ族であり、年齢で言えば___、まだまだ子供の10歳くらい。
しかし、長生きなので年齢で言えば100歳くらい。
エルフ族は、のんびりと村で暮らしており精霊と契約をして力を借りながら悠々と暮らしている。
一番の長寿種のため、大雑把で温厚な者が多い。
しかし、もう朝____ではなくとっくに昼だ。
あたしは普通のエルフとは違い夜型である為、お昼くらいに毎朝起こしてもらっている。
もうそろそろ起きないといけないなぁ、と頭ではわかっているが体が重い。
再び夢の中へ潜り込もうとすると、
「こーら。起きなさいー。」
やや怒りを含んだ声が鼓膜を優しく震わせ、ふわぁとあくびをしながら起き上がる。
少女の白く、透明な肌が見える。そして、薄いピンク色の美しい髪。
村の中でもあたしは美少女に入る。………が、これは作った美でもある。
肌が白いのは夜に活動し、昼は外に出ていないからだし、髪がツヤツヤしており、潤っているのは精霊術師の才能があり気がついたらせっせと精霊たちがお世話をしてくれているおかげだから。
「精霊術師」。
エルフは精霊と人間から生まれた種族でもあるため精霊と波長が合いやすい。
その為、精霊と契約を結び自然を取りまとめている。
その中でもあたしは格上のエルフだから、多くの精霊と契約しており人気が高い。
ふふん、すごいでしょ。
頼んでなくとも、勝手に髪の毛を綺麗にしたり傷を癒したりしてくれている。ほんと、優しいよね。
+・+・+
「んじゃ、今日も行ってくるね。」
朝ごはんを食べ終わり、眠気も飛んだところで。玄関のドアに手をかけながら、村の外へ出かけるため、お母さんに話しかける。
すると、お母さんはやや困ったように眉を下げて
「はぁー…、本当に結菜はすごいわねー。まだ100歳なのに村の外へ一人で行けるだなんてー。まだ子供なんだからー、ゆっくりしていていいのよー?」
褒められ、心配をされるがお構いなしだ。
あたしは、ふふんと鼻を鳴らし自慢げに言う。
「大丈夫。あたし、強いし。」
「ふふー、そうねー。行ってらっしゃいー。」
「うん!」
そう、あたしは強い。
だから、お母さんは止めることもなくあたしを送り出す。
ガチャ、とドアを開け放ち精霊さんたちを呼ぶ。
おいで、と手招きをするとふわふわと漂っている精霊さんと、うさぎさんみたいな精霊さんがきた。
うさぎさんみたいなのが、精霊の中でも上位の精霊。ええと、多分上位精霊とか言ってた気がする。
ふわふわしているのが、普通の精霊。
普通の精霊さんは頭の中で話しかけてくるが、うさぎさんは普通に喋れる。
「おはよーって…もうお昼だけどねぇ。さっ、今日もお出かけしよ、ユイ。」
「お出かけー!」
「本当に100歳とは思えないなぁ。普通出かけないよぉ?」
「ふふん、あたしってお姉さんだからねっ。」
「うーん、それを言っている時点で違うなぁ。」
「ええっ。もー!」
うさぎさん____、もとい、ルミはあたしを100歳とは思えないと褒め、お姉さんでしょ!と鼻を鳴らすが違うとゼンゲンテッカイされる。そのことに怒りつつも、ふよふよと浮かび上がりあたしの頭に乗る。
軽くルミとお話ししていると、他の精霊さんたちが色を僅かに赤く光らせ、かまってー、と周りに集ってくる。
「んあ、ごめんごめんっ!みんな大好きだよ。」
謝りながらあたしは精霊さんたちをなでなでとすると、仕方がないなあ、とでもいいたげにすりすりしてくる。
あー、本当にかわいいなあ〜!
「よーし、そろそろ行こ。」
「そだねぇー。行こうかぁ。」
とりあえず、いつもの経験値を貯めれるところに行こうっと。
あたしが歩いくと、後ろに精霊さんたちが、頭の上にはルミが。
賑やかで楽しいなぁ。まぁ、戦闘が始まったらそんな場合じゃなくなるけどね。
+・+・+
しばらく歩いていると、いつもの場所___、魔物が住まう巣窟の洞窟に入る。
ピリッっとした緊張が走り、精霊さんたちも戦闘態勢に入って、ルミは頭の上からゆるゆると降り、あたしの目の前に立つ。
魔力を固め、精霊術を繰り出す。
「
「
あたしは攻撃を繰り出す。
ルミは
精霊術とは、精霊に補助をしてもらいながら、魔法を放つこと。
補助してもらうことで、威力が上がったり片方が防御しながらもう片方が攻撃をできたりする。
精霊が無償で戦闘をサポートすることはできないため、精霊と契約して一緒に戦うことが可能になる。
勿論、精霊にも意識があるためすぐに契約ができるわけではない。好き嫌いもある。強ければ強いほど契約は厳しくなる。
そのため、生まれたての精霊と契約を結ぶことが殆どだ。しかし、上位精霊に進化すると追加で契約が増えるが初めから契約するよりも緩いが。
あたしは、異次元へ飛ばした魔物を圧力で潰す。
少し気持ち悪い感覚が走るが、すぐに終わる。
うわ、中でぐにゅってしてる…。何度感じても、慣れないなぁ。
あたしは軽く手を合わせてごめんなさい、と呟く。生き物は大切にしないとね。でも、この魔物は悪いやつで、環境破壊してるやつだから倒していい!
勿論、魔物にもいいやつとかいる。他の種族に対して暴力を振るうのは、世界共通の敵である、魔神族。この魔物も、魔神族の仲間。
全ての魔物が異次元で圧力で潰れたのを確認し、取り出そうと、魔法を放つ。
「
ええっと、次は
光の矢を繰り出し、ドドドという音と共に雨のように降り注ぐ。
逃げ場がないとわかり、魔物はパニックになるが無慈悲に矢が魔物を貫く。
矢は魔物を貫き、しばらくするとすぅっと消え、穴の空いた死体あたり一面に広がる。
気持ち悪いなぁ、とは思うが経験値を貯めるのに必要なことだ。
ある一定の経験を積むと進化したり、新しく能力が使えるようになったりする。
どうやったら経験値が貯まるかは不明だけど、剣を極めれば「剣士」、魔法を極めれば「魔法使い」、連勤を極めれば「錬金術師」など…。
その中で私は「精霊術師」。
そこからさらに進化したりでき、精霊術師ならば「精霊術師之王」、など。そもそも、経験値なしが殆どであり、経験値ありが珍しくそこからさらに「◯之王」などは指で数えられるほど。
そのさらに上はわからないが、神になれるとかなんとか。噂だけどね。
経験は、なぜか自分で自覚できる。
ある日突然、「あ、自分は精霊術師だな。」と自覚する。
あたしが自覚したのは、いつだろうか?
多分、意識がはっきりしてきた頃、だと思う。
気づいたらとっくに精霊術師になってたし。わかんない。
っていうか、今はそれじゃなくて魔物に意識を向けないと。例え、自分が勝利すると確信していても決して油断してはならない。そんな教えをもうずっと言われ続けている。
事実、雑魚だと思っていたがそれは魔力を偽っていたりしてスパッと殺される者もいたりする。
「絶対安全」が1番危ない。
「ルミー、ちょっと乱暴にしよ!」
「むぅ、ボクの契約者は力があるからってすーぐ調子に乗るんだからぁ。ま、いいけどねぇ。」
「よーし、
あたしは、光の
強いけれども、勿論魔力はそれなりに食う。あたしは魔力けっこー多いから大丈夫だけどねっ。
この魔法は、上級魔法だから他のエルフにバレたらめんどくさいことになるってルミが言ってた。だから、これは魔力探知に他のエルフが引っ掻からない時だけ使うっていう約束。
…
あたしが
「わ、高威力なの出したねぇ。
お、敵は全滅した。
あたり一面は血の海になっており、少々気持ち悪い…、早く帰ろうっと。
ルミは強い精霊だから、私が扱っている光属性以外に破壊属性も扱える。全属性も平均くらいは使えるって。あたしも全属性使えるけど、弱いから羨ましいなぁ。こればかりは、年齢もあるんだろうなぁ。仕方ない。その内、ルミよりも強くなってみるから!
+・+・+・+・+・+
こんにちは、もしくは初めまして!
yananaです。
今回は、「復讐」をテーマにした物語です。
先に言っておきます、鬱展開が時々ありますが、しっかりと復讐もします。
復讐する時、少々描写が目によろしくないので注意してください。
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冷結姫の復讐劇 やなな @_yanana_
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