第5話 繁華街の三途川
ガコンっ!!
「アイタっ!」
「ごめんなさい、大丈夫ですか……」
「ああ、大丈夫ですよ」
見ると若い女性の方が立っていた。
20歳くらいかな。
「コラぁ! だから桶で叩くのはやめようって言
ったのに!!」
もう1人若い女性の方が来た。
「すみません、コイツがご迷惑をお掛けしてしま
って」
「はぁ? アンタ、私のせいにするつもり?」
「当たり前でしょ! 貴方の桶が飛んでったん
だから」
二人は
なんか、ややこしい人達と出会ってしまった。
もう出ようかな……。
「何? もう一回やるわよ?」
「馬鹿! また誰かに当たったらどうするのよ」
「アンタが逃げなければいいだけでしょ」
周りから見られてるなぁ。
やだなぁ。
「あ、あの……。
もう少し声のボリュームを落とした方が」
二人は周りを見て顔を赤くした。
その後、一人一人に謝罪していたので、悪い人達では無さそうです。
ヤバい。
コーヒー牛乳とココアとイチゴミルクが無料で飲めるらしい。
全部好きだ。
でも、1人1本までかぁ。
「悩むなぁ」
あれ、さっきの人達がこっちに向かって来た。
ポチッ、ポチッ。
ガコンッ!
「あの、これどうぞ。
さっきは本当にすみませんでした」
「痛かったですよね。
まだ跡が残っているので……」
あれ、まだ残ってた?
「あはは、全然気にしないでください。
よくある事ですよ」
二人はお辞儀をして言った。
「また後日謝罪させていただきます」
「今日はこれで失礼します」
イチゴミルクとココアを貰いました。
ポチッ、ガコンッ。
私は、コーヒー牛乳を押した。
3つ
なんかワクワクしちゃう。
「あーもっ! みっけ!」
後ろから抱きついて来たのはコロネさんだ。
可愛いな。
「コロネさん、どうしたの?」
「お土産見よっ?」
「お土産?」
「うん! こっちだよ」
私は、コロネさんに手を引かれ人混みを縫うように歩いた。
見えるのは賑わう
「この川は、死後の世界で一番有名なあの
「へぇ。なんか思っていたのと違いますね」
あれ……。
「三雫さん? 何でここにいるんですか」
「何でと言われましても、
子供二人で夜中に出歩いてたら放っとく訳には
行かないでしょう」
「こどもじゃないもん!」
コロネはほっぺたを膨らませた。
「さぁ、帰りましょう?」
「やだ」
「お金持ってないでしょう?」
コロネはさらにほっぺたを膨らませた。
微笑ましいな。
「親子みたいですね」
二人はこちらを向いた。
コロネさんのうるうるお目々と、
三雫さんの圧のかかった目。
私はしゃがんだ。
「コロネさん、また明日来ましょう?」
コロネは
コロネさんごめんなさい。
三雫さんの目が怖くて……。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「きゃははっ!」
「ゴンっ! ゴンっ!」
コロネさんは金魚を見て笑っていました。
機嫌が直ったようで何より。
虚構世界の待雪草 錦野 @2009ran124
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。虚構世界の待雪草の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます