異世界で最強の魔剣士として生まれ変わる星辰の軌跡:Er ~もし一般人の俺が最強の剣を手に入れたら。~
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第1話
王城に隠された秘密の部屋、秘密なのに何故か掲げられた扉のプレートには───
《チュッ♡みんなにはナイショだゾイ!? ヒミツのおへや》
体育館の半分ほどの広さに五人の男が集まり、その……”なんか”していた。
そして部屋の中央から怪しいピンク色の光で満たされると……!
「──あぁ? どこだここ?」
「おぉ、神々の使徒よ! どうかこの国を救ってくれ!」
「なんだこのおっさん……サンタクロースか?」
一人の青年が煙に巻かれるようにして裸で現れた。
「無礼だぞ、わっぱ! この方をどなたと心得る! 一国の王、ソウ王であるぞ!」
王の傍に仕えていた騎士の男が抜刀し裸の青年に剣先を向ける
「よいよい。いちいち構えるほどのことでもないわい───して勇敢なる若者よ。国を救ってくれぬか? 恐慌の敵を打ち倒しその栄光と名誉を」
「普通にイヤだ」
終。
「いや終わらんよ!? 始まったばっかじゃし!」
「なにひとりごと言ってんだチキンのおっさん」
「チキンとはなにごとか! 王は決して臆病ではない! むしろ果敢にあらせられる!」
王が叫び、青年は呆れ、騎士は的外れな発言をする。
「声でか……てか裸じゃねぇか!」
青年はふんわりした癖っ毛を乱暴に掻きながら、自身が一糸まとわぬ傷だらけの肉体を衆目に晒していることに気づく。
「ほれ服じゃ。フリーサイズじゃから多分あうと思うぞい」
「お、おぉ……サンキュー」
戸惑いながらも、素直に感謝する青年。王から渡されたのは青地に黒い蝶が舞う姿が描かれた浴衣。青年はピシッと手早く身にまとう。
「普通、浴衣のノーパンって女子だけじゃねぇのか……?」
「なにか言ったかの?」
「いやなんでもねぇ」
「そうかい。あとそれは江戸時代の話じゃ、今は普通に履く」
「───ん!?」
青年が驚いていると、王は咳払いし、佇まいを改める。
「さて、改めて───わしはギガン王国の王、ソウ王。ここは城内の……ひみつの部屋じゃ」
「ソウ王……言いにくいな」
「して、そちの名前は?」
「俺は……俺はなんだ? あぁ? 思い出せねぇ……」
「ふむ、やはりそうか。だが心配いらん。ここで名をつけてやるぞ。そうじゃな……なにがいいかのう。そうじゃ! ”ユウシャ”でどうじゃ? ふむふむ。お主もそう思うか。なら決定じゃ」
「なにも言ってねぇ! 勝手に決めつけてんじゃねぇよ!」
「じゃあなんであればよい?」
「あー、うーん……」
「なら”ユウシャ”じゃ」
「……しょうがねぇな」
「それでいいのか……?」
「ほれ、副長も挨拶せい」
呆れている騎士団副長にソウ王は促す。
「俺はルーク・ナイト、側近兼近衛騎士団副長を拝命している」
「ルーク・ナイト……」
変な名前ばっかだな、とユウシャは思った。
「ところでここはなんだ? 結局俺に何をやらせてぇんだ?」
「やる気がでたのかのう? 良いことじゃ。ひとまず場所を変えよう。ここなんか淫靡でわし好きくないのよ」
ユウシャが王と騎士団副長に連れられて客間に移動する。その間ユウシャは見たことのない装飾や高い天井、静けさが染み渡る城内を興味深く観察した。
「自由にしてよいぞ、いま茶を持ってこさせよう。ルーク、頼む」
「しかし王を一人にするのは……」
「こんなクソガキ相手にならんわ。はよ茶をよこしておくれ」
「……。」
「安心してくれよ。俺もこんなクソジジイをボコるほどやんちゃじゃねえ」
「んむぅ……。」
ルークは両者の言葉に顔を顰めながら客間を後にする。
「さて、ひとまず落ち着いかのう」
「場所変えたからって落ち着くわけねぇだろ。わけわかんねぇよ」
「ふっ、それもそうじゃ」
「いま鼻で笑ったか?」
「単刀直入に言おう。この国を救ってほしい」
「最初と言ってること変わってねぇんだよ。追加の情報量ゼロだわ、耄碌してんのか?」
「そう焦るな。なにごとも順序がある。そうじゃのう、まずはこの世界の現状を説明せねばならん……」
王は深くソファに沈み込む。
気の抜けたはずの所作にユウシャは”王”としての重圧とその貫録を感じ、思わず固唾を飲む。
そして数十秒の時と沈黙が流れ───
「───話は?」
切り出したのはユウシャ。
「長くなるから飲み物来てからじゃ」
「んだよっそれ! クソが!」
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