メリー虚無ります

伊藤乃蒼

メリー虚無ります

 クリスマス。

 恋人や家族と団欒を過ごすことが多い日。そんな日に、四人は集まった。


「虚無だ」

「彼女なんていない」

「今日も仕事」

「どうしようかね」


 特になにも予定がない。クリスマスだと言うのに予定がない。寂しい寂しいクリスマスだ。


「クリスマススポットを四人で巡って虚無るか」

「虚無るってなに?」

「わざわざクリスマススポットに行く意味とは?」

「イルミネーションとか見てもむなしくない?」


 虚無る意味が分からない四人だが、予定が生えてくることはない。なので、クリスマスのスポットを巡ってみることにした。


「目が~! 目が~!」

「サイケデリック~!」

「ギラギラ!」

「ケバケバしい!」

 そのクリスマススポットはネオンに満ち溢れており、目に優しくない。四人の目はネオンによって焼かれた。


次!


「温かそうな家だ……」

「イルネーション綺麗……」

「クリスマスツリー素敵……」

「雪がちらつくホワイトクリスマス……」

 そのクリスマススポットは美しいストリートに面しており、家々は電飾によって飾り付けられており輝いていた。四人の心に寒い風が吹いた。


次!


「うおおおおお!!」

「やるかあああ!!」

「あ、当たった!!」

「ぎゃああああ!!」

 そのクリスマススポットは雪玉が投げられるほどの雪が積もっていた。四人は雪玉を持って死闘を繰り広げた。


次!


「雪だるまつくろ~」

「目と鼻をつけて~」

「帽子もあるよ~」

「なんか違う~」

 そのクリスマススポットは雪だるまを作ることが出来た。四人は雪玉をコロコロと転がして自分たちの身長ほどもある巨大な雪だるまを作った。


 2時間後!


「やっぱ肉だわ」

「うめえ」

「焦げてきた」

「まだ生だわ」


 一通りクリスマススポットを巡った四人は焼肉を食べていた。

「虚無だった」

「クリスマスだからどこにでもカップルいた」

「ケーキうめえ」

「体力持っていかれるだけだった」

 コタツに入って足を伸ばす。たしかに、最初は虚無だった。だが、四人でダラダラした。


「「「「虚無だったけど、普通に楽しかったわ」」」」


 クリスマス終了! おやすみ!

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