幕間 青い空が見える日に

コハクの彼方


幕間 青い空が見える日に


パーズ♂

高3

カイのことを忘れられない

イアの友達


カイ♂

高3

もうこの世にはいない


イア♀

高1

パーズの友達


カイとパーズの思い出

パーズとイアが出会う話



本編↓


イア︰ここは、とある学園である。

ここは、皆が望む楽園である。

ここは、人々の理想郷である。


カイ︰理想はどこへ向かうのか。

俺の想いは、意志は、何処へ受け継がれていくのか。

それは俺にもわからない。


パーズ︰前に進めない。

その願いと意志だけでなんとか、俺は生きている。

生き繋いでいる。


イア︰今日もまた。

きっと、いつか。

平穏な陽の光が、世界に差し込むのかも、しれない。


………


パーズ︰俺は嘘をつくことが苦手だ。

隠し事も、もちろん苦手だ。

ただ、正しい事しか言えない。

けど、本心を隠さないと行けない日々を過ごしている。

そんな中でも、沢山の【本当】を口にしていいのなら…


(間)


パーズ「なあ、カイ。

嘘に聞こえるかもしれないけどさ、

俺はちゃんとお前のこと【親友】だし、【相棒】だと思ってるんだぜ。

もう、この言葉は届かないけどな…」


カイ︰うるせぇ、ばぁか。

そんなに突然照れること、写真たての俺に向かって言うなよ。



大丈夫、ちゃんとわかってるよ。

ごめんな、隣に居てやることが出来なくて。


パーズ「仕方ないさ。

ちゃんと頭では理解してるから、さ。

理解はしてる。


してるんだ…」


カイ︰はぁ、一肌脱ぐか。

全く、世話の焼ける【相棒】だな。


………


パーズ「ここは…」


パーズ︰広い草原。

空に広がるのは、青い空。

青く見えるはずの、そら。

嗚呼、青い空といえば、アイツに似てたな…なんて思わず鼻で笑う。


カイ「よう、パーズ」


パーズ「え!カイ!」


カイ「よ!」


パーズ「っ」


カイ「どうしたー?聞こえるかー?」


パーズ「………ぅん」


カイ「ふは、なぁに陰気臭い顔してんだよ。

いつものおチャラけさはどうした? 」


パーズ「か、カイ…だってお前…」


カイ「言わなくて、大丈夫だ。わかってる」


パーズ「だって、お前…お前…あの時…」


カイ「嗚呼、そうだな」


パーズ「………」


カイ「だから、こうやってお前に会いに来た」


パーズ「カイ…」


パーズ︰俺はお前の居ない世界は耐えれないよ。


そんな事、口にできるはずなんてなくて。


カイ「はは、そんなに泣きそうな顔すんなって」


パーズ「だって…だって…」


カイ「なあ、パーズ。


ちゃんと、お前の世界は青いか?」


パーズ「っ

………ぁ」


カイ「どうだ?」


パーズ「青く…青く無いさ。

青いと思ってるだけ。

もうカイと居た時の、あの青さが、鮮やかさが見えないんだ…


いや、もう、何も色なんてわからないんだ」


カイ「そうか…」


パーズ「俺は、カイと見るあの、青い空が好きだったのに。

俺は、俺は…

お前が居ないと…駄目なんだ。

駄目なんだよ…」


カイ「…

嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか」


パーズ「だってだって、お前は俺の親友で、相棒で、大切な家族だったじゃないか。


なんで俺の事先に置いてくんだよ」


カイ「悪い、先に逝っちまった」(笑う)


パーズ「ばっ、ばぁぁぁぁあか!

笑ってんじゃねぇよ!笑えねぇよ!」


カイ「ふはは、だってさ、嬉しいんだ。

俺は」


パーズ「何がだよ」


カイ「みんなが俺の事いっぱい考えてくれてさ。

愛されてるんだって思ったよ」


パーズ「うるせぇ!ばーか!ばーか!

そ、そ、そ、そういう所だぞ!

俺だって!愛してるに決まってるじゃないか!」


カイ「サンキュ。俺も愛してるぜ。

もちろん、みんなのこと」


パーズ「…」


カイ「なんだよ」


パーズ「か、カイがそんなこと言うなんて!雨どころか、槍降るんじゃないの?」


カイ「うるせぇ、せっかく言ったのに後悔したぜ」


パーズ「後悔すんなよぉ!

こんなにも俺喜んでるのに!」


カイ「…サンキュ」


パーズ「………」


カイ「………」


パーズ「………」


カイ「………」


パーズ「…俺はさ、カイが居てくれればよかったんだ。

それだけで、毎日が幸せだったのに」


カイ「………」


パーズ「なのに俺の見てないところで、死んじゃってさ。

気づいたら居なくなってて…

カイの葬儀だってしてないのに…

実感なんてないのに。


俺は…いや、俺たちは

まだカイが生きてると思ってるよ」


カイ「………」


パーズ「………還ってきてくれよ。

みんなの為にさ」


カイ「………パーズ」


パーズ「お願い、だから」


カイ「現実見ろ」(軽くビンタ)


パーズ「いって!!!!え!!!!なんで!!!!

なんで今!!!!殴ったの!?!??

え!?!?!?え!!?!?!?」


カイ「俺は死んでんだ。ちゃんとわかってるだろ?」


パーズ「………」


カイ「そうじゃなきゃ、現に俺の意思継いでないじゃないか」


パーズ「っ…」


カイ「なっ、前を向いてくれよ。

俺の為にも、アイツらの為にも、さ」


パーズ「ははっ、残酷なお願いだな」


カイ「知ってる。でも、それくらい出来るだろ?」


パーズ「ずりぃ、男」


カイ「ふは、今さら」


………


パーズ「っは!…夢…?」


カイ:パーズが目を覚ませば、

学園都市の一室。

そこは、パーズの自室だった。

パーズは、棚に置いてある写真たてを眺める。


パーズ「………カイ」


カイ︰窓の外を見る。

開いていたまどから、風が吹き抜けた。

パーズの視界に捉えたのは…


パーズ「あおい、そら」


……


パーズ「って、訳で。空が青く見えたのさ」


イア「へぇ〜そうなんだぁ。

よかったね、空が青く見えて」


パーズ︰一緒に昼食を食べていたのはイアっていう後輩ちゃん。

仲良くなってから、ここ最近は、一緒に昼食を食べることになってる仲だ。


イア「ん〜でもさ」


パーズ「うん!なになにー?」


イア「ワタシに話して良かったのー?」


パーズ「もちろんさ!だって、俺とイアの仲じゃないか」


イア「そっか〜なら、いいかぁ。

そんなに信頼してもらえるのなら嬉しい限りだよ」


パーズ「そりゃもちろん。

だって、キミは誰にもこのことを話さない。

口が堅い。

それを俺は知ってるからね」


イア「利害の一致ってやつだねぇ」


パーズ「そういうこと!

  話せることがあるのは俺も嬉しいからさ!」


イア「口が堅そうに見せかけて、実際はおしゃべりだもんねぇ、パーズ先輩」


パーズ「もぅ、先輩はよせって言ってるじゃんか〜」


イア「先輩は先輩だしー?

全然呼び捨てでもいいんだけど、照れたじゃん。

この前呼び捨てした時にさー」


パーズ「ぅううだって!それは!不意打ちだったじゃんよ!」


イア「んで、どうしたの?パーズ」


パーズ「ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」


イア「はっはっはっ!」


パーズ「わーらーうーなー!」


イア「こんなことしてるのバレたらファンクラブの子たちに刺されそうで怖いなー」


パーズ「だから、そんな事ないように人気のない森でご飯食べてるじゃんか」


イア「そうだけど、そうじゃないんだよなぁ。

パーズ先輩ってちょっとズレてるよね」


パーズ「え?そう?初めて言われたかも!

  いや!言われたことあるかも!」


イア「はは、どっちなのさ。

でも、天然だと私は思うけどなー」


パーズ「天然!?いやいや、人間はみんな人工だろ?」


イア「そういう所が可愛いんだけどねー」


パーズ「男にかわいいとか言うなって!」


イア「大丈夫。みんなも思ってると思うよ」


パーズ「そうじゃなーくーてー!」


イア「あはは、ほら、ご飯食べなきゃだよパーズ先輩。

次の授業移動でしょ?遅刻しちゃうよ」


パーズ「………、腑に落ちない!」


イア「はいはい〜

あ〜サンドイッチおいしいなー」


パーズ「まじ!?今日俺の手作りなんだよね!

美味しかったならよかった!」


イア「え!先輩手作りなの?すご」


パーズ「トマトとレタス切って、チーズとハム挟んだだけだけどな!

それなのになぜ美味しいかって?

ふっふっふっ!何を隠そうソースが特別なのさ!」


イア「マスタードとマヨネーズに、ピーナッツかな」


パーズ「簡単に当てないで!言わせて!」


イア「あ、当たってた?ごめんごめん」


パーズ「クゥゥゥ!」


イア「にしても、パーズ先輩前よりも元気になったよねー」


パーズ「そう?」


イア「前会った時は抜け殻みたいだったもん。

魂ここに在らず、みたいな」


パーズ「………

そうね、そうだったかも」


イア「そこから、考えると元気になったと思うよー」


パーズ「………」


イア「空、青く見えてよかったね」


パーズ「………まぁね」


………


カイ「よぉ、パーズ」


パーズ「っ!カイ!」


カイ「まぁーた陰気臭い顔してんな。

ちょっとはマシになったと思ったのに」


パーズ「………

誰のせいだと…」


カイ「ははっ、俺のせいだわな」


パーズ「こんなにも、すぐ夢に出てくるなんて、俺の事好きすぎじゃない?

聞いたことないよ。

死人が日の目に出るなんて、さ」


カイ「まあ、な。好きすぎてお天道様も嫉妬するかもな」


パーズ「出来れば生きてお天道様に顔向けして欲しかったけどね」


カイ「まあ、そうだ。

それはとにかくとして、本題だ。」


パーズ「本題…?」


カイ「異世界論習ってたろ?覚えてるか?」


パーズ「勿論。

俺が授業の内容を忘れるはずなんてないさ」


カイ「なら、よかった。


もうすぐ、俺のアリスがくる」


パーズ「っ!?」


カイ「意味は分かるな?」


パーズ「………うん」


カイ「頼んだぞ」


パーズ「…任せてくれって」


カイ「ふは、良い顔で笑えるようになったじゃないか。



パーズ」


パーズ「なんだよ、カイ」


カイ「またな」


………


パーズ「っは!…授業中…?

やべ、珍しくねてた!」


カイ︰窓から差し込む日差しは暖かく、パーズは目を擦る。

どうやら、春先のせいか眠気には抗えなかったようだ。


パーズ「………」


カイ︰ゆっくりと夢の内容が頭に駆け巡る。


パーズ「…アリス」


パーズ「………カイの想いは、意志は、絶対に途絶えさせない。

俺が頑張るからな、カイ」


カイ︰パーズは、窓の外を見つめた。

青い空には、白い雲がゆっくりと動いている。


To Be Continued













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コハクの彼方【台本ver.】 @airuuuamatsukaa

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