第5話

「先生の中でE先生が1番好き」


E先生とは私のことだ。Dちゃんは片っ端からその言葉をかける。好きと言われて嫌な気はしない。でも信用出来ない。まるで水商売のリップサービスではないか。どこでそんな技を覚えたのだろう?本能的なものなのか?


F先生にもその言葉を言ったのだろう。「ありがとう、先生もDちゃんのことだーいすき」とF先生は満面の笑顔で答えた。ベテランの先生だ。Dちゃんの行動を知らないはずがない。


本気でF先生はDちゃんが好きなのだ。1番が毎日変わっても、そんなことはどうでもいい。Dちゃんの全部が可愛いと思っている。Dちゃんだけではない、悪態をつくいたずら坊主も、泣き虫もみんな愛おしいのだ。


ああ、私は好き嫌いが激しくてしょうもない。器が小さい。保育の仕事に向いてないのかもしれない。


いつの間にか西の空がオレンジ色に染まり、UFOが紛れていても気付かないほどの凄い夕焼け空だ。明日は絶対晴れるに決まってる。






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