第2話 今と向き合う ~失敗は終わりじゃない~

失敗したとき、私の心の中では嵐が吹き荒れる。「またやってしまった」「これで私の価値はなくなるかもしれない」。頭では分かっている。「失敗は誰にでもあることだし、それが全てを終わらせるわけではない」と。でも、胸の奥から湧き上がる感情は、それを簡単には許してくれない。


職場での出来事があった。みんなが順調にこなしている作業で、私だけが遅れてしまった日。周りは何も言わなかったが、その沈黙がかえって私には重たく感じた。「この人はもう頼れない」と思われたのではないかと、不安で押しつぶされそうになった。それから、職場での私の態度は一変した。次の作業でミスをしないようにと過剰に神経を尖らせ、自分の「できること」を見せつけようと必死になった。


けれど、そんな私に、ふと同僚がこう言った。「そんなに気にしなくていいよ。みんなミスするんだから」。その一言で、私がいかに自分を責めすぎていたのかに気づいた。振り返れば、自分が周囲に与えていたプレッシャーは、自分自身の不安から来るものだったのだ。


「失敗は終わりじゃない」。そう言い聞かせるのは簡単ではないけれど、ある日ふと気づいた。失敗そのものは「恐れるべきもの」ではなく、「学ぶための機会」なのかもしれない、と。


それ以来、小さな失敗でも、その瞬間に「これは何を教えてくれるんだろう?」と考えるようにしている。たとえば、作業の遅れに気づいたとき、「どうすれば次はもっと効率よくできるだろう?」と考え、手順を見直すことで改善できたこともあった。


もう一つ重要だったのは、「自分を許すこと」だった。たとえ完璧でなくても、自分は価値のある存在であると、自分に繰り返し伝える練習をした。例えば、日記にその日の失敗を書き、その後に「それでも私は頑張った」と自分を褒める一言を付け加える。そんな些細なことが、少しずつ心を軽くしてくれた。


失敗は、終わりではなく、ただの通過点。心の中で自分にそのことを繰り返し伝えることで、少しずつ罪悪感が薄れていくのを感じている。完全に消えるわけではないが、それと共存する方法を模索することが、今の私の課題だ。


次回は、未来に向けた「心の旅」を考えたい。過去の影や現在の葛藤を乗り越えて、どんな自分になりたいのか。小さな一歩を重ねることで、もっと自由な自分に近づけるのではないかと信じている。

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