第2話 大ねずみとの出会い
…子狸は江戸川の濁流に呑まれながら松戸市の下流へと浮き沈みしながら運ばれておった。
泥水を飲み、身体は疲れきり、意識ももはや尽きんかといったところじゃった。
うねる流れに乗ってすぐ脇に大きな板切れが近づいて来たのじゃ!
子狸は最後のチカラを振り絞って板切れの上に身体を乗せると、そのまま意識を失い、身体を横たえたまま、さらにどんぶらこっこと流れて行ったのじゃ。
……どのくらい流されたのかのう、気がついたら川岸のコンクリートのかけらに板は引っかかって止まっておった。
子狸は川から上にあがると、アスファルトの道路の向こうにはコンクリートの塀が続いておった。
何だろう?と思って塀に沿って行ったら、小さな門があり、そこへちょうど人間の乗った車が入ろうとしているところじゃった。
子狸は門が開いた隙に素早く塀の中へ駆け入った。もちろん車の人間に見つからぬようにじゃ。
サササッ!と移動しながら見た塀の中の世界はとても変わったところじゃった。
「何だろうここは?…見たこともない街?…いや山みたいなものも木も池もあるぞ!…向こうにはお城もあるけど、まるで日本じゃない雰囲気だ!…あっ、人間がゾロゾロ歩いてる!…隠れなきゃ!!」
子狸は人の群れを逃れて、手近にあった建物の窓が少し開いてるのを見つけると、サッと飛びついてそ〜っと中の部屋へと忍び込んだのじゃ。
「あれっ⁉…何お前、狸じゃん!」
突然背中から声をかけられ、しまった!見つかった!…と思った子狸が振り向くと、そこにいたのは人間の身の丈と同じくらいの、人間みたいな服を着た、おおきなねずみだったのじゃ!
第3話に続く
大人むけの童話 流れ狸ポンタンの旅 森緒 源 @mojikun
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。大人むけの童話 流れ狸ポンタンの旅の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます