さあ行こう、ょぅι゛ょを連れて異世界へ?
†らみえる†
第1話
「マジであっちぃな……コレが地球温暖化ってやつか……」
2012年、埼玉県某町の夏。
地球温暖化を憂う少年、──『
「はぁ……にしてもつまんねぇ……あーあ。世の中はこんなに大騒ぎってんのに、んで!どうして!ここはいつも!……っ!……、はぁ平和だ……」
夏休みが明けた事による反動。その倦怠感で溜息が出る。
世間では、関東で起こった大地震。それによる原発事故。さらに日本各地で発生した正体不明の
ここ、埼玉県某町(
テレビはある。ラジオもある。
……そんな中途半端に田舎でつまらない町。
「ま、気にしててもしょうがねぇな。うし!そんじゃコンビニでも寄ってアイスでも買うとすっかなー!」
「お、ジャンプあんじゃん!」
そうして週間雑誌を手に取った後、少しパラパラっと立ち読みしてすぐに棚に戻した。
最近、何に対しても熱中出来ず、すぐつまらなく感じてしまうのが
「えーと、オレのと
小銭の端数計算に苦戦し、店員にイラつかれしょげながらカバンを背負いスーパーの袋とコンビニの小さい袋を手に持ち、停めておいたロードバイクに跨る。
そして交差点。最近人気の『異世界転生』『異世界転移』を期待し、5時のチャイムが鳴り響く中でソワソワしながら青信号を待つ。
「……って、なってくれればこの渇いた心も潤うってのに……ま、あるワケねぇか……そんなこと言っても、
交差点を渡る。トラックは来ない。そもそも今日は平日のハズなのに何故か車の数が何となく少ない。
余計、何かあるのだろうと思ってしまったが、何も無く無事に渡りきった。
(何かはあれよ!……っ、はぁ、期待しちまったじゃねぇか……)
ロードバイクから降り、それを持ち上げて片手半分は我が家の食料を手に持ち、もう片手半分はロードバイクを背中に担ぎながら50段位の
「はぁはぁっ、今日はマジあぢぃし、10kmくらい突っ走ってきたから、いつもこの位楽勝の階段がっ、まぁまぁきちぃ……っ!」
そして登頂。鳥居を潜り抜けた先に待っていたのは……
「おっかえりー!!
──待っていたのは、とても巫女代理とは思えないくらいにラフな格好をした
「うっわ……
「おっとー?いいのかにゃあ?今この
外道。本当に
「げ、外道過ぎるぜ……」
「ん〜? なんか言ったかにゃ?」
「いえ!なんにも言ってないです!」
正直、
何故ならこの
その為、例え木刀ではなく
(剣道だけだったら、オレとか親父とかよりも強えのマジで納得いかねぇ……)
納得のいかない
「──ん〜?……おや!?おやおやおや!?」
そしてようやくレン姉が
「んだよニート……って、あ──」
────レン姉の視線は、アイスの入ったコンビニ袋に向けられていた。
「
「やめっ、来るなッ、っつおあッ!!!!」
レン姉の身体が
「んもう!
不味いことになった。
「お、おう……もちろんあるぜ……(こんのニート!!また買いに行かねーといけねぇじゃねぇか!!)」と、頬擦りされながら答える。
「よろしい!!そしたら
「
「あっ!おい馬鹿姉貴!!荷物くらい持ってけよ!!……。チッ、馬鹿ニート!!…………クソ、あのニート滅茶苦茶すぎるぜ……」
そして
「はぁ、めんどくせー!!……、コンビニ行くかぁ……」
面倒臭がりながら
「……っ、──なんだ、コレ……?」
────空気が変わった。
……いや、既に変わっていた事に気づく。
「幽霊か……? いや、いつもの雰囲気じゃねぇ……じゃあ、なんなんだコレ……?」
森林に囲まれたマイナスイオンで湿っぽい空気が、何かを境に一瞬にして空気が澄んだ。
あれほど暑かった暑さは一切感じない。さっきまで聞こえていた蝉の声すらも聞こえない。夕焼けは周囲一帯の『
『──人の子よ。貴様、今すぐ契約せい』
突如、『
その途端、風が吹き、周囲の『虚空』は『星空』に変貌した。
「は────、?!」
幻想的な風景。気がつけば
『────おい、貴様聞いておるのか!?』
「どこだ?此処……って!お前誰だよ!?なんなんだよ!?そのカッコウ!?」
『ああ、
数秒の静寂。
…………で、一体誰なのか?此処は何処なのか?
「……んで、誰なんだお前……」
『──今は名前など関係ない!今は
「あの……拒否権は……」
『言語道断!!もちろん無い!!』
「じゃあ最初の売り文句いらねぇだろ!!」
ツッコミと溜息が出る。確かに
『な、何故じゃ!? 人の子よ、何故そこまで契約を嫌う!?貴様は散々『非日常』を願っていたじゃろ!?』
その幼女はかなり焦った様子で、
「……まあ、そうだが……。なーんかお前の誘いに乗っちまったら、
────家族に会えなくなるという、不確かな不安があった。
「安心せい。それも全てが終われば貴様の願いも全て叶えてやろう。しかも今なら!いつもなら悪魔の魂を七つで願いを叶えられるのじゃが……なんと!今回は特別に!お買得価格の税込
「安〜い♪……じゃねーよ!!金とんのかよ!?コイツ邪神じゃねーか!?願いを本当に叶えてくれんなら破格だけども!?」
まさかの通信販売方式。『神』が
『普段なら全ての世から存在ごと貴様を抹消していたが、今はその力すら残っておらん。『唯一神』の寛大な心により特別に赦してやる。次は無いぞ人の子』
「うわ、やっぱ邪神じゃねぇか……よし、んじゃ分かった!『名前』を教えてくれたら『契約』してやる!」
『……チッ、そこまでして聞きたいか。……人の子よ!聞いて驚け!!わらわの名は
「……え?なんて?」
『チッ、じゃから言ったのじゃ……我の名前は
ピー音がかかって本当に聞き取れない。何?なんで?どういう仕組み?
「はぁ……わかった。わかったって。『契約』すりゃ良いんだろ?」
『してくれるのか!?』と
『仕方ねーだろ……なんか可哀想だし……』と
そして
何故かは分からない。誰かの影が、
だが、詳しくは分からない。────あ、クーリングオフが効くからか。
「クーリングオフってすげー……特定商取引法バンザイ!!」
『──ちなみに『くーりんぐおふ』とやらは効かん』
そもそもここは日本では無い。もう既にここは『異空間』なのだ。日本の法律が効くわけ無い。
バカでアホな
「……は!?、ちょっと待て!!今のナシ!!『契約』とやらはナシ!!」
『ハッ!もう遅いわ!!……ようやく……、ようやくじゃ!!ようやくあの忌々しい凡夫に復讐する事が出来る!!唯一神としての
「え、ちょっ──」
◇
「
「……は、ははっ……ま、まさか、最近話題の『神隠し』ってヤツ?コレ?……」
レン姉の悪い予感。レン姉の勘は超常現象レベルで良く当たるという評判がある。
──そして
神社の
ロードバイクがここにあるという事は、
「嘘、マジ……? ホントに
遠くに行っていないハズなのだが、声を掛けても返事が無ければ、姿も見えない。
という事は、『神隠し』。そう結論付けるしかない。
「はははっ、なんで……今なのよ?父さんが死んで、ショック受けてお母さんが引きこもってるって言う時にさ……」
『星丘神社』の本来の巫女は、
訳あってショックを受けた母親の代わりに『巫女代理』として仕事を任されたのが、レン姉だ。
「可能性……」
そう言った瞬間レン姉は、神社の階段を駆けた。
──しかし、明るかった夕日は雲で陰り始めている。
---
さあ行こう、ょぅι゛ょを連れて異世界へ? †らみえる† @shadow_world_
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。さあ行こう、ょぅι゛ょを連れて異世界へ?の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます