あとがき
Zarmanochegasについて、どういうわけか、ZarmanoとはŚramaṇaであって、ジャイナ教僧ではなさそうだから、すなわち仏教僧である、という説が、定説の如く流布している。私はこの説に懐疑的であった。この説を唱える学者先生方が、彼が何の用があってローマへの使節に加わっていたのか、またなぜ「先祖の慣習に従って自らを不滅にした」のか、充分に論考していなかったからである。私の学術面での意見は本編に込めたし、私がこの劇で皆さんに伝えたいのはその種の意見ではないので、ここで詳述することはしないが、この懐疑が、私がこの劇を書こうと思うに至る最初のきっかけではあった。そうそう、Śarmanとはバラモンに多い姓ないし異名で、「幸せ」の意である。
さてこの劇のどこまでが史実でどこからが虚構なのか、ということを私に尋ねる人がいるかもしれない。しかしご承知の通り、劇の命は真実味であるから、私はその問いには、すべて真実である、と答えて劇作家の務めを果たさなければならない。しかしこの、あまり広く知られているとは言えない人、この出来事、諸背景を紹介したいというのも、私がこの劇を書いた動機の一部であるので、参考文献を少し書いておきたい。全て英語だが、ブラウザの翻訳機能か翻訳サイトを利用することで各国語で読めることと思う。
ザルマノケガス、ザルマルスのことは、ストラボンの『地理誌』(XV,1,4とXV,1,73)と、カッシウス・ディオの『ローマ史』(LIV,9)に書かれている。
地理誌
https://penelope.uchicago.edu/Thayer/E/Roman/Texts/Strabo/home.html
ローマ史
https://penelope.uchicago.edu/Thayer/E/Roman/Texts/Cassius_Dio/home.html
アウグストゥス帝の時代のインド洋交易については、脚注でも示したが、『エリュトラー海周遊記』以外に考えられない。
https://depts.washington.edu/silkroad/texts/periplus/periplus.html
古代インド洋交易へのジャイナ教徒の関りについては、モーティ・チャンドラの『Trade and Trade Routtes In Ancient India』がある。
https://archive.org/details/dli.pahar.3507/
ジャイナ教の聖典をはじめ、マハーバーラタ、ウパニシャッドなどヒンドスタンの主要な古典籍の多くが読める『ウィズダム・ライブラリー』を独力で構築したゲイブ・ヒエムストラ氏の熱情と敬虔さには脱帽する他ない。
https://www.wisdomlib.org/
アウグストゥス帝の霊廟に記されていた碑文『神聖アウグストゥスの功績』はここで読める。
https://classics.mit.edu/Augustus/deeds.html
この劇を読んだ人が自殺を肯定しないか、ということは、当然強く警戒した。工夫はしたし、それは成功したと思っているが、それでもなお、これを読んで自殺したいと思ったのではない人が、これは自殺を肯定するものである、と言うかもしれない。そのように見たい人は、そのように見ればよいと思う。真理は風の中にあり、各人がそれぞれ探し当てるものだからである。しかしこれは伝えたい。私はあなたに歓喜してもらうためにこれを書いた。
Ramaneyya Asu
ザルマノケガスとして知られるバラモンの聖シャルマン・ケージャジーは如何にして祭火を献じたか Ramaneyya Asu @Ramaneyya_Asu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます