かいせつ と あとがき もとい、蛇足
ここまでたどり着いたということは(余程の
拙いものに時間を割いてくださりありがとうございます。
さてもさても、どうしてこのような話をーー代表作をほったらかしにしてーー書いたのかというと、とある人物の悩みを聞いたためです。
曰く。
「自分は書く速度は早いが密度がない」
「中身がない」
「(上二つの原因が)文字数にこだわるせいもあると思う」
これについて「そんなことない」「こうすればいい」、と言うのはAIでもできます(2秒ぐらいで)。しかし、それではつまらないですよね。
なのでここは実例を交えて証明してやろうじゃないか!
そんなわけでこのおはなしは作られました。
作成時間(本文):90分ほど、半分は業務中に書いた
インスピレーションにかかった時間:職場の手洗い場を往復する間
以下にぼそぼそと書いてあるのは中の人がどのような意図で文章を書いたのか、膨大なネタを交えて解説します。
タグに「創作論」があるのはこれのせい。
・町は異国の聖人、彼の生誕を祝う
⇒素直にキリストの、とはっきり書けばいいものを。
・黒檀色の水を跳ね除けながら
⇒違和感、もとい伏線その①。通常、美しさの象徴である雪をわざわざ汚く書くことはない、と思う。
・一昔前はこういった空気になじめない者が大勢いたらしい
⇒これは現実に同じような記事がネットにあった(Yahooニュースだったかな)。言論の自由と発信のし易さによって「出現」した病の一つ。そうみるのもいいだろう。読者の皆様は是非それぞれの方法で楽しんで欲しいと思う。
ちなみに中の人は基本
・全くもって
⇒作中時間が現在、或いは近未来であることを示唆している。今風である、もしくは「昭和的」のような言い方。解釈は自由だ。
・耳元にくぐもった歌が流れこむ。
⇒違和感、もとい伏線その②。この表現からイメージされるのは耳当てとか、その程度だろう……
・We Wish You a Merry Christmas And a happy New Year~♪
⇒もういくつ寝ると~お正月~♪
来年も続きますように。
・襟巻をぎゅっときつく締めることで季節越えの寒波に抗う風を装う
⇒全身を防護服で覆うなら意味のない行動だ。マフラーと言わないのはほんの少しのノスタルジアを表現(したつもり)。
・何かの拍子に防具がぶつかる音がする
⇒違和感、もとい伏線その③。ぶつかる音がする「防具」って何ですか???
・自身の指向に則った
⇒現実の延長線として書くならある種の……は必要だろう。
ひどい皮肉だ(本編より)。
・確かに非日常だからといって全てが悪いという訳じゃないらしい
⇒感情的に否定したいのはやまやまだが、未来からの視点で見ると、全ての悲劇はみんなそんなものだよね。
・需要があるから供給がある
⇒この短編及び自身の代表作についてはノーコメントで。
すべては俺のために。
・この季節になると多くの店は「おたかい」ものを
⇒ホールのケーキとか。大切なだれかに贈りたいですね。
・片手には法則通りのものを。もう片方には絆を
⇒素直に「買い物袋と恋人の手」とか書けばいいのに。
・……自分には関係ないことだ
⇒中の人の声ではない。本当だお。
・「いらっしゃらせー」
⇒最低限のなにかしらを守っているような、いないような。そんなイントネーション・ニュアンスのセリフ。実体験曰く「2日でやる気が失せる」
・そして侮蔑の色彩は直後にほんのわずかに驚きが混じった
⇒何故かこのような反応となったのか、具体的なことは記されていない。推理するのはキミだ!(CV:高山みなみ)
・牛丼大盛りチーズつきでーす
⇒半年前に食べたチーズ牛丼は本作への伏線だったのだよ。
・ごゆっくりーぃ
⇒ひどい皮肉だ(大事なことだから二回目)。幸いにも中の人は30秒で平らげるという技巧は持っていない。
・何の変哲もないチェーン店だ
⇒吉〇の家⁉ それとも〇の屋敷かもしれない。牛ビビン丼が好き。
それはさておき、この一文だけ(いわゆる)カメラが一人称より離れて店全体を映している。どちらかといえば漫画的な手法。
・いつ食べても一定の評価ができる味
⇒曰く、量産型の味。これ自体がかなりの価値を持つことは自炊したことがある
いわゆるグルメシーンというものは、味や触感の文的技巧を表す場ではないということに留意されたし。それは単なるイメージの補完に過ぎないのだ。
・半分が過ぎたら七味や紅ショウガを入れて変化させるのもいいだろう
⇒味変は文化だってはっきりわかんだね。
・同年から見れば碩学のようであった
⇒碩学(せきがく)とは、修めた学問の広く深いこと、という意味。
つまりはオタクなのだが、昨今はインターネットとAIの発達により珍しくとも何ともなくなってしまった。
ひどい皮肉だ(大事なことだから三回目)。
・知識は力に弱かった
⇒オタクなら一度は経験あるはず? 勉強バカ、机上の空論、やっぱ筋肉はパワー。色々な表現をしてみよう。
・相応以上の右を向くように
⇒右向け右! カンがよい人なら政治的な意味の「右」であるとわかるかもしれない。ましてや相応以上の、ということは?
・「そういった」偉人の著物
⇒ 人が思考しないことは、政府にとって幸いだ。
投票した者が決めるのではない。投票を数える者が全てを決めるのだ。
・ 「彼ら」はやがて大勢の不満を一手に引き受け~
⇒どこかで聞いたことがあるようなお話ですねぇ?
・知識は力を得た。
力の根源は理想だった。
そして行使した。
⇒この「知識」が机上の、理論上は、などの頭がついたものであることを読み取れれば何を指すのか。イメージできるかもしれない。
・友は誰が何と言おうと、友だった
⇒一見すると感動を呼びそうなセリフも、前後の文脈で突然おかしくなることもある。文章の面白さというのがよくあらわれる瞬間だと思う(自分のが成功しているのかはさておき)。
・「キミは僕の最初の
⇒上記と同じ。ともだち、ねぇ?
・ちょうど白い雪と~ささやかな思い出
⇒人は五感によって記憶する。食事はその最たる例だろう。だから人は、親しいものと食事をするし、その誘いがあるというのは一種のメッセージなのだ。
・だから私は毎年必ずここを訪れ、どこかで見守る友のために祝杯をあげる
⇒友が今何をしているのかを示唆する一文。
・次の年も、見守ってくれますように、と。
⇒上に同じ。
・煤に汚れた防護服を装備して~
⇒おや……? いわかん の ようすが……!
(BGM)
おめでとう! いわかん は ふくせんかいしゅう に しんかした!
・「……明日の放爆性降下物の濃度予想は【9】~
⇒怒涛の伏線回収である。
・己防護の備えを忘れずに
⇒だから国なんかあてにしちゃだめよ(自〇防衛おじさん)
・大本営の発表によりますと
⇒(戻って)来ないで。ネットでもリアルでも色々な理由で擦られる存在である。
カレル・ヴァン ウォルフレンが『日本権力構造の謎』で指摘したように、責任者の所在が全く分からない文化を持つ我らにとってヘイトが行きやすいのだろう。こう書くとまるで擁護しているようだが、実際特に意図はない。
・大陸間分裂噴進巨弾
⇒我ながら気持ち悪い単語であると思う。予告してくれるあたり時代だなぁというか、奇妙なリアルさがある。
・対噴進巨弾迎撃用電装砲
⇒とある通称のレールガンというやつ。
様々な論があることを承知の上で書くが、近年の戦争科学の発達を見るに、レーザーで敵対飛来物を迎撃するのは大変に困難があるようだ。アメリカはこれに苦労している一方、我らが軍……じゃなくて自衛隊が頑張るレールガンの方がより現実的という予測がある。実際どうなるかは注視する次第。
やっぱ暴力は物理が一番だよ兄貴。
・第5回、第7回のように今回の攻撃も
⇒実にプロパガンダである。はて、1~4回と6回の時はどうしたのだろう。作中の様子を見るに……ん? こんな夜中にいったい誰うわ!いったいあんたらはなんn
・来年も良い年になるだろう。
私にできることはそう祈ることだけ。
⇒ある意味日本人らしい思考かもしれない。まぁ、実際にできるのはそれしかないのだが。
一部の作者・読者が好きなディストピアものであるが、たまによく勘違いしたシーンを見る。それは極端に残虐な指導者か、やたらと反体制派が多い国だ。わかりやすさでいえば確かにそうなのだが、少々安易で品がない。
例えば事実上の一党独裁的な我が国において不満を持つ者は大勢いるだろうが、テロをしようとは思わないだろう(最近は少々事情が異なるようだ)。また与党はそこまで残虐ではない。
すべての体制は実は民主的であり、長らく続いているのはそのほうが国民にとって都合がいいからだ。
仮に上記二つが表れるのなら、それは体制――国が斜陽の時であり、ちゃんとそういう根拠と状況を作らなければならない。
あとがき
つまり、中身があるというのは一文一文にちゃんとストーリー展開以上の意味がある作品ではないかと愚考する次第。情報量、と言い換えてもいいだろう。
そしてご覧のとおり――解説のほうが本編の倍以上ある――少ない文字量でもみっちみちに詰まった物語は短時間で創造可能だ。
実際リアルの都合上省いた箇所がいくつかある。興味があれば探してみるのも一興だろう。これを一般には考察といい、短編長編関わらず「全てを語らないこと」が肝要だ。……最近の作品はだいぶおしゃべりなようで。
で、矛盾する話だが、本稿のタイトルに蛇足とあるのはこの論議を自らブチ壊しているからである。申し訳ない限り。
さいごに
読んでくださった皆様の道に良きことが多くありますよう、私は心より祈ります。
END
ところでジャンルが「現代ドラマ」でいいのか未だに悩んでいます。意見があれば幸い。
大衆のあいまいな意思は空を黒く染め上げた ラジオ・K @radioK
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