第3話 思い出の味
真紀が「よいしょ。はい、出来た」とフライパンを片手に皿に盛り付けた。
美味しそうなケチャップの匂いに、フライパンを洗う手がリズムに乗っていた。
心が「ね?食べて良い?」と真紀に聞くと、真紀が「ちゃんと、スペアリブを片付けてからにしてよ?じゃないと洗い物が片付かないじゃない」と心に注意をした。
心が「はいはい。分かりました」と皿を持って行ってゴミ箱に捨てた。
心がカチャカチャと音を立てて洗い物をしていると、真紀が「ほれ。これあげる」と冷たいオレンジジュースを心の頬に付けた。
心が「ひや、びっくりした」と真紀の差し入れを頬に付けられて驚いていた。
真紀が「ふふふ。お疲れ様」と微笑んで、心と一緒に空き缶を開けて、オレンジジュースを飲み始めた。
真紀が「ね?心。あれから俊助くんとは、どうなったわけ?」と急に聞かれて、心が思わずオレンジジュースを口から噴き出した。
心が「どうなったって、それは、別にアイツが悪いんだから謝るも何もないよ」と真紀に返事を返した。
真紀が「ふーん、喧嘩は犬も食わないからね?もっと仲良くしてあげたら良いのにと私は思うけど」と心の返事に答えた。
心が「ふうー、それ誰かの生き写し?」と真紀に呆れて物が言えなかった。
真紀は「そうね?私の母親の生写しかも」と心に笑いかけた。
その頃、俊助は「ヘクション」とくしゃみをしていた。
俊助が「誰かが俺のことを噂しているな?」と鼻の下を摩った。
心は「真紀ってさ、好きな人居ないの?こんなに料理が上手いのに」と真紀に不思議そうに声を掛けた。
真紀が「居ないけど。作る気もそもそもないし」と心に気持ちを伝えた。
心が「そうか。そうだよね?私も今は誰も居ない」と真紀に返事を返した。
真紀が「それはそれで良いと思うよ。でも、将来的には幸せにならないとって言う気持ちはどこかにあるよ」と心に返事を返した。
心が「それもそうか。皆、人それぞれ人生があるもんね」と真紀に話し掛けた。
真紀が立ち上がると、「そうと決まれば人生に向けてお互いに頑張ろう」と拳を上に上げた。
この陽の中で 影山 みはつ @mihatsu1865
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