エピローグ ~『後宮画師はモフモフに愛される』~
(
襟元を整えると、軽く息を吐いて部屋を後にする。
廊下に出ると、朝露の香りが漂い、ひんやりとした空気が
「
「おはよう、
「もう歩けるようになったのですね」
「おかげさまでね。筆を握れるくらいには回復したから、仕事にも復帰できるわ」
「
「私は私のできることをしただけですから」
「それでも感謝したいの。あなたが罪を暴いてくれたおかげで、
「もっとも、無罪放免とはいかなかったわ……」
「重罪になりそうなのですか?」
「いえ、被害者の私が減刑を求めたから。おかげで罪は軽くなるそうよ」
未遂で終わったとはいえ、命を奪おうとしたのだ。懲役は覚悟しなければならないだろうが、生きてさえいれば、いずれまた再会できる。その日が訪れるのを期待するかのように、
「趙炎様はどうなるのでしょうか?」
「共犯とはいえ、利用されていただけだから。服役の日数は首謀者の
「そうですか……」
趙炎が協力したのは、
(それでも当分は牢屋生活ですから。きっと反省してくれますよね)
もう二度と過ちを犯さないで欲しいと心の中で祈る。その願いが叶うかどうかは、彼の心根次第だろう。
「これから私は画房に行くわ。
「私は休日ですから。
「もしかして逢引?」
「友人同士の交流ですよ」
「なら邪魔しちゃ悪いわね……また明日、画房で会いましょう」
そう言い残して、
(
改めて尊敬の念を抱きながら、
「お待たせしました」
「私も今来たところさ。さっそく出発しようか」
「はい」
窓の外に目を向けると、後宮の庭園が徐々に遠ざかり、街の景色が広がり始めていく。通りを行き交う人々は活気に満ち、商店からは呼び込みの声が聞こえてきた。
「ここからもう少し進めば、お祭りの会場だ」
「皆さん、活気付いてますね」
「九尾の狐を祀るお祭りだからね。豊穣を願うために、遠くからも人が集まる人気の伝統行事なんだ」
馬車がさらに進むと、大きな門が目に入り、その上には『九尾祭典』と記された垂れ幕が揺れている。
門の前では狐の耳や尻尾で仮装した人たちが溢れ、笑顔で会話を楽しんでいた。
馬車が止まり、扉を開いて
屋台が軒を連ね、焼き団子や飴細工の香りが漂っている。舞台では狐の仮面を付けた踊り手たちが軽やかに舞い、拍手や歓声をあげていた。
「ここまで来た甲斐があったね」
「ですね」
すると、その内の一つ、遊戯の屋台で足を止める。
「これは……」
「投壺だね。壺に輪っかを投げ入れて、成功すると景品が貰えるんだ。簡単そうに見えて意外と難しいんだよ」
「それは試してみたいですね」
「初めてだと難しいさ。私が手本を見せよう」
「やりましたね!」
「商品は狐の帽子になります」
渡された帽子はふわふわとした毛並みが特徴の愛らしいデザインだった。耳がピンと立ち、手触りも柔らかで、どこか温かみを感じさせた。
「せっかくなので被ってみるのはどうでしょうか?」
「私がかい?」
「
「どうかな?」
「とても良くお似合いですよ」
「そう言ってもらえると、少し恥じらいが抑えられた気がするよ」
二人は穏やかに笑い合う。そして
「君といると、とても楽しいよ。これからもずっと
その言葉を聞いた
「私も……
二人が交わした言葉が友情なのか、愛情なのかは敢えて確認しない。重要なのはお互いに大切に想い合っているという事実だ。
帽子を被った
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後宮画師はモフモフに愛される ~白い結婚で浮気された私は離縁を決意しました~ 上下左右 @zyougesayuu
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