第8話 唸るヌンチャク
夕方 新宿駅南口フロア
チョーコーからの下校時、その辺りを1人で歩いていたソンセイケンは、チョーコーの後輩女学生3人がサカンの5人組におちゃくられながら足止めされているのを目撃した。
それを見た瞬間頭に血が上ったソンセイケンは、カバン(チョンバッグ)の中に忍ばせていたヌンチャクを取り出しながら、その5人組に猛ダッシュで突撃する。
「このジャバラども!」
朝高生は国士館をサカン呼びとは別に、ジャバラと呼んだりもする。
理由は、国士館は戦前同様の尊皇愛国主義を賛美する右翼教育を行う学校であり、制服も戦前の海軍の軍服にあやかった別名ジャバラを着用している。だからチョーコー生たちは国士館に対し、蔑称を込めてジャバラと言うようになった。
話を戻す・・・・・
鬼の形相でサカン5人組に突撃するソンを目視したサカンたちは、そのソンの恐ろしい顔に慌てふためき、180度方向転換し逃げ始めた。
それを追いかけながら、右手に持ったヌンチャクを振り回しながら追いかけるソン。
場所は、人ごみだらけの新宿南口、サカン勢達も人ごみをかき分けながらの為うまく逃げらない。
それを逃さないソンは、一番足が遅いサカン坊に目を付け、その男の後頭部に思いっきりヌンチャクを振り下ろした。
それは見事に命中した。
後頭部を抑えながらそのまま逃げ去るサカン坊。
その背に向かってソンは叫んだ。
「女しか狙えない腐ったジャバラは俺たちの縄張りから消えな!」
ソンは気づいていなかったが、ヌンチャクによる後頭部への一撃は思いのほか重傷で、ソンから何とか逃げおおせた後、ヌンチャクで殴られたサカン坊遠藤は、後頭部から血がとめどなく流れる大出血状態で病院へ直行する羽目になった。
サカンたちは、この出来事に怒り心頭で完全にやかんが沸騰状態であった。
それが、この後の1973年4.29国士館vs朝高、歴史に残る新宿決戦大抗争事件へと繋がっていく・・・・・・。
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