ノスタルジックな雰囲気のある、良質な作品です。
主人公の涼子は、幼い孫のノブを連れて夏祭りの場を歩く。その途中、ノブが「あること」を口にし、酷く怯えた様子を見せてくる。
涼子には「あること」に関して心当たりがあるため、ノブが見ているもの、ノブが足を踏み入れてしまったものがなんであるか、すぐに理解することになる。
そうして、これからの人生で彼が歩んでいくであろう「苦悩と葛藤」にも気づき、孫をどうにか守りたいと考える。
本作は、同作者の短編作品「初秋」とも世界観を同じくする作品となっています。
そちらの作品では中学生に成長したノブが、「ある存在」と遭遇し、夏の終わりにある体験をするという、爽やかながらも切なさに満ちた、とても素敵な物語となっています。
この作品を読んだ後は、是非ともそちらの方も手に取ってみることをオススメします。本作と同様に雰囲気やキャラクターの情緒が丁寧に描かれ、とても充実した読書体験を得られることを保証します。