うちの可愛い同僚
ピチャ
うちの可愛い同僚
「俺知ーらね」
待て。お前は確実に知っているやつだろ。
急に仕事依頼が舞い込んできて、明日からは忙しくなりそうだ。
それはわかっている。だけれども、私はどのくらい自分が捌けるのか、まだ知らない。
依頼が舞い込めば勿論仕事をする。私たちはそれで生きさせてもらっている身だ。
本来はこれだけ仕事を抱えたら、誰かに割り振るべきだ。
しかし皆の仕事状況を確認すると、どうやら手の空く人はいない様子。
しかも明日は捌ける仕事量の多い部下が休みだ。
厄介な案件も抱えている。どうしたものか。
私が依頼対応をしている中で、同僚がぽつりと言った一言。
「俺知―らね」
待て。お前は確実に知っているやつだろ。
その分野に詳しいやつだ。おそらく私の請けた仕事内容を聞いていたのだろう。
それ、捌けなくね?
あいつのそんな脳内が見て取れる。
だから私はこの分野詳しくないんだって。知っているなら助けろや。
おそらくあいつ、明日は外回りに行く。
どこまでも責任を取らないやつ。性格が悪い。
こてんぱんにやられて涙目になっている私を横目で見るんだろう。展開は読めている。
本当に可愛い同僚を持ったものだ。いい加減にしろ。
そう、人の性格は言動に表れる。
だからこそ見た目や所作が大事なんだ。
私はそんなに仕事を押し付けられる人間に見えるのだろうか。
見えるのだろうな。高齢者に道を聞かれやすいタイプだ。
毎度毎度弱者窓口にしやがって。
舐めてんじゃねえぞコラ。私の見た目はそんなことのためにあるんじゃねえ。
ときどきいるんだ。弱者のフリをして上手く近づいてくる奴らが。
面倒で儲からない仕事を押し付けて、自分は楽をしているんだ。
だけど私は損をしていない。
この意味がわかるか?
可愛い子どもたちよ。考えたまえ。
うちの可愛い同僚 ピチャ @yuhanagiya
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