あゝ世界よ

武河原 黒露樹

第1話 祖国

「日本軍万歳!」

歓声が飛び交う街中、渋谷駅スクランブル交差点。

大勢が涙して、それが全国共通。当たり前の光景に思えるほど、俺の頭はIQが高くないようだ。

「うぉぉぉ!天皇万歳!」「日本こそがこの世界の頂点!」

歪みすぎている。多様性なんて、尊重なんてガン無視の発言ばかり飛び交っている。

「なんなんだよこれ、、、」

俺は困惑しかできなかった。そこまで頭が良くなかった。

「お前も飲め!今日は祝いの日だ!!酔いつぶれろ!」

口に直接瓶の口をつけて無理やり飲ませてくる体制になった。

一升瓶丸々飲まされる訳には行かないと舌で塞ぐが周りに人が多すぎるせいで体がぶれ、上手く塞き止められない。

そんな時救いの手を差し伸べた、いやこの世界の終わりを知らせに来たって言い回した方が適切な可能性だってある。

電柱が伸びた。建物が伸びた。ガードレールが伸びた。全てが伸びた。

高さはざっと東京タワーと同じと仮定してやく300メートルとしよう。

それは内側に一斉に倒れてきて、スクランブル交差点のど真ん中の真上で交わり山形になった。

「お?なんや?酔ってて幻覚でも見てんのか?」

「こりゃ世界の祝福やで!!」

一斉に笑い始める。無気味な笑い顔がそこらじゅうに見える。

みんなが笑ってる。直後、たっていたのは俺だけ。

赤い水たまりと砕けた白い塊。所々に見える目に入れたくない肉の塊。

俺は呆然とした。

上で交わっていて、安定しているように見えた柱たちが倒れてきて、まるで蜘蛛の巣のように、周りの笑っている非常識なヤツらが肉塊になった。

「、、、、、、もう訳分からん、、、」

どうなっとるんや?

困惑しか頭に残らなかった。

「あなたはテレビ局の人間ですか?」

迷彩服を着た黒いヘルメットをみにつけた男がこちらを見て驚愕した目でこちらを見てきた。

「いえ、、私は普通の小説家ですが?」

「小説家、、その可能性があったか!」

言ってる意味は訳が分からない。だが、何故か俺は言っていることの意味が少しわかったような気になった。

「あなたの作った小説を見せてください。」

言葉を言われて1番に見たのは倒れていた伸びた建物、ここには本屋が入っていた記憶がある。

「じゃあ、、こちらへ」

俺は男を案内するように本屋の近くにより文庫本のコーナーを探した。伸びた建物は気付けば戻っていた。もしかしたら俺が作った小説のようにだんだん縮まってきたのかもしれない


ん、、、、?何だこの違和感は、、


俺は男に自分の作った小説「恐れます東京都」という物語の内容を見せながら紹介した。

今までの違和感の正体がわかった。疑問が確信に変わった。

まるで幻想のような事だか。今まで起きたことは全て俺の書いた物語の筋書き通りに進んで行ったのだ。

「信じられない、この状況は俺が作りだしたのか?」

「それは違います。この出来事は全世界で起きています。我々の仲間も半分以上が死にました。」

「どういうことだ?全世界で起きてるって、他の世界でもって」

「どういうことだかは分かりませんが、全世界で日本の小説に書かれている内容とら共通のことが起きているそうです。」

「それって内容によっては極端なことを言うとドラゴンが出たり魔王が出たりするんじゃないか?」

「その通りです。イスラエルでは吉本勇儀先生の「狂った世界にさようなら」が、そのせいで世界を壊す魔物がこの世界に出現しました。」

狂った世界にさようならは、最後の最後に主人公がこの世界が嫌になり特殊能力を使いこの世界という存在事無くしてしまうというオチだ。

そんな主人公がこの世界に出現した?冗談だじゃない。

待て。もしや吉本くんは今海外に取材に行っているはず、イスラエルか?

もう一人の男の名を出してみよう。

「黒田雄一郎くんは今どこにいる?」

「黒田先生は今アメリカにいて、アメリカは黒田先生の作った「黒神クロニクル」の物語通り、大地震が起こり世界が崩壊しました。」


日本にいる小説家は大勢いるはず。その中で俺が選ばれたということは。


「あなたは選ばれし主人公であり、日本の命運を分けるお方なのです。」


勅使河原塁先生。


嫌な予感がした。俺の話は、ここで主人公の仲間であるひとりが死ぬのだ。


「あなたに状況を伝えることが出来て良かった。任せますよ、勅使河原さん」


「待て!!ダメだ!」


「ここで僕が死ななければ、ストーリー通りに行きません。ダメですよ。」


彼は、落ちてきたビルの破片らしきものに押しつぶされ、肉片となった。

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あゝ世界よ 武河原 黒露樹 @otakubros85

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