第十章:口癖

ダイバーたちは新しい装備の改善を待ちながら、旧装備でポイントへ向かうためのブリーフィングを行った。「今回のミッションでは、難易度の高いポイントへの潜行を行う。」オスカーは険しい表情で続けた。「新たな装備の導入に加えて、活動領域を広げることが目的だ。俺たちも経験したことのない難関が立ちはだかっているだろう。特に注意したいのは、新たなNGC:0の存在だ。」


エドは不安を抱えながらも、オスカーの部隊発表を待った。「エド、今回は俺とだ。ちなみにサポオペはルイ。」オスカーは少し微笑んで言った。エドはベテランの二人とチームを組めることに胸が高鳴り、安心感を覚えた。


彼らは新たなミッションのために潜行服を着込み、ポイントへ向かった。バイザー強化シェルを下ろし、エドとオスカーは懐かしいことを話しながら進んだ。オスカーは思い出したように質問した。「エドはここに来る前、どんな研究を行っていたんだ?」


「僕はURとは別の物質から水資源に変換できるものがないか研究していました。可能性はあったんですが、水資源への変換が難しくて断念しました。他に何かないかと文献をあさっていたところ、URCPを見つけて興味が湧いたんです。」と、エドは懐かしそうに話した。


オスカーはそれを聞いて立ち止まり、口を開いた。「俺には昔、お前と同じ研究者の友人がいたんだよ。」エドはオスカーの話に耳を傾けた。「訓練の時に話したろ、NGC:0にやられたって。そいつの話だ。あいつはエドとは違うが、リサーチャーとしてNGC:0の研究をしてた。あいつはNGC:0のことになると口が開きっぱなしで、目をキラキラ輝かせながら話すんだ。あいつは本当に勇気のあるやつで、ダイバーになってNGC:0をもっと近くで観察すると言ってダイバーになった。そのとき、俺はまだDC(ディスティルカンパニー)にもいなかったが、あいつを守ろうとダイバーになったんだ。」


突然、ソナーに異常な反応が出た。その反応はどんどん二人の方へ近づいてくる。オスカーはスキャナーをその方向に向け、形状を把握した。それは人間とほぼ同じ身長の怪物だった。「まずいな。」オスカーはその怪物がソナーで一番近くまで接近したことを確認すると、右手を大きく突き出し、怪物をなぎ倒した。「こりゃNGC:0も驚きだな。」オスカーは決め台詞のように言い放った。


「二人とも、NGC:0の生体反応はまだある。今のうちに安全な距離を確保して。」ルイが冷静に指示を出し、二人はポイントから帰還した。


無事に帰還したエドは、今回のダイブでの出来事をレアに報告した。レアは驚いた表情で言った。「それはNGC:0も驚いたでしょうね。」


その言葉を聞いて、エドは聞き覚えがあると感じた。「それ、オスカーさんも言ってました。」そこにルイが現れ、こう言い放った。「彼らの口癖なんだ。『NGC:0も驚くぞ。』という言葉は。」エドは納得した表情で立ち尽くした。

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