第10話 自分(高校時代のエッセイ)

ふと後ろを振り返り自分を見た

そこには虚ろな瞳をした自分がいた

ただ黙ってある物体を見つめていた


冬枯れの景色の中に自分を見た

そこには輝く瞳をした自分がいた

ただ笑ってある物体を見つめていた


雪解けの季節に自分を見た

そこには死んだ瞳をした自分がいた

ただ生きているだけの自分がいた


もうある物体の姿はなかった

自分の中にたったひとつの光を

照らしてくれた物体の姿は・・・


もう生きる力を失った

閉ざされてしまった心の扉

暗闇の中にひとり


涙跡もなく無表情な顔

何も考えられないひとつの物体

生きた屍のような自分


こんな自分が無性に腹立つ

惨めな姿のこの物体

たったひとつの存在


ある物体を恨んでみた

何度も何度も・・・だけど

あとに残るのは後悔だけ


時はどんどん過ぎていく

そしてある物体の存在は

自分の中に時とともに


刻まれた

深く・・・深く

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琴幸 @kotohana

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