響 遥香①
…私は
…でも、そんな私じゃ人とお友達になんかなれないのでしょうか?呪いが人と、なんて夢物なのかもしれませんね?
そんな風に諦めかけていたときでした。私が羽美ちゃんと出会ったのは。落ち込んでた彼女に話しかけて悩みを聞いたら思った以上に懐かれてしまいました。…こういうのを傷心につけこむって言うんですよね?
だけど、彼女と一緒にいるのはすごく居心地が良くて、一時的にでも私が呪いだってことも忘れさせてくれます。
…だからですかね?私は油断していたんです。羽美ちゃんたちと仲良くなってきて、友達だって。私が呪いだってことは絶対にバレちゃいけなかったのに。
羽美ちゃんに呪いの証である黒い*を見られてしまいました。だけど、もしかしたら羽美ちゃんなら分かってくれるかも!…そんな風に思ったけど、すぐにそんなことないって分かりました。恐怖、敵意、絶望。羽美ちゃんの表情にはそんなものが浮かんでいます。…私はいてもたってもいられず、その場を逃げ出しました。
…それなのに、またこの場所に戻ってきているのはどうしてでしょうか?私は自分の家の前に立っています。どうやって帰ってきたのか、それすらも分かりません。でも、あれからまだそんなに時間は経ってないはずです。必要なものだけ持ってすぐに立ち去るのが一番、でしょうか?
そうして中に入ったら既に人の気配がしました。羽美ちゃんと、その友達で私も友達だと思ってる翔真君がいました。それから、何故か私が怖がらせちゃった羽美ちゃんが抱きついてきました。…翔真君が何かしてくれた、んだよね?
そんな翔真君は私を遥香ちゃんって呼んだり、私のことを大切な人って言ってくれたりでもう訳が分かりません!
私が呪いだって知ってるはずなのに、翔真君は私のほしい言葉ばかりを投げかけてくれます。羽美ちゃんと変な雰囲気になっちゃったからか傷ついていた私の心にすっと入ってきます。
…これが因果応報ということなんでしょうか?羽美ちゃんの傷心につけこんだ私が、こんどは翔真君につけこまれています。…でも、私の方がお姉さんなんです。いいように転がされるのも癪ですし、羽美ちゃんも翔真君が好きになってるのがやり取りで分かりました。
だから私は自分の気持ちを落ち着かせるためにも翔真君を外に追いやってしまいました。…今でもこのことを思うと後悔します。そのせいで翔真君を傷つけることになってしまったんですから。
私が気づいて駆けつけたときには全てが終わっていました。血だまりの中に佇む翔真君。俯いている彼になんて声をかければいいのか分からなかったんです。それに近づくなって。
きっと私だけだったらそのまま止まってしまったと思います。それでも、純粋な羽美ちゃんに助けられて何とか言葉を届けることはできました。
…なのに翔真君には届かなくて、私たちは振り切られてしまいました。私はそれを立ち尽くして見ることしかできません。
そんな私に発破をかけてくれたのは、やっぱり羽美ちゃんでした。悩む私に「うじうじしないで! 言いたいことがあるならちゃんと伝えなきゃ!」って。
…だから私はもう一度翔真君としっかり話したいと思ったんです。それに、もう色んな誤魔化しは通用しなくなってきました。…言葉の通り命がけで私たちを助けてくれた翔真君。
私、響 遥香は、白石 翔真君のことが好きです。
鬱ゲーの世界に転生したモブ、本編で死んでしまう人たちを助けてただけなのにハーレムになった。…主人公、お前はそんなやつだったのか? 零 @cowardscuz
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