少しモテたから性癖を突き詰めたが馬鹿になる思春期

 車が家に着いた。

 駐車場から家までの短い距離、息子は手を繋いでくれと言う。


「せやな、寒いからな」


 手を繋ぎながら思う。小さい手だ。

 気の利いた言葉は相変わらず出てこない。

 小説も同じだ。頭には幾らでも出てくるのに、子供の時から妄想癖があり何千何万と物語を考えてきたのに、それを形に出来る頭が無い、経験も無い。

 そして、時間も、感情も。

 直感的に生きて、それを吐き出し、成功する人間が何人いるんだろう。


「ただいまぁ〜」『ううーん…帰った?』


 家では今日一緒に行く予定だった妻のクマは腹が痛くて寝ていた。

 大体、俺と妻の半々で送り迎えをしている。


「おう、腹大丈夫か?今日もコイツはやる気が『あんたぁっ!よくやったじゃない!やったよ!やれば出来んじゃんよぉっ!』


 スゴい勢いで息子をまくし立てるクマ。頭をグワシグワシと撫で回す…そして…


『よくやっ…イタタタッ!腹痛い!うんこうんこ!』

「いや、早くトイレにいけよ…」


 ドタタタタタタッ


『分かってるっ!うんこうんこ!ウ~ン…くさいっ!』


 似た者夫婦とか、顔も似ていると言われるが、俺とはまるで違うツマのクマ。

 駆け引きも、予定調和も、諦める事も彼女には出来なかった。

 本能の様なもので抑え込まれた20代後半。

 このクマの様なツマに出会えなければ今頃俺は…


―――――――――――――――――――――――


 高校デビュー…そんな言葉がある。


 一番下では無いけれど?ヤンキー高校では無いけれど?公立高校だからお安いですが?つまり来る奴は金持ちの家ではないけど?


 そんな学校に入った、名前はそうだな、エロ高校(仮)とでも言おうか?

 当時は新しい高校受験システムになった時期で意味がわからなすぎて全員ランクを下げて受験するか、もしくは最初から私立一本で行く人も多かった。

 俺は頭が悪すぎるし、中学校に行かないので内申もうんこ以下、当日はほぼ満点取らないと受からないと担任に言われたが、当日の受験の数学で2点(50点満点)を取った。しかし、何故か受かった。

 現国50点と図書副委員長(幽霊)が効いたか?

 俺は親父の策略により、落ちたら宮大工にさせられるという罰ゲームから九死に一生を得た。


 まぁとにかく、俺は高校デビューした…らしい。


 実際、高校デビューってのは分からない。

 友達…高校は学歴で分けられるからリセットだ。

 地元関係無し、ゼロベースで仲良くなった。

 音楽好きな奴、漫画好きな奴、運動できる奴、気付けば10人近いグループに入っていた。

 そこで俺はバンドをやったりスケボーをやったり、バイクを乗り回したりと、高校生活を謳歌する事になる。


 そういえば、中学時代の性格の悪い俺にだけやたら粘着しまくってたヤンキーくずれが、高校で友達を作っているのが気に入らないらしい。

 調子にノッていると人伝に言われた。意味が分からない。


 ただ、高校で出来た友達に漫画が狂ったように好きに奴がいて、そいつの友人が中学生なのにベンツに乗っているような免許制度を完全に無視する様なほぼヤクザという悪い意味で大物だった。


 また、兄の友達の弟が地元の有名な半グレで仲良くなった…が、悲しい事に俺をボコボコにして金を巻き上げていた中学校のヤンキー達は彼に上納金を払っていた。


 結果、現代小説で言うところのざまぁが起きた。

 そのクズが俺に上納金の事を何とかしてくれとか、復讐を恐れてか仲間ぶろうとして連絡が来たりした。

 が、全然スッキリしなかった…ただ、面倒臭いだけ。

 しかも半グレの彼に『今日は奢るぜ』とか言われても、それ、元が俺の金やんけと言うと、『ウケるw』みたいな返事、しかし俺にはカンパが来なくなった。


 こんな人間関係だけで上下関係がひっくり返る。

 多分、社会に出たら今度は地位でひっくり返るんだろうな。

 俺は友達は大事だと思ったが、世の中の綺麗事や道徳はより信用出来なくなった。




 暗い話はここまでにしよう。

 高校では性癖が爆発した。

 同時に小説の元となる恋愛エピソードを沢山経験した。


 2年になってとにかく付き合おうと思った。

 友人が1年の時から狙っていたハーフのモテお洒落女に告白した。

 友人が振られた直後に、俺はじゃあ友達からと言って仲良くなりそこで面倒くさくない雰囲気で付き合う様に促したら付き合う事になった…なにそれ?

 結果、友人がBSSになった。

 しかし中身が空っぽの俺は自分の底が知れるのが怖くなりすぐ別れた。

 ちなみにその女は別の友人と付き合い浮気した。

 その後も俺の周りの友人は結構な確率でNTRされる。




 他にも友人が超有名私立のスカウトされる様な美少女と付き合ったが別れた。

 別れた女キラーの異名を持つ俺は紹介してもらい付き合った…が、すぐ別れた。

 理由はスパゲッティ食ってる時に野菜スパゲッティを頼んで野菜を全部残した。

『野菜、食べれないんだ』

 ついていけないと思ったし、別れた友人に聞いたら俺もそれだと言っていた。




 適当にメールを送って友達になるメル友が流行った。

 それで数人会った。その内の一人の顔力がやたら強いゴブリンファイター(影で見ていた友人が付けた)23歳に、ポッケに自撮りプリクラを大量にねじ込まれた。

『私、空手やってるから浮気としたらやっちゃうから♥』

 と付き合ってもいないのに謎の宣言をしたのでメールや電話を無視した。




 メル友で中学生のメンヘラと仲良くなった。

 電話で話すと延々と自分の不幸自慢?を垂れ流す。

 このままでは俺がメンヘラになると思い、雑に距離を取った。

 するとメールボックスと着信履歴が破壊されると思うほどのアタックされた。


『きっと君を待ってる人がいるよ、俺はそれを願う』


 意味不明な事を言って逃げようとしたが『切らないでぇっ!』と泣き叫びながら騒ぐ。

 切らないでぇというのはテレフォンとリスト、両方の意味と言うのをこの時初めて知った。

 すぐリストカットすると騒ぐ…どうせ口だけだろうと思ったが、試しに違う高校に行ったがうちの家に入り浸っていたイケマオの知り合いにそのメンヘラを勧めた。

 結果、幽霊のように宿主を変えた。

 後日、噂を聞いたがやはり手首はガンガン切ってたらしい、おめでとう、マオイケの知り合い。




 一番インパクトが強いのが同級生のメンヘラだな。

 俺は別れた直後の女キラーというゴミみたいな異名と行動を繰り返した結果、外見容姿が中位の強度のメンヘラを手に入れた。

 シングル親のDV属性を持ち、常に監視を怠らないなかなかのメンヘラだ。


 目的は一つ、脱童貞だ。

 

 しかしメンヘラで脱童貞は良くないと皆に伝えたい。

 奴らの始めてを奪うと、こちらの初めてを奪ってくるからだ。

 包丁を向けられる経験とかetc

 だから脱童貞は又、今度にしようと思った。


 しかし俺も歪んだ性癖を持つ男、今は違うというかフィクションです。

 俺はひたすらディープキスとク◯ニ゙した。一ヶ月、二ヶ月とひたすら繰り返した。

 怪我をして魅力を失った女性が『ク◯ニしろおらぁああ!』と凄んだ漫画が話題になったが、そんな事言われたら『やっちゃって、良いんだね?』と返す男だった。

 

 まぁ結果は別れる為に12時間ぐらい土下座。

 最後は『LOVEがLIKEになったんだね?』と全く意味不明な事を仰るので『exactly(仰る通り)』と返し、レース場で中破した50ccのレーサーバイク、TZR50(カウル無し)に跨り、逃げ回った。フィクションです。


 ちなみに別れる前にもう一回だけク……したら土下座時間が延びた。



 その様な結果、歪んだ愛の街、川崎じゃなくて、とにかく歪んだ付き合いばかりしていた弊害で性癖が行くところまで行った。

 エロ漫画が好き、コスプレものが好き、変身ヒロインが好き…から特撮実写エロに流れる。当時はニッチすぎる性癖なのでビデオが一本一萬円、エロゲも一本一萬円でございました。


 そしてそのクオリティ…ちゃんと起動しねぇ変身ヒロインのエロゲー、実写で触手ものにトライするチャレンジ精神は認めるが、明らかに入った風に見せかけてモザイクの横にビョーンと触手の様な何かが飛び出すのはどうなのか?

 と友人に言ったら『その性癖どうなのか?後、バイト代の使い途も』と全否定された。


 つまり、何が言いたいのかというと、道を踏み外した。それも盛大に、間違えた方向に。

 

 もし自分の息子がこの道に来たら?

 迷わず言うだろう…



 『やめろ馬鹿』…と。


※散文的になってしまいました…とりあえずフィクションですので、これは。

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優しい物語を見て、小説を書こうと思った クマとシオマネキ @akpkumasun

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