文明開化は自滅の源泉!?発展し続けた人間は根絶した…

天川裕司

文明開化は自滅の源泉!?発展し続けた人間は根絶した…

タイトル:(仮)文明開化は自滅の源泉!?発展し続けた人間は根絶した…


1行要約:

文明の利器に頼り過ぎた人間の自滅と、それを傍観していた原住民の末路


▼登場人物

●元太(げんた):孤島の原住民。男性。15歳。学校や仕事など現代人がするような事はせず、ただ生活の為に必要な事だけをしている。字や計算は寺子屋みたいな所で習った。

●素子(もとこ):孤島の原住民。女性。15歳。元太の幼馴染。

●元老(げんろう):原住民の島の長(おさ)。男性。80歳。

●他の原住民:元太や素子と同じような彼らが老若男女問わずいる。人数は「文明の島」の住人より少数。

●猛利(もうり):文明の島にいる社長。多勢の部下を従える。無くなった国家を再び再建しようと、発展に次ぐ発展を志す。参謀には常に闇商人を従える。

●猛利の部下:会社の部下のような存在。男女多数。生き残った者達。セリフなし。登場はイメージ的なものでOKです。

●闇商人:どこからともなく現れた、文明の島の人々に財産をもたらす商人。架空の設定のような感じでOKです。実は悪魔。猛利の部下として存在する。


▼イメージ設定と表記

●原住民の島の人達:南の島の原住民といった出で立ち。男女が適当に共存。全体的にのんびりしている。本編中では「原住民A~B」と表記。

●文明の島の人達:現代人のようにスーツや洋服を着てバリっとしている。男女が適当に共存。中には、過度な発展に不安を覚える者もいる。本編中では「文明人A~B」と表記。


▼場所設定

●原住民の島:発展をせず、自然と共存する人達が住む島。

●文明の島:発展に次ぐ発展を重ね、とにかくその島を拠点にまた帝国を建国しようと目論む。

※詳細

・原住民の島と文明の島はすぐ近くにある。

・原住民の島も文明の島も、面積は同じ。

・孤島はどちらもイギリスのマン島のような感じで小さな島。

・山と原っぱが共にある島。但し文明の島は山を切り取って、全土をビルの建つ敷地にしている。その沢山建てたビルは、ビルの上にビルが建つ…といった非常に不安定な感じ。


▼世界観の説明

・ひょんな事で核戦争が勃発し、それにより人類はほとんど死に絶えた。ストーリーはその後の展開。

・アメリカやロシアなど上半球の大国は放射能で人が住めない。でも放射能は段々弱まっていく様子で、やがて人が以前のように住める見込みが立っている。

・原住民の島と文明の島は、人災(核戦争)から唯一逃れる事が出来た南半球の僅かな島。そこに辿り着いた人々のストーリー。

・原住民の島の住人は「2度と核戦争をしたくない」と無謀な文明の発展を全て拒否し、自然と共存する道を選んだ。

・文明の島の住人は「1度犯した過ちを教訓とすれば、人間は2度と同じ過ちを犯さない」と希望を持ち、再び科学や文学による文明発展を志す。

・文明の島の住人(猛利を含む)が獲得する財産・金銭の出処については、暗に伏すような感じでお願いします。一応、闇商人の存在を設定し、そいつから貰っている事にしています。その闇商人はいわゆる悪魔です。

(この世界観を本編の冒頭に持って来ています。)


NAは元太でよろしくお願いいたします。



オープニング~


魔女子:ねぇぷちデビルくん、もし地球が核戦争で無くなっちゃったらどうしようって考えた事ある?

ぷちデビルくん:戦争の話か。まぁ俺ぁ不老不死だから、別に人間共が戦争しようがどうしようが関係無いって感じだな♪時々そういう争いを引き起こそうと、働き掛けてんのも俺だし♪

魔女子:あそーか、あんたそういう仕事もしてたんだったわね。ホント悪い人!

ぷちデビルくん:ありがとよ♪俺にとっちゃ誉め言葉だ♪

魔女子:今回のお話はね、もし地球が破滅寸前になっちゃったらっていう世界観で、そこに残された人達の生活のあり方と未来…ってのを追究したようなストーリーなの。

魔女子:ちょっと特殊な世界観だから、目を凝らして注意深く見てみてね。



メインシナリオ~

(メインシナリオのみ=4065字)


NA)

ひょんな事で核戦争が勃発してしまい、それにより人類はほとんど死に絶えた。

アメリカやロシアなど上半球に位置する大国は、放射能の影響により、ほとんど人が住めなくなった。

しかしその放射能は段々弱まっている様子で、やがて人が以前のように住める見込みが立っていた。


ト書き〈原住民の島と文明の島〉


NA)

そんな中ここ南半球に、僅かに残された2つの島がある。

生き残った人はそれぞれの島を、「原住民の島」、「文明の島」と名付けた。

その名の通り、原住民の島では無謀な文明の発展を全て拒否し、自然と共存する道を選んだ。

文明の島の住人は「1度犯した過ちを教訓とすれば、人間は2度と同じ過ちを犯さない」と希望を持ち、再び科学や文学による文明発展を志すようになった。


ト書き〈文明の島が発展し続けるのを原住民の島の住人が眺めている〉


元老)「…まぁた始めよったか。トントンカンカンうるさいもんじゃ。おい元太、お前もう1度行って注意して来い。こうウルサクちゃおちおち昼寝も出来ん」


元太)「はい」


NA)

僕の名前は元太。今年で15歳。

学校や仕事なんか現代人がするような事をここではせず、ただ生活の為に必要な事だけをしている。字や計算は、自然にこの島に出来た寺子屋みたいな所で習っていた。


NA)

僕達が住む原住民の島のすぐ隣りに文明の島がある。

文明の島の人達は、毎日毎日、働き過ぎるほど働いて、一体どこまで発展すれば満足するのか分らなかった。

僕達がこの島に漂流したのは大体5年前。文明の島の住人も同じ頃に辿り着いていた。

初め2つの島の住民は入り混じっていたけれど、そのうち「発展組」と「自然に生きる組」とに分かれ、今のように2つの島に別れて住むようになった。


ト書き〈文明の島に到着〉


元太)「猛利さん、ちゃんと話聞いてくれるかなぁ。また前みたいに門前払いされるんじゃないかなぁ」


ト書き〈沢山上積みされたビルの最上階:社長室にて〉


元太)「ねぇ猛利さん、またお願いに来ました。あまりそれ以上の発展はしないで下さい」


元太)「それ以上発展をしたらビルが倒れますよ。生活が無くなりますよ」


元太)「それにうるさくて眠れないと、うちの元老から…」


猛利)「また同じ事を言いに来たのかキミは。何度言ったら解るんだね?我々の道と君達の道は違うのだ。我々の邪魔はせんで貰いたいな」


ト書き〈猛利の部下が割り込んで来る〉


闇商人)「社長、今度予定していた投資の準備が出来ました」


猛利)「おう、そうかそうか♪なら、また新しいビルがこの上に建つんだな♪」


猛利)「まぁそんな事だから我々は忙しいんだ。とっとと帰り給え」


元太)「はぁ…」


やはり全く相手にされず、僕はこれまでと同じように帰島した。

もうこれで150回は訴えに来ていたが、全て門前払い。


元老)「なに?またビルを建てると」


元太)「ええ、そのように言ってました」


元老)「ふむぅ…。そのうち派手に倒れるぞ…」


ト書き〈猛利の社長室にて〉


闇商人)「まったくうるさいハエ共ですね。私達の文明開化による、輝かしい未来を奪おうとするなんて」


猛利)「まったく。これだから原住民の生活とは合わんのだ。主義も志も正義も何もかも合わん!わっはっは」


闇商人)「わっはっは」


NA)

この闇商人は、いつ、どこからともなく北半球の島からやって来て、いつしか猛利社長の部下に落ち着いていた。

他にも沢山の部下がおり、猛利はその自分の部下達と共に更なる発展を志していた。


ト書き〈ミサイルが完成〉


闇商人)「社長、敵国から我が国を守る為に、今度新しくまた新型ミサイルが完成しました」


猛利)「え?敵国なんて今の地球上に無いだろ?」


闇商人)「いえいえ、そうは言っても、そういう敵国はいつ存在するか分りません。ある日、我々の預かり知れない所でポンと出来る事もあります。持って置くに越した事はありませんよ」


猛利)「なるほど、保険だな。いや良い仕事をしてくれた!わっはっは」


NA)

1度出来れば次は早い。

次々ミサイルが完成していった。


ト書き〈原住民の島〉


元老)「なに?!ミサイルなどを造ったと?」


元太)「はい」


元老)「これはいかん!また繰り返しになるゾ!今すぐ行って止めて来い!今度は素子も連れて行って、2人で説得して来るんじゃ!早うせんと、取り返しの付かん事になる!」


NA)

こうして今度は幼馴染の素子を連れ、僕はまた猛利に談判しに行った。

これまでは元老が同じようにして談判に来ていたが、元老ももう高齢。

「余生は神様が与えてくれた自然と共に、静かに暮らしたい…」という希望があったので、僕らはそれを尊重し、元老がしていたこれまでの役を全て引き受けていた。


ト書き〈社長室〉


猛利)「何度言えば解るんだ!お前らに学習機能は無いのか!」


猛利)「我々人間は発展するしか無いのだ。これだけ発展できる素材が周りに在るのに、それを利用しない手は無い。宝の持ち腐れと言うものだろう」


猛利)「人の力や才能は幸せを探す為・金儲けをする為に有る訳で、お前達の言う神様から与えられたその力と才能を、このように莫大な利益に換える為の働きに使ったって、何も悪い事は無いだろう。お前達の鉢に合わせて言っても、このように成る訳だ」


猛利)「発展にこそ我々の幸福があるのだ!なぁに、何も心配は無い。輝かしく発展する上で、人間の文明力学をこの自然に刻み付けてやれば良いのだ」


NA)

このとき猛利は、僕達のしつこさに心底腹を立てたのか、いつになく烈しく力説していた。そして僕達は門前払い。


ト書き〈原住民の島〉


素子)「ダメよあの人達!なんだか自惚れが強過ぎるわ」


元太)「あいつらは何かに取り憑かれているようです」


元老)「ふぅむ、やはりダメか…」


ト書き〈文明の島は更に発展し、都会と軍都が共存〉


NA)

文明の島は更に発展し、まるで都会と軍都が共存しているような、異様な光景を見せていた。


ト書き〈舟で釣りをしながら文明の島を眺める原住民の島の人達〉


原住民A:男)「ふぁー、もうあんなになってら。ビルの上に更にあんな巨大なビルをおったてて…。まるで以前の現代人と同じ事をしている様(よう)だなぁ…」


原住民B:女)「ホント。もし地震でも来たら大変ね。うちの島の方へ倒れない事を祈るわ」


ト書き〈自島を心配する文明人〉


文明人A:男)「まぁ生活は以前と同じくらいかなり便利にはなったが、こんな狭い所にあんなに建物とか工場とか詰め込んじゃって、大丈夫かなぁ…」


文明人B:女)「ホントよね…。もし自然災害とか起きたら、一体どうするのかしら。また『想定外』で押し通すのかしら…」


NA)

両島の住民にもいろいろな意見を持つ者達がおり、ただその心配は原住民の貧しい暮らし振りよりも、文明の島の利便性・過度な発展の方へ向けられていた。


ト書き〈社長室〉


闇商人)「いっひっひ、社長、金山を掘り当てて参りました。また軍都も街中も発展させる事が出来ますゼ」


社長)「はははぁ(ヨダレを垂らすような顔して)…。我が国の未来はぁ…これでぇ安泰だなぁあぁ…はははぁ…」


NA)

文明の島の発展は、留まる所を知らない。

社長は既にその島を「帝国」と呼ぶようになり、自分は帝王の座に就いた…等と錯覚するようになっていった。

そして陰からその姿勢を助長するように、彼の部下である闇商人が肩押しする。

このコンビはまるで「一体化」しているように見え、誰にも引き離す事が出来なかった…


ト書き〈大地震が起こる〉


NA)

文明の島の社長室にて、敵国などどこにも無いのに「仮想敵国」のシミュレーションをしていた時だった。

いきなり、マグニチュード10.0の巨大地震が起きてしまった!


猛利)「うわぁわわぁぁわぁぁああ!た…助けてくれぇええぇぇ!!」


NA)

猛利は一刻も早く外へ出ようとしたが、なにしろそこは何重にも重ねたビルのてっぺん。

1階へ降りる事すら出来なかった。


ト書き〈何重にも積み重ねた超高層ビルがハデにぶっ倒れる〉


倒れる音)「どったーーーん!!」


NA)

何重にも積み重ねた超高層ビルは、原住民の島とは反対側の海に、途轍もなく大きな音を発(た)ててぶっ倒れた。


文明の島の人達)「キャアァアァアアァア!!」


文明の島の人達)「た…助けてくれぇえぇぇ!!」


NA)

逃げ惑う人々。

だが島の周りは既に城壁に囲まれていた為、そこから逃げ出せた者はいなかった。


ト書き〈原住民の島〉


元太)「元老!大丈夫ですか?!」


元老)「あ、ああ大丈夫じゃ…。ハァハァ…それにしても大きな地震じゃったな…」


NA)

地震はちょうど島の下で発生した為、奇跡的にも津波は来なかった。

文明の島の上には、これまでの発展の全てが無くなっていた…。

原住民の生活は隣りの島で続いている。


ト書き〈原住民の島から、元在った文明の島を眺める〉


元太・素子・元老)「…」(無言で島を眺めている:少し長めに)


元老)「…遂にまた、同じ事を繰り返しおったか…」


元老は、自然の風に吹かれてそう言った。


ト書き〈文明の島をじっくり見る感じで〉


NA)

しかし不思議な事に、ビルも人も跡形も無くなっている。ミサイルも無い。工場も無い。

残骸が少しくらい在っても良い筈なのに、すっかりなんにも無くなっていた。


ト書き〈闇商人がまたどこかへ旅立つ様子〉


闇商人)「フフフ…また滅ぼしてやったぞ…。人間てのは愚かだ。悲惨がおのれに降り掛かって、初めてそれに気付くんだからな。その悲惨へ辿る経過が解らないと見える…」


闇商人)「さぁて、また馬鹿な人間を探して旅回りでもしようか。今度も原住民の島から始めてイイかもな…」


NA)

そう言って闇商人は黒い鳥のように空へと消えた。


ト書き〈島だけを映す感じでバックは黒色で良いかも知れません〉


NA)

もしかするとあの島の発展は、原住民達の妄想・夢ではなかったか。

文明の島の住民も人間、原住民も人間。…同じ人間繋がりで、両者はそのように結び合う。

発展、便利、楽な生活…人間にはそれへの夢がある。

しかし自然と理性・本能と欲望、この両者の葛藤があり、片方が片方を諫め、諭し、窘め、その繰り返しで人生が織り成されるのではなかろうか。



エンディング~


魔女子:現代でも発展…発展で、古い歴史から見れば、大体どの国も文明国になっちゃってるわよね。現代から見れば現代の国々が普通に見えるかも知れないけど、古代の国々から見れば、どの国も超大国として栄えてるような感じよね。

ぷちデビルくん:うむ。まさに「地球そのものが進化した」って感じだな。

魔女子:でも地球には昔から変わらず自然があって、その自然も人と共存してるんだから、やっぱり発展して変わったのは「人間」てコトになるんじゃない?

ぷちデビルくん:まぁそうだな。その文明の利器の延長で、核ミサイルとかも出来たんだ。

魔女子:発展も良いけど、人の欲望だけを満足させる無駄な発展は、やっぱしない方がいいよね。

魔女子:時々そういう事を、自然災害が教えてくれるって気も、どこかでするのよね私。自然の脅威って、これも変わらず昔から、人の手に負えないものとして在るからね…


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=ITaPxln1SrY

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

文明開化は自滅の源泉!?発展し続けた人間は根絶した… 天川裕司 @tenkawayuji

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ