第14話

そう思いながら夏を見ていると


「僕、耳が聞こえない時にある音が聞こえたんだ」


夏は呟くように私にそう言った。


『ある音』とはなんだろうか。


私がはてなマークを浮かべていると


「でも、今、気づいたんだ」


「あれは、恋の音だった」


真剣な目で夏はそう言った。


「だって今も、うるさいくらい、鳴り響いているから」


「僕は、未鳥のことが、好きなんだと思うよ」


そう言いながら夏は照れくさそうに笑った。


「私も、夏のことが好き...」


「本当、!?」


そう言って夏は私のことを抱きしめた。






𓂃.◌𓈒𖡼𓂂




「未鳥!!あっちから綺麗な音が聞こえたから一緒に行こ〜!!」


「待って..夏、速...」


私を置いて野原を走り回る君は、


私の耳に最上級の心地良さを置いて、


私からトラウマという名の過去の出来事を


奪っていった。








______𝐹𝑖𝑛.

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世の音に耳を傾けて こむぎ @Okome_komugi

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