【短編】好きな子に恋人が出来たはずだが諦められないと思い告白したら、なぜか恋人などおらず無事にOKが貰え付き合えた話

アズト

好きな子に恋人が出来たはずだが諦められないと思い告白したら、なぜか恋人などおらず無事にOKが貰え付き合えた話

 高校からの帰り道、おれは幼馴染の女の子といつものようにたわいもない話をしていた。


「ねえ、日希はるきくん、今日凄いびっくりしたことがあってさ」


「なにがあったんだ、琉奈るな


「わたしのクラスのゆりかちゃんが急に金髪になってたんだよ。勉強熱心で真面目な子だから驚いちゃった」


「それは確かに驚きだな」


 そのゆりかちゃんのお母さんは「うちの子が不良になっちまっただか!?」と大騒ぎしたんじゃなかろうか。


「そういえば、日希くんは昔から黒髪だけど染めたいとか思ったことはないの?」


「んー、特にそういうのはないかなあ。黒色が好きって言うのもあるし」


「あ、そうだったね」


 見ると琉奈はその長い黒髪をなにやら気恥ずかしそうに指先でいじっていた。髪の間から見えた耳はやや赤くなっているように見える。


 それにしても、いつ見ても綺麗な黒髪だと思う。ちなみに、綺麗なのは髪だけではなく顔もアイドル並みに可愛い。もし、琉奈がアイドルだったら所属グループの絶対的エース・不動のセンター・究極美少女の16歳姫宮ひめみや琉奈として、間違いなくおれの推しの女の子になっていただろう。


 そんなことを考えていたら、琉奈が神妙な面持ちで切り出した。


「あのさ、日希くん。帰りに少し公園に寄って良いかな? 話したいことがあるんだけど」


「ん? ああ、別にいいけど。なにかあったのか?」


「うん、ちょっとね」


 そこから少し歩き公園に到着する。


「そういえば、昔はよくこの公園で遊んだよね」


「そうだっけか?」


「あれ、忘れちゃったの?」


「今まで隠していたんだが実はおれ、一週間で友達との記憶を無くしてしまうという障害を持っていてな」


「ええっ!? そうだったの!? 病院は……、もう行ってるよね。お医者さんはなんて言ってた!? 治るの!?」


「いや、すまん落ち着け。ただの冗談だ」


「えっ? ……なんだ冗談かあ。びっくりしちゃったよ」


 うーん、すぐに嘘だとばれると思ったのだが信じちゃうとは相変わらずピュアっピュアだな。これではいつか悪い人に騙されそうで心配になる。


 例えば、道でぶつかった相手が倒れた際に手を怪我したと言いだし半ば強引に事務所に連れ込まれ、お嬢様学校を模したカフェで働かされたりしないだろうか? もしそんなことになった場合、そのカフェで平和な百合展開が見られそうなので常連にならなければいけないな……。


 などと、おれが明後日の方向へと思考を巡らせていると、「そろそろ話を聞いてもらっていいかな?」と問われる。ざっと見た感じ公園内に他に人はいないので遠慮なくベンチに腰掛けて話を聞くことにした。


「それで、話って?」


「あ、うん。えっとね……」


 そう言いつつ、琉奈はもじもじしていてなかなか話を切り出さない。そんなに話しづらい内容なのだろうか?


 時は夕暮れ、男女が二人きり、話しづらい内容。導き出される結論は……。


 ……!? まさか、告白か!? 告白なのか!? ちょっと待ってくれ! おれにはまだ覚悟の準備ができていない。 


「あのね。実は……」


「お、おう!? な、なんだ!?」


「わたし、日希くんに相談があって……」


「お、おう……。そうか、相談か……」


「あれ、なんかがっかりしてる?」


「いや、してない」


 言葉とは裏腹に、おれは露骨に肩を落としていた。


「それで、相談って?」


 気を取り直してそう問いかける。他ならぬ琉奈の相談だからな。出来るだけ力になってやろう。


「えっと……、あっ、相談って言ってもこれは友達の話なんだけど……」


「……ああ、それで」


 いや、それ漫画とかでよく見る友達の話って言うていで自分の事じゃん。そういえば、最近読んだ漫画だと『知り合いの従姉妹の友達の話』というパターンがあったなあ。


「その、気になる人がいるみたいなんだけど……」


「…………一応聞くけど、その気になるっていうのはやっぱり恋愛的な意味で?」


「……うん、そうみたい。ってあれ、どうしたの? やっぱりがっかりしてない?」


「いや、してない」


 言葉とは裏腹におれはベンチからずり落ちそうになりながら空を仰いでいた。そうか、琉奈は好きな人がいるのか……。


 いや待て、冷静になれ、望みを捨てるな天方あまかた日希。状況的に可能性は低いが、実は好きな人がおれだということもある。可能性が低いってのはつまり……ゼロじゃない。


「その気になる人の特徴は?」


 その特徴がおれと一致していれば!


「特徴は……、……えっと、金髪で……」


 もうだめだぁ……おしまいだぁ。ふざけんなよ、なんでおれは黒髪なんだよ! 黒なんて大っ嫌いだ! いや待て落ち着け、今から金髪に染めればワンチャンあったりしないか?


「えっ!? ちょっと、どうしたの? もしかして体調悪いとか?」


 琉奈がこんなことを言うのも無理はない。今のおれは地面の上でorzのポーズを取っていた。


「……あー、そうだな、悪いみたいだ。すまないが続きはまた明日で良いか?」


 さすがに、失恋が確定的に明らかなこの状況で話を続ける気にはなれなかった。


「うん、全然大丈夫だよ。ごめんね、体調悪いのに気付かずこんな話しちゃって」


「いや、急に悪くなったんだから気付かなくて当然だ。悪いが帰るわ」


「うん、早く帰ろう。そうだ、薬とか欲しい物ある? わたし買ってくるよ」


 勇気を出して話し始めた相談を中断させてしまったのに琉奈は優しいなあ。だが、今はその優しさが辛い。


「ありがとう。けど、そういうのは大丈夫だ。ただ一人になりたい気分だから先に帰って良いか?」


「……うん、そういうことならいいけど……。大丈夫? なにかあったら遠慮せず連絡してね」


「ああ、ありがとな」


 こうして、おれは一人寂しく帰路に着いた。


 *****


 昨日はだいぶしんどかったが、今日のおれはだいぶ気持ちを持ち直していた。それは、とある重大な事実に気付いたからだ。


 まず、琉奈の気になる相手は金髪で、公園に着く前に話題に出ていたゆりかちゃんも金髪。つまり、琉奈の気になる相手はゆりかちゃんだったのだ。そう、あの時すでに琉奈は無意識のうちに相談を始めていたのだ。おそろしく早いヒント、おれでなきゃ見逃しちゃうね。


 琉奈の気になる相手が男であれば絶対に許さないが女の子であれば構わない。むしろ推奨。女の子は女の子同士で恋愛すべきだと思うの。


 まあ、そんな冗談はおいといて、琉奈に好きな相手が出来たのならおれは応援する事に決めた。大切なのはおれが幸せになることじゃない。琉奈が幸せになることだ。もう辛くないといえば嘘になる。でも、琉奈が幸せならOKですというスタンスでいこう。


 そんなことを考えながら登校の準備をしているとスマホが鳴った。琉奈からのライソメッセージだ。


『おはよう。体調は良くなった?』

『本当は昨日のうちに連絡しようと思ったんだけど、もしかしたら寝てるかと思って』

『もしそうなら、起こしちゃったら悪いし……』


 わざわざ気遣ってくれたのか、ありがたい。


『おはよう。体調は大丈夫』

『心配してくれてありがとな』


『そっか。良かった、安心したよ』

『わたし、今日は用があって少し遅れるから先に学校行ってて』


『分かった』


『うん、じゃあまた学校で』


 そんなやりとりの後、おれは一人学校へ向かった。放課後になったら今度こそ琉奈の相談を聞いてやらないとな。


 *****


 学校に到着し、おれは自分の席で琉奈の相談をどうするか考えていた。


「よう、おはよう、日希」


「………………」


「おい、聞こえてないのか、日希!」


「! ああ、龍心たつしんか。悪い、少し考え事をしていて気付かなかった」


「どうした友よ、もしかして恋の悩みか?」


「お前はいつも通り通常運転だなあ……」


 つい呆れてしまう。なにせこいつは自称……。


「恋の悩みなら過去に46人の女性と関係を持ったこの恋愛マスター、迅列じんれつ龍心に任せとけ!」


 そんなことを言いながらサムズアップしてきた。しかし、こいつの名前って字面が無駄にかっこいいよなあ。


「関係を持ったっていうけど、それ全部付き合うことなく振られたんだろ。失恋マスターに改名したらどうだ?」


 というか、46人ってマジなの? おぼろげながら浮かんできた数字だったりしない?


「フッ、分かってないな日希は。失恋だって立派な恋愛なんだぜ。で、なにがあったんだ?」


 おれ一人で考えるよりも、ある意味では経験豊富な龍心に話を聞けば助かる部分はあるだろう。そう思い、おれは龍心に事情を説明する。


「本当に恋の悩みだったのか……。ならば、やはりこの恋愛マスターの出番のようだな」


 今度はサムズアップに加えウインクまでしてきた。


「そうだな、すまんが頼む。ただ、もう授業も始まるから続きは後でな」


 *****


 午前の授業を終え、昼休み。


 おれと龍心は昼食を食べ終え、例の相談について話し合いを始めることにした。


「あ、最初に一ついいか?」


「なんだ?」


「お前に話しちゃった事、琉奈には秘密にしてもらっていいか? つい話してしまったが、勝手に他人に言っていい内容じゃなかったと思ってさ」


「確かにそうだな。分かった、内緒にしておくぜ」


 そう言った後、龍心は今しがた思いついたであろう疑問を口にした。


「そういやお前、姫宮さんから相談内容をちゃんと聞いてないんじゃないか?」


「そうだけど、話の流れからしてその気になる人と付き合いたいって事だろ?」


「まあ、それもそうか」


「で、おれが思うに正直、告白すれば良いだけな気がするんだよな。琉奈はモテるし好き同士の可能性は充分ある。もし違うとしても……」


「告白すればその相手は確実に姫宮さんを意識するし、そのうち好きになって貰えるってところか」


「そんなとこだな」


「姫宮さんはこのオレ並みにモテるからな。それでいいと思うぞ」


 そう、琉奈はモテる。あんなに可愛い子がモテないはずがないので定期的に男子から告白されている。にもかかわらず、まだ誰とも付き合っていないということはその意中の相手はまだ告白してきていないということか。


 とはいえ、告白なんて誰もが簡単にできる物でもないし別におかしな話でもないか。ところで、この失恋マスター、さっき自分の事をモテるって言わなかった? 戯れ言だと思って聞き流しておこう。


「じゃあ、琉奈にはそんな感じで話すか。ありがとな、龍心」


「フッ、さすがはオレだな。見事に、恋に迷える子羊を救済してしまった」


 見ると、龍心はどや顔をしていた。


「いや、よく考えたらお前はおれの意見に同意しただけで大したことしてなくね?」


「バカを言うな、この恋愛マスターのお墨付きだぞ。これ程の安心材料はないだろう?」


 こいつの自信はいったいどこから来ているんだろう?


「逆に不安になってきたわ。相談相手間違えたかなあ……」


「なんだとぉ!」


 そんなくだらないやりとりで、残りの昼休みは過ぎていった。


 *****


「改めて、昨日は悪かったな、琉奈」


「ううん、全然。日希くんの体調が回復して良かったよ」


 放課後、おれ達は学校の屋上で昨日の相談の続きを開始した。おれとしてはさすがに昨日の今日であの公園に行く気にはなれなかった。


「で、昨日の相談の続きなんだが、要はその気になる人と……つ、付き合いたいってことでいいんだよな?」


「…………まあ、言わなくても話の流れでわかるよね。そうだよ」


「やっぱそうか」


「どうしたらいいかな?」


「少し考えてみたんだが、シンプルに告白で良いと思う」


「えっ、いきなり!?」


「大丈夫だと思うんだよなあ。だって、お前はモテるし実際すごい可愛いし」


「っ!」


 本来は可愛いとか恥ずかしくて言えないが、失恋した今となっては気にすることでもないかと思い、おれは素直に本音を言った。


 その後、琉奈のほうを見るとその顔がみるみる真っ赤に染まっていった。うーん、本人も自覚はあるだろうし照れることでもないと思うんだけどなあ。その反応を見て、おれの方も恥ずかしくなってきてしまった。


「えっと、その、ありがと……。嬉しいよ……」


 まだ恥ずかしいのかだいぶ小さな声で返事をしてきた。顔のほうはというと照れつつも嬉しそうな笑顔だった。


「あ、でもこれは友達の話だから、わたしがその……か、可愛……とかは関係ないんだけど……」


「あ、すまん、そうだったな」


 そうだった、そういう話になっているのを忘れていた。


「まあでも、大丈夫だろ。男子高校生なんて彼女が欲しいって思っている奴が大半だろうし」


「……ふーん、そうなんだ。……ち、ちなみに日希くんもそうなの?」


「おれか? おれも一応男子だからなあ。そうだよ」


「そっか、そうなんだ……」


 そう返す琉奈の声はやや弾んでいるように思えた。


「後は、仮にその場では断られたとしても絶対お前……、じゃなくてその友達を相手は意識するだろうし、そのうち上手くいくよ」


「うん、確かにそう言われるとそんな気はするね」


「な、だから大丈夫だって。そんな感じで友達に伝えといてくれ」


「うん、分かった。相談に乗ってくれてありがとね。日希くん」


「いや、別にいいって。それよりあれだな。……上手くいくといいな……」


「うん、そうなるといいなあ……」


 思い人と結ばれる未来でも想像しているのか、琉奈は期待に満ちた表情をしていた。


 はあ……、気持ちを切り替えて琉奈の恋を応援してやるつもりなんだが。


 悪い、やっぱ辛えわ。


 *****


 琉奈からの相談を終えて数日後の放課後。学校の屋上にて、赤くて綺麗な夕日を浴びながら、おれは琉奈と話をしていた。


「日希くん。この前の相談の事なんだけど……」


「……どうした? 進展でもあったか?」


「えっと……、日希くんのおかげで上手くいったよ。本当にありがとう」


 そう言って笑顔を浮かべる琉奈を見て、おれの心はズキリと痛んだ。


「……そうか。良かったな……」


「うん、本当に良かったよ」


 琉奈はずっとニコニコしている。対するおれの方はどうだろうか? 恐らく作り笑いさえ出来ていない。ひどい顔をしていないといいのだが。


「えっ、どうして泣いてるの?」


「……え?」


 いつの間にか、おれの頬を雫がつたっていた。


「……あー、これは嬉し泣きだな……」


「……嘘、全然嬉しいって顔してない」


「……う」


 まさか、琉奈に嘘を見抜かれるとはな。今のおれは相当ひどい顔をしているらしい。


「なにかあったの?」


 心配そうに顔を覗き込まれた。おれは「いや、なにも」と返そうとして思いとどまる。この状況ではどう考えても嘘だとバレるだろう。


「……あった。……けどお前には言えない。絶対迷惑だろうし……」


「迷惑だなんてそんなこと気にしなくていいのに……」


「いや、でもな……」


「……お願いだからなにがあったか話してくれないかな……。日希くんがそんな辛そうな顔をしてると、わたしも辛いんだよ……」


 琉奈は今にも泣きそうな顔をしていた。話さなければ、むしろその方が迷惑をかけそうだ。それに、おれとしても、なにもせずに琉奈への想いを諦めるというのは出来そうになかった。


「……分かった。ちゃんと話すよ」


「……うん」


 とはいえ、どう話したものか。少し考えてみたがうまく考えがまとまらない。仕方ない、思っていたことを素直に話そう。


「……その、あれだ。………おれはお前のことが好きで付き合いたいと思っていて……」


「………………え?」


「でも、お前にはもう……、っておい!」


 話を続けようとしたら琉奈は顔を真っ赤にして硬直していて、頭からは『シュー』と煙でも出そうな状態だった。


「おーい、大丈夫か」と言いながら目の前で手を振るが反応がない。名前を呼びながら少し肩を揺らしていると琉奈は復活した。


「おい、琉奈、大丈夫か?」


「……ご、ごめん。思いもよらない内容だったから凄くびっくりしちゃって……」


「ああ、そうだよな……。悪い」


「ううん、全然。……えっと、それで返事なんだけど……」


「え? ああ、そうか」


 そういえば、おれが告白みたいなことを言ったところで話が止まってしまったからそうなるか。まあ、答えは分かってるんだけど。


「……えっと、……わ、わたしもあなたのことが…………す、好きです」


「………………へ?」


 琉奈から予想外の答えが返ってきた。声が小さくて聞こえづらかったし、おれの聞き間違いだろうか?


「……今なんて言ったんだ?」


「……もう一回言うのは恥ずかしいんだけど……」


 琉奈は頬を朱で染めながら下を向いてしまった。


「……えーと、じゃあおれのことをその、……好きって言ったのか?」


 言葉の代わりに琉奈はコクリと頷きを返す。どうやら、聞き間違いではなかったようだ。だが、そうだとするとおかしい。


「いや、でもお前にはもう彼氏がいるだろ?」


「え? なんのこと?」


 おれの言っていることが全く理解できないのか、琉奈はきょとんとしている。


「いや、だから、さっき相談が上手くいったって言ってただろ?」


「うん、そうだけどそれがどうかしたの?」


「上手くいったってことはお前に彼氏が出来たってことだろ?」


「……? なんでそういう話になるの? あれは友達の話だよ」


「いや、その友達の話ってのは建前で実際はお前の話だろ?」


「え? 本当に友達の話なんだけど、どういうこと? わたしの友達の告白が上手くいったって事だよ」


 そう言われ、ようやくおれは話が噛み合わない理由を理解した。確かに、琉奈は最初から友達の話と言っていた。なのに、おれが漫画とかでよく見かけるという理由で『友達の話=本当は琉奈自身の話』と思い込んでいたんだ。


「ははは……、そういうことか。おれは馬鹿だなあ……」


「えっと、結局どういうことなの?」


「あー、まあ後で説明するよ、それよりも……」


 まずは話を戻そう。どう考えてもそっちの方が大切だろうし。


「……その、おれ達は付き合うってことでいいんだよな?」


「えっ、あっ、はい、そうですね……」


 琉奈は急に戻った話に動揺したのか、敬語で返事をしてきた。顔が下を向いているせいで表情は窺い知れないが、髪の隙間から見える耳は真っ赤に染まっていた。


「えーと、じゃあ改めてよろしくお願いします」


「こ、こちらこそ、不束者ですがよろしくお願いします」


 つられてこちらも敬語で返すと思わぬ言葉が返ってきた。それはもはや、プロポーズへの返事なのではないだろうか?


 だが、そんな疑問もすぐに吹き飛んでしまった。なぜなら、その後見えた琉奈の笑顔が夕日のように赤く、とても綺麗だったからだ。




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