ヤリチン大学生が貞操逆転世界に転生したら青春が欲しい
@sasakitaro
第1話
目を開けると同時に、差し込んできた強い光で、もう一度目を閉じる。
瞼が重い。頭がぐわんぐわんいってる。
「やっべ。何時だ今」
手で床を叩いてスマホを探す。
あった。
スマホをつけると、ブルーライトが目に刺さる。
えっと今は
「って10時過ぎてんじゃん」
まあしゃあない。昨日は確か、サークルの飲み会行って、途中でミカと抜け出して、1発ヤって泊めるのは無理って言われて追い出されて、帰んのもだるかったからハルカに連絡とってビール開けて流れでヤってそのまま寝たんだった。
ハルカはどこだ?もう授業行ってるか。起こしてくれりゃあいいのに。
起き上がって見ると、机の上におにぎりが置いてあった。これでも食えってことか。
時間が経って固くなっているおにぎりを食いながら考える。
現在地はハルカのアパートだから、大学まで10分くらいだ。急げば三限には間に合うか。
「だるいな」
フケてもいい。昨日が、あれ、何曜だっけ?曜日がわからなくなってスマホを見る。どうやら今日は木曜らしい。
てことは今日は、早口メガネか。流石にそろそろ単位やべーよなあ。
…行くしか無いか。
クローゼット使っていいよと言われたので置きっぱにしている服を着て、渡されている合鍵を使って鍵を閉める。
にしても頭が痛えな。昨日だけで2リットルくらい飲んでるから当然っちゃ当然だけど。
そんなことを考えながら、のびをしながら歩いていると、近くで悲鳴があがったのが聞こえた。
なんだ、ひったくりでもあったのか?そう思って横を向いた瞬間、俺の目の前に車が現れた。
みると、どうやら俺は赤信号の横断歩道を渡っているようだった。俺が思っている以上に、俺は不調だったらしい。
俺、死ぬのか。あんな早口メガネの単位のために。あーくそ、死ぬってわかってたら、もっとこう、色々、やりたい、こと、が。
それが俺の、前世での最後の記憶だった。
高校までの俺は、女子と話すこともほとんどない男だった。高校の時のクラスメイトからは、名前も顔もおぼえられてすらないだろう。
女子と話すことに苦手意識を持っていた。なんでかはわからない。理由なんて、多分無いんだと思う。
小学校までは、普通に女子とも交流を持っていた。中学校になると、男女が分かれるようになった。一緒に鬼ごっこをして遊んでいたのが、性別で区別するようになった。
多分、その頃に完全に関わりを絶ってしまったのが良くなかったんだろうな。女子と仲良くしてる奴らもいたのに、そう言う奴らを馬鹿にして嘲っていた。
気がつくと、女子と話すことがなくなっていた。高校に入ると、男子も女子もそこそこ分け隔てなく話していて、むしろ話さない方が変になった。
それでも、今更話しかけるのも不自然に思えて、話しかけることもできずに高校生活を終えた。
だから、大学になったら、女子に話しかけようと思った。大学デビューってやつだ。髪を染めて耳に穴を開けてピアスをつけて、いろんなサークルに顔を出して、終わって仕舞えば、なにがそんなに難しかったのだろうと思うくらいに、多くの女子と話せたし、連絡先も交換した。
頻繁にいろんな女子と連絡を取り、通話したり遊びに行ったり、飲み会やったり、合コンを開催してみたりした。
楽しかった。充実していた。
そして、気がつくと俺は、世間一般でいうヤリチンになっていた。
いろんな女子と関係を持ち、彼女もコロコロ変わる。サークル内の女子とは八割がた一緒の布団で寝たことあるし、男の友達より女の友達の方が多かった。
大学に入って、高校時代とは比べ物にならないほど女子と接する機会を得て、それでも俺には後悔があった。
青春が欲しい。そりゃ当然高校時代にも青春はあったさ。女子はいなくても男だけでバカやって、男だけではしゃいで。
でも違うだろ?青春って言うからには、もっとこうさ、あるだろ?お互いに両思いなの確信しながら連絡取る期間とかさあ。
プール行って水着見てドキドキとかさあ。
いや別に大学生でもできることもあるけど。大学でそれやってもなんていうかこう、初々しさが無い。青春感がない。盛り上がらない。
だから多分充実してるように見えて俺は前世からずっと、もしも高校生をやり直せるのなら、青春を過ごしたいと思っていたんだ。
そして俺は、その機会を得た。一度死んで、転生することによって。たとえこの世界が、男女比1:20の、貞操逆転世界だったとしても。
ヤリチン大学生が貞操逆転世界に転生したら青春が欲しい @sasakitaro
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ヤリチン大学生が貞操逆転世界に転生したら青春が欲しいの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます