第6話 女子4人の勢いに押されて
「
「なにを?」
腕や足を組み仏頂面で応対する
それとは対象的に満面の笑みを浮かべて、女子4人が
「
「な!?」
「文芸部室で放課後はいつも、ふたりっきり」
「帰りはスーパーで一緒に買物」
「家は隣で、お互い一人暮らし」
「もういくとこまでいってるとか」
『キャー』
「どこからそんな情報……」
「もう校内ですっごい噂、流れてるよ。知らない人はいないくらい」
「ねーねー実際、どうなの? 話、聞かせてよ」
「ちゅーした? ちゅー」
「もうしてるんじゃない?」
「ふたりでなにしてるの?」
『聞かせてよ♡』
さすがの
「ここじゃ恥ずかしいから……家でなら……」
教室でこんな
女子4人はパーっと花咲く笑顔を浮かべて、
「じゃ、放課後、約束ね」
「やった」
「楽しみ〜」
「
『ねー』
なんかすごいのを見た気がする。
♡
文芸部室でひとりの時間を終え、家に帰った。
今日はもう、
夕飯は適当になんか作って済ませるか。
そんなことを考えながら、家の扉を開ける。
「
「お風呂にする?」
「ご飯にする?」
「それとも――」
『わ・た・し? キャー』
「ちょっとやめてよ、恥ずかしい」
クラスの女子4人と
「はいはい、入って入って」
女子の1人に背中を押され、部屋の中に押し込められる。
部屋にあるローテーブル前に腰掛けさせられる。
ローテーブルの上には菓子や飲み物が散乱していた。
「まさか、ずっと俺の家にいたわけじゃないよな?」
「ずっとじゃないよ。
『ねー』
この4人、息ぴったり過ぎだろ。
「なんで帰ってきたのよ、
「いや、ここ俺の家!」
「さーさー、話を聞かせてもらおうかー、
それから俺は女子4人による嬉しくも、恥ずかしくもある質問攻めにあった。
俺の部屋にクラスの女子が5人もいる状況は落ち着けるはずもなく、自室であるはずなのに緊張しっぱなしだった。
こういう時の女子の勢いを止めるすべを知ってるやつがいたら今すぐにでも教えてほしいものだ。
♡
「じゃあね」
「また明日、学校で」
「また話、聞かせてね」
「お邪魔しました」
女子4人は嵐のように来て、嵐のように去っていった。
「疲れたね」
「だな」
「今日の配信どうしよう……」
「俺も執筆が……」
ふたりしてぐったりだ。
こんな大人数でわいわいしたのはいつぶりだろう。
中学生時代からボッチを極めていたからな。
――ピンポーン!
「誰だ? こんな日に」
重い腰を上げ、呼び鈴に出る。
「はい!」
「母ですよー」
そういえば今日来る日だっけ。
「それじゃ私、戻るわね」
そう言って、ゆらゆらと
「ちょっと、待っ――」
ガチャッ!
「あら?」
「あ……」
疲労ゆえだろう。インターホンが鳴ったことを
「
「はじめまして、
それから質問攻め第2幕の幕が上がった。
♡
母が帰り、ふたりしてぐったりしている。
「さすがに今日の配信はいいかな」
「俺も諦めた」
ふたり笑いあい。
幸せな雰囲気が部屋に充満する。
「
「こちらこそ、
ふたりで歩む未来はこれからも続いていく。
転校してきたツンデレな彼女はどうやら俺が好きなVTuberらしい 越山あきよし @koshiyama
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます