角を捨てる

菫野

角を捨てる

断頭台ひどく似合はぬきみとゐてしたたりおちる革命前夜


冬、角を捨てるひとたち抱き合つてそれでもさはれないきみの骨


水晶のやうな嘘だねすぐ凍る時計の針を四、五分もどす


スカートのなかの森へと身投げする少女の列が森をはみ出す


アルマジロみたいなきみのたましひを戸棚の中に入れておくから


うつくしい虹をはるなつあきふゆと架け渡したる妖精に会ふ


海を待つ/風を届けるひとたちが引き金をひくまでの十秒


月が溶けだしてチーズになつてゐる跪くなら今だよ(今だ)


水紋の襞をやさしくうらがへすこんなところにきみの流星


終末の屋上にあるアンテナが十字架だつたその朝のこと

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角を捨てる 菫野 @ayagonmail

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