うちのネコが死にました

うちのネコが死にました

　うちのネコが死んだのは、

　十一月の寒い日で、

　コタツに入って、夜遅く、

　眠るように死にました

　うちのネコは赤いネコ

　赤茶色くて、白いネコ

　寂しがり屋のオスのネコ

　いつも僕を出迎えた

　うちのネコは、よそのネコ

　漁師の街で生まれた野良のネコ

　野良のネコは拾われて、

　だけれど、飼えなくなっちゃって、

　年老いてから、うちに来た

　うちのネコは、よそのネコ

　生まれた日付も年齢も、

　よそから来たから分からない

　うちのネコは、よそのネコ

　誰にでも懐く、可愛い子

　寂しがり屋のオスのネコ

　父と、母と、姉に、甥

　いつも誰かの傍で寝る

　ご飯時にはリビングの、

　椅子にちょこんと座っては、

　みんなが来るのを待っていた

　うちのネコは、よそのネコ

　ごめんね、遠くに連れてきて

　「あの海の街に戻りたい？」

　ネコは答えず、眠るだけ

　これからずっと、眠るだけ

　うちのネコが死んだのは、

　十一月の寒い日で、

　その日の僕は悲しくて、

　何も、やる気にならなくて、

　逃げるかのようにパチ屋に行った

　パチンコ台は大当たり

　何度も何度も大当たり

　だけども、僕は悲しくて、

　「全部、夢ならいいのにな」

　そんなことを思ってた

　三万勝ったお金を使い、

　チュールと花と墓石を、

　買って、家へと戻っても、

　うちのネコは死んだまま

　ネコのお墓は山の上

　海が望める、山の上

　桜と一緒に埋まってる

　うちのネコは、よそのネコ

　もしも、生まれ変わったら、

　また、うちに来てくれるかな？

　うちのネコになってもいいと、

　思ってくれているのかな？

　うちのネコはうちのネコ

　これからずっと、うちのネコ

　うちのネコはうちのネコ

　僕の大好きな、うちのネコ

　僕の大好きな、うちのネコ