第3話【炭酸のような】

そしてついに旅行の日が来た。


「竜也!!!アレ何!!でっかい!!」


「あれはビルだよ。あそこは人が住んだり仕事したりする場所だよ」


「あそこに、人、住んでるの!?」


「そうだよ」


「へー!!すごい!!」




「そろそろ先進まない?」


「あ!!竜也!!これは!?!?」


はぁ、、さっきからこんな感じで中々先に進めない。


今の星花はまるで好奇心旺盛の犬みたいだ。


「星花〜?置いてくよ?」


「あ、待ってよ!!」




やっと家に着いた、、。


「ここ、竜也の家!?」


「うん。そうだよ」


「へー!!竜也の家って、お金持ちなの!?!?」


「え?違うよ?」


「だって、家、大きいじゃん!!」


「都会の家とか建物は比較的大きいと思うけど、、」


「私も都会に住みたかったなぁ、、」


「僕は、田舎の方がいいな」


「なんで?」


「だって田舎の方が星が綺麗じゃん?」


そう言いながら僕は星花の方を向いた。


「そっか、そうだよね!!」


星花は嬉しそうにしていた。


「あ、そういえば夏祭り、行かないの?」


「先に僕の家でゆっくりしてからね」


「今すぐ行こうよ!!」


「ダーメ。夏祭りは夜の方がいいから」


「、、ちぇっ」


星花は子供のように拗ねているようだった。


そんな話をしながら僕達は家に入った。






「母さん、父さん、ただいま〜!!」


「「おかえりなさい、竜!!」」


「?竜也の名前は、竜じゃないよ?」


「家族で呼ぶ名前みたいなものだよ」


「ふーん」


あまり星花は分かっていないようだった。


「健二から聞いたよ。この子が星花ちゃんだね?」


「うん」


「想像していたより可愛いわ〜」


そう言って母は星花の頭を撫でた。


だが、星花は


「触るな!!」


と言って母の手を叩いた。


気まずい空気に包まれる。


「あ、ごめんなさいね、」


悲しそうに謝る母と何故か怒っている星花。


星花は何が嫌だったのだろうか。


「星花、?」


「竜也以外触んな!!」


「あらまぁ、少し驚いたけどそういうことだったのね!」


「竜そんなことなら早く言ってくれよ」


「母さん、父さん、、僕は星花とそんな関係じゃない!!」


僕がそういうと星花は少し悲しい顔をした。


「あら、そう?残念だわ、、」


「星花ちゃん、ゆっくりしていいからな」


「星花ちゃん後で私と女子会でもしましょ?」


「女子会!!する!!」










「気をつけるんだぞ〜?」


「行ってらっしゃい」


「「行ってきまーす!!」」




「さて、星花どこ行きたい?」


「あれ!!あれ何!?」


星花が指を指している方向には


ヨーヨーすくいの屋台があった。


「あれはヨーヨーすくいだよ。やる?」


「やる!!」






「お嬢ちゃん達ヨーヨーすくい、やってくかい?


1回100円だよ。」


「やります。」


「まいどあり〜」




ヨーヨーすくいを5回ほどやったが、


「竜也、、中々取れない、、」


そりゃそうだ。すくう道具はティッシュ製。


しかも星花は振り回しながら取ろうとしている。


明らかに取れない取り方だった。


「僕もやる、星花、どれ欲しい?」


「取ってくれるの!?じゃあ赤!!」


僕はティッシュ製の道具をそっと水に入れ、


赤色のヨーヨーを取った。


だが、運が良かったのか青色のヨーヨーも取れた。


「はい、ヨーヨーあげる」


僕は2つのヨーヨーを星花に渡したのだが、


星花は赤色のヨーヨーだけを取って、


「赤色は私ので青色は竜也の!!」


と言った。


「ありがとう、、?」




それから僕達は色々な屋台に行った。


焼きそばや射的、綿菓子やりんご飴など。




だが、


「竜也!!あれ何?」


と言いながら星花は進んでいくもんだから


毎回はぐれそうになる。


「星花、手出して」


そう言いながら僕は星花の手を握った。


「はぐれるから」


「、、、うん」


何故だかその時の星花の頬は


桃色に染まっていた。










そろそろ花火の時間が近づいてきた。


「星花、そろそろ花火の時間だから


観覧場所まで行かない?」


「花火!!行く!!」


観覧場所に着いて数十分すると、


ドーン!!という大きな音と共に花火が打ち上がった。


「わぁ、!!」


この時の星花の目はとてもキラキラしていた。


「綺麗、、、」


「ねぇ、竜也?」


「ん?」


花火を見ていると星花が驚きの一言を放った。


「私、、竜也のこと好き!」


「えっ?」


それは恋愛の方だろうか?


「それは、、恋愛の方?」


「もちろん!!」


「だから、、私と────」


「待って、それは僕に言わせて欲しい」


「僕と、付き合ってくれますか?」


「はい!!」


そう言って星花は過去一と言っていいほどの


笑顔を僕に見せた。


その時の笑顔は炭酸がはじけるような


爽やかな笑顔だった。






𓈒 𓏸𓈒𓂂𓂃◌𓈒𓐍𓈒








「今日はついに星花と竜也の結婚式だな」


「あの竜也が結婚か、、」


「私の星花ちゃんが、、」


「「お前のじゃないだろ」


「どっちかと言うと俺のだろ」


「あ、もう始まるわよ!!」




「病める時も健やかなる時も、


その命のある限り心を尽くすことを誓いますか?」






「「誓います」」








𓈒 𓏸𓈒𓂂𓂃◌𓈒𓐍𓈒
























𝑒𝑛𝑑

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あの日見た君は炭酸のようだった こむぎ/Okome @Okome_komugi

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