第2話【小さな火の花】
星花に名前をつけてからあいつは僕に懐いた気がする。
僕がなんか食ってる時も
「竜也、それ、私も、食べたい」
って言ってきたり、僕が寝てる時だって
「竜也、一緒に寝たい」
って言ってくる。
名前付けた瞬間態度変わるとかツンデレかよ。
そういえば来週、夏祭りがあるらしい。
田舎にも夏祭りがあるのは驚いた。
花火も見れるんじゃないかって期待したけど早々、現実は甘くなかった。
とりあえず僕に出来ることは
打ち上げ花火じゃなくて手持ち花火を
星花に見せることくらいしか出来ない。
とは言っても、ここに手持ち花火なんぞ
売ってるわけが無い。
こうなったら隣町に行って買いに行くしか無い!!
それで今僕は星花に内緒で隣町まで買いに来た。
色々な種類があってどれを買えばいいのかよく分からなかった。
そして健二さん達の村にはWiFiが飛んでいないのか、スマホが使えない。
だが、今いる隣町では使えるらしく、今開いたら友達や親からの通知ですごいことになっていた。
「まじでどれ買えばいいんだ、、」
よくよく見たら打ち上げ花火まで売っていた。
「適当に買ってくか」
僕は3つほどセットの手持ち花火とライターを買った。
「竜也!!!!!!!どこ、行ってた!?」
「ちょっと隣町まで買い物してただけだよ、、」
「私も、行きたかった!!」
「ごめんごめん、」
「何しに行ってたんだ?」
「内緒。今日の夜、楽しみにしといて」
「?」
「竜也!!夜、なったよ!!」
「じゃじゃーん!!」
そう言いながら僕は星花に手持ち花火を見せた。
「何それ!?!?」
「花火だよ。前言ってたやつじゃないけど」
「花火!?」
「これどうやってやるの!!?」
「こうやって持って、火をつけると、、」
そう言いながら僕は線香花火にライターで火を付けた。
『パチパチッ』
線香花火は音を鳴らして輝く。
「わぁ〜!!!綺麗!!!」
「ねね!!私も、やりたい!!」
「気をつけてね。」
そう言いながら僕は星花に線香花火を渡した。
「これはね線香花火って言うんだよ」
「線香花火の火が落ちるまでに願い事を言ったら叶うって言うジンクスがあるんだよ」
「そうなんだ!!」
その時、ポトッと線香花火の火が落ちてしまった。
「あー!!!落ちちゃった、、」
しゅんとする星花に僕はドキッとしてしまった。
「あ!!竜也!!」
「へ!?何?」
「花火、買ってきてくれて、ありがと!!!」
「あ、あぁ、、どういたしまして」
急に言うからびっくりした、、。
「あ、竜也、明日、海、行く」
「竜也も、行く、だろ?」
海か、、何年ぶりだろ。
2年ぶりくらいかな。
というか僕カナヅチなんだけど、、、。
まぁいっか!
「行く」
「よっしゃ!!」
この時は油断してた。
まさかあんな事が起こるなんて
思ってもいなかった。
「海だ〜!!!!!!!!」
「竜也!!早く!!泳ぐぞ!!」
「はいはい、、」
「お前ら溺れんなよ〜」
「わかった!!!」
なんでこんなことに、、最悪!!足つった!!!
こんな時に限って健二さんは居ないし、
星花もどっか行ったし!!
あぁ、僕ここで死ぬのかな、、、。
「竜也!!!!!!!」
「助けに来たぞ!!!」
星花!?!?
まさか女子に助けられる日が来るなんて、、、僕、ダサ、、。
「竜也!!人工呼吸する!!」
「いや、それはいい」
「竜也!!無事か?」
「ごめん、足つっただけだけだから」
「良かった、、」
「竜也くん!気づけなくてごめんね。」
「トイレ行ってたら竜也くんは溺れてるし星花はどっか行ってるし、、」
「「すいません」」
「ていうか竜也くん泳げないんだったら先に言ってよ!!」
「泳げると思ったんですけどね、、」
「竜也、それ、溺れる人、よく、言う」
「あはは、、、」
「笑い事じゃない!!」
「すいません、、」
案外、田舎も楽しいかもしれない。
都会はうるさいけど田舎はある意味うるさい。
でも田舎は静かだ。
そういえば、来週夏祭りがあることを星花は知っているのだろうか。
「星花、来週夏祭りあるよね?」
「それ中止に、なった」
「え"?」
中止になった?
「なんか、人手不足、らしい」
もうすぐ夏終わっちゃうのに夏祭りないの?
「健二さん!!」
「ん〜?」
「来週、1回だけ家に帰ってもいいですか?!」
「え!?」
「星花と旅行したいので!!」
「え、いいけど、、」
いいんかい!!年頃の男女がなんちゃらかんちゃら〜とか無いの!?この人だいぶのんびりしてるな、、。
「俺の方から颯斗にも言っとくね?」
「ありがとうございます!!」
ちなみに颯斗とは俺の父の名前だ。
「竜也と、旅行、行けるの!?!?」
「うん」
「やった!!!!!」
「そこで、夏祭り一緒に行こ?」
「いいのか!?竜也、ありがとな!!」
「どういたしまして」
そんなやり取りを交わして僕たちは眠りについた。
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