謎を解くのは読者諸君だ

東西無駄無駄

エピタフ


私はとあるベッドの上で起きた。

見知らぬ天井だ。

今まで寝ていたのだ。

あるいは今生まれたのかもしれない。


ベッドから起き足を出す。

そばには拳銃が落ちている。

私の左足から28cmほどに見える。

拳銃が黒光する。

警察が持っているような鈍い色の銃。


私はとりあえず飛び立つ。

飛べるのだ。

天井はなかった。

下を見てみる。

そこにはとても太い配線が置いてあるように見える。


夢だ。

明晰夢だ。

私は確信したし、確信できるほどの状況証拠があった。

簡単に確信できたのはやはり夢だからである。


私は全てをするべく全てを思い出す。

私の名前は三田翔太ではないと思う。

こういう思考回路も夢と思えば納得である。

ふと目の前に図が浮かぶ。

私の名前だろうか。


よく見ればそれは文字である。漢字である。

女へんに台に斜線と横線に…あ、変わってしまった

今度は左右対称な漢字である。

黒だろうか。

思考するうちにまた変わってしまった。


そろそろバカバカしくなり私は飛び立つ。

しかしいきなり私は飛べないという感覚が広がった。

世界の水面に水滴が落ちたように私を中心に波紋が広がる。

ストン、と私は落ちる。

落ちた瞬間場面が切り替わる。


ここは産婦人科である。

病院ではなくなぜかピンポイントでそう思った。

疑問に思い、夢であることを思い出す。

動こうとすると立っていないことに気づく。

私は寝ころんでいるようだった


首を動かしてみる。

夢の癖に1人称視点のままなのは些か疑問だが気にするほどでもない。

見回すとわかった。

私は天井に張り付いていた。


と思いきやいきなり世界が回る。

私は姿勢は変えずに今度は産婦人科の室内に十字架に磔にされていた。

私が「磔みたいだ」と思ったからのようだ。

上からベッドに寝た妊婦と看護師達とその他色々が降ってきた。

妊婦は私に目もくれずに顔をひしゃげ唸る。

産むのかもしれない。

妊婦は絶叫をあげ、腹が裂け、何かが出てくる。


産まれた何かは病院より断然大きかった。

なぜそれを見れるのかは分からないが例によって思考を停止した。


いきなり世界が青くなる。

カーテンを閉めた部屋で電気を消すと世界は黒くなる。

そんな感じで青に染まった。


少しして世界が戻る。

何かは前通り畝っている。

いきなり人間が何かと戦い始める。

中世の騎士や日本の武士やB29や縄文人や核弾頭など無茶苦茶な大群である。

核弾頭など形容し難い形の足が生え自立している。

もちろんそんなものは例に漏れず無視した。


何かの姿は筆舌に尽くし難かった。

クジラやサカナのように見えるが、蛇や竜のような形の体躯、つまりは長細く、ワニのような口や腕や足に加えてギラギラの目におまけに今火を吹いた。

こいつはクジラサカナと命名した。

クジラサカナはウロコの上からもわかる筋肉質というか良い体格を持っていたが、

蛇か竜のようなので外見からはよく分からなかった。

内面はなぜか見れるが、夢である。


人類軍はクジラサカナの腹の鱗をおおかた砕ききったところである。

人類軍がかなり強いのは私が人類軍を応援しているからだろう。

しかし、私はまたしてもいきなり、クジラサカナは傷つくはずない、と思った。

瞬時にクジラサカナの腹は鱗がびっしりになり、騎士の剣や棍棒は折れていった。


私は映画鑑賞を妨害された時のような気分になり、クジラサカナの心臓を取り出して人類軍のそばに置いた。

クジラサカナはまだ生きているので、人類軍は心臓を破壊し始めた。

私がワクワクしながら見ていると、いきなり人類軍は帰っていった。

デウスエクスマキナに呆れてしまったのだ。

私はガックリした。

直後、本が降ってきた。

頭に当たる。

痛みは感じなかった。


本を読んでみる。

白色で表紙は英語であった。

大きく何か書いてある。

bookだろうか。

なんちゃらbookうんぬんである。

印刷を感じる字だ。

本にbookとは、すごい感性である。

夢なので良しとした。


内容を読む前に場面が変わった。


今度は大きな壁が一枚だけある世界である。

いや、床もあった。

配線もあった。

最初に見かけた配線と同じである。

それが何本もだ。

後ろを振り向く。

緑色の板を何枚も重ね合わせてできた壁がある。

板には白いヒビが入っている。

たまに白や黒の板も使われていた。

前の壁にはとても大きな窓が付いていた。鏡かもしれない。

壁を100として85ほどは窓である。


私はまたしても飛ぶ。

飛ぶことができ安心である。

窓に記号がうつる。

読めはしない。


ふとして私がいるのは壁の外ではなく中だと気づいた。

逆さだったようだ。

記号、否、鏡文字を読む。

鏡文字が増えるたび、自分の体が動いていることに気づいた。

鏡文字を読んだ。

私は自分が何者なのかを知った。

自分が飛んでいないことも知った。


……………………………


終わりです。

謎を解いてみてください。

ウミガメのスープのように質問には答えません。

私が提示する謎はこの二つです。


①主人公の正体

②主人公の最期


謎を解くのは難関、というよりそれの一つ上くらいの難易度はあると思います。

ヒントをよく読むことです。


ちなみにミスリードにも手が混んでいるので注意。


謎に対する空白も大きいですが気にせず頑張ってください。

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