魔法少女が復讐するようです

稲荷 和風

第1話 闇落ち

普通の女子高生だった私が、魔法少女になり、悪の皇帝「バットファング」を倒し、世界は平和と優しさに包まれる…はずだった。


しかし待っていたのは現実と絶望だけだった。

みんなで協力して6人でバットファングを倒したのに、5人だけの活躍とリーダーのピンクが話し、私の活躍は無かったことに…。


片思いしていた彼も、ピンクに取られ、何もかも失った。


戦いやゴタゴタのせいで学校の勉強にはついていけずに、部活もままならず、しまいには根も葉もない噂を流され退学へと追い込まれてしまった。


もう…心がバラバラに砕け散り、屋上でただ泣くしか無かった。


そんなとき、誰かの声が聞こえてきた。

???「もう一度世界を絶望で染めましょうよ?」


「誰っ!?」

思わず声が出てしまった。


背後から笑い声と気配を感じる、しかし後ろを振り向いても誰もいなかった。


「こっちだよ?」「いやいやこっちだよ…、」

「どこを見ているんです?こっちですよ?」

「ふふふ、ここですよ?」

あちこちからあの声が聞こえ、頭が痛くなる。

「嗚呼……きっとこれは幻聴なんだ…、私はもう…疲れきってしまった。」


そう深く落ち込んでいると、背後からいきなりピエロ姿の仮面の男が現れた。


「ごきげんよう。」


いきなり声が近くから聞こえ、驚き後ずさりしてしまった。


ピエロの男は笑いながらゆっくりとこちらに迫ってくる。

とうとう、壁へと追い詰められて、ピエロの男に捕まってしまった。


ピエロの男「はじめまして、私はジョーカーと申します。以後お見知り置きを…ふふふ…。」


「何よ……、何よ何よッ!!もう放っておいてよ!」

日頃のストレスが引き金になり、爆発してしまった、


ジョーカーを押しのけ、教室に戻ろうと、屋上の扉を開けようとしても、鍵がかかっているのか、扉が開く事はなかった。


ジョーカーは崖っぷちの私に優しく声をかけてくれた。


ジョーカー「私はただ、あなたを助けたいだけなんですよ。あなたは苦しくても、仲間に省かれても、勉強がうまく行かなくても、前を向いて、ただ世界に平和を取り戻した…にも関わらず、世界を救っても自分の手柄を全部横取りされて、勉強もままならず、唯一思いを寄せていた相手も、取られちゃいましたもんね?」


私は何か言い返そうにも、言葉がつまり、涙が流れるのをただ止めようとすることにはできなかった。


ジョーカー「よく頑張りましたねぇ?あなたの心の傷、私にすごく伝わって来ますよ…?心がほとんど砕け散り、空っぽになってしまっている。英雄にあるまじき結末ですねぇ、」


ジョーカーが私の胸に手を当てた途端、それまでの苦しみや痛みが引いてゆく、


ジョーカー「ちょっと失礼…、あなたの心の様態を見せてください。」


言い返せない私の心に溶け込み、それまでの傷が言えてゆくジョーカーの力。


ジョーカー「痛いのはもう、終わりにしましょ?私に協力していただければ心の傷なんて、瞬時に治して差し上げますし、あの憎いリーダー格のピンクにだって、倍返しができるんですよ?どうです?」


ジョーカーの言葉にそのとおり、という思いが強くなってゆく、


ジョーカー「よく言うでしょ?努力すれば必ず誰か見てくれるとね、でも現実はそんな甘くない、それはあなたもわかっていた。あなたはあの魔法少女達より少し大人、だからより苦しみや痛みが続く。私あなたの事結構気に入っていたんですよ?」


ジョーカーの言葉にに少し顔を上げてしまった。


ジョーカー「あの子達より思考も判断力も長けていた、だけどあなたは、あの子たちに霞んでしまい、しまいには…お払い箱ですもの、その上世界を救えば、また辛い現実が戻ってくる。それよりは私と一緒に世界を壊し、楽しい世界でともに過ごしましょうよ?」


心が疲弊しきっていた私に、ジョーカーの言葉と力は唯一の救いだった。


気づけば私はジョーカーの手を取っていた。


これから、私の復讐が始まる。

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