第4話 ミユ、過激な撮影?
寺王シロとヤっちゃった日の夕方。
「へへ、また来ちゃった♡」
今日はバイトがないのでまっすぐ家に帰ったら、玄関前にヤツがいた。
自称俺のことが好きな処女ビッチ志望者、是田ミユだ。
体調不良で休んでたんじゃないのかよ。
「あれ? なんか不機嫌だね、芦間くん」
当然だろう。
このあと寺王シロとの営みを思い出しながら自家発電する予定だったのだ。
それをこの女……。
「いろいろ考えたんだけど、処女ビッチになるためには、ビッチに詳しい芦間くんから学ぶしかないなって!! だから、また来ちゃいました!!」
「…………まぁ、上がりなよ」
「はい、ぶぶ漬け」
「さっそく帰らされようとしてる!?」
「それよりさ、是田さんのーー」
「ミユって呼んでほしいな。『新感覚誰とでもヤル系女子ミユっち』ってあだ名考えたの」
「……新感覚誰とでもヤル系女子ミユっちの目標はビッチになることだけど、それって根底にあるのは寺王シロへのライバル心なんだよね?」
「う、うん。シロちゃんは大事な友達だけど、私だって負けてないってとこをお見せしたい」
「それは他の科目じゃダメなの? たとえば勉強とか、スポーツとか」
「え、本気で言ってる?」
あぁ〜、そっか。
すまん、忘れてた。
寺王シロは勉強が得意なんだった。
あんなキャラして。
定期テストは全教科学年一位は当たり前。
全国模試でも上位一桁に入るらしい。
たしか、生後一ヶ月でフェルマーの最終定理を証明してみせたんだっけな?
「シロちゃんは毎年東京マラソンに参加するくらい体力あるし、チーターより速いし、スポーツでも勝ち目ないよ。私が勝てるとすれば、女としての魅力しかないの」
と、しょんぼり気味のミユ。
違うや、新感覚誰とでもヤル系女子ミユっちだったや。
「それで芦間くん。私はどうやったら処女のまま芦間くんが喜びそうなビッチになれるのかなぁ?」
それについてミユに伝えておかなくてはならないことがある。
何を隠そう、俺とではもう、幸せはじめて同士えっちはできないのだ。
何故なら俺は今日、まさに今日、超感覚誰とでもヤリまくり系女子シロっちに童貞を奪われてしまったから!!
とはいえ、素直に話すのも憚られる。
どんな反応をするのか想像できないし、このストーカー女のことだから刃物を取り出しかねん。
なんとか穏便に済むように伝える方法があればいいのだが。
「そういえば、男にチヤホヤされた経験は? 彼氏がいたことなくても、告白されたことくらいあるでしょ。ミユっちは可愛いんだし」
「へっ!! か、可愛い!? うへへ〜」
照れ方幼稚園児か。
「でも私、告られたことなんかないよ」
「へー、意外」
いや、意外でもないのか?
たしかーー。
「シロとは幼馴染だっけ?」
「うん」
なるほど、じゃあしょうがない。
シロは己の性癖によりミユの貞操を守ろうとしている。
あの女も中々頭のネジが飛んでいるし、ミユに近づこうとする男を片っ端から脅していそうだ。
「そっかぁ。でもビッチの必須条件は、男にチヤホヤされることなんだよな。その点、ミユは男から好奇の目を向けられたことがない」
「うん」
しかして学校の男子にセックスアピールをしても、シロに阻止されるだろう。
ならば。
「ネットを使うか」
「ネット?」
「ドエロい自撮りを上げまくって男にチヤホヤされよう。それが、ビッチへの第一歩!!」
男性に性的興奮をされることで承認欲求を満たす。
次第にどんどん過激な自撮りを上げるようになり、やがては誰もが認めるビッチにするのだ。
「自撮り……知ってるよ、えっちなやつだよね。シロちゃんもよくそんな写真上げてる」
「そうなの!? アカウント教えて!!」
「やだ。だって芦間くんが興奮するのは、私だけであってほしいもん!!」
「くっ!!」
うるせぇ!! いいから教えろってんだ!!
と怒鳴れたら楽だが、女の子に優しくしないとだ。
「私、やってみるね。えっと、下着姿になればいいのかな?」
「あ、うん。そうだね。じゃあ俺後ろ向いてるから」
「もういいよ」
振り返る。
うわ、なんだこりゃ。
上下で色も柄も違う。
でも、やっぱりデカいな、ミユの胸。
寺王シロよりデカいんじゃないか?
推定Lカップ……いや、Nか?
ミユは頬を赤くしながら、視線を逸らしていた。
「な、なんか恥ずかしいね」
「このおっぱいで処女は嘘だろ……。とりあえず自撮りを……あ、俺のスマホで撮るよ」
「自撮りじゃないの?」
「今日はね、とりあえずね。俺のスマホ、カメラ機能に自信ありだし、撮ったやつを後で送るよ」
「うん」
くくく、まさか同級生の下着姿を保存できる日が来るとは……。
さっそくスマホを構える。
頼むぜ俺のアイヒョーン。アンドロイド携帯よりカメラが優れてるって証明してくれ!!
「んじゃ、まずは自然なポーズで」
「えーっと。あ、いつも友達と撮るときのポーズするね」
ミユは左側に腰をくねらせると、右手を開いて前に突き出し、左腕の肘を顔の高さまで上げた。
まぁ、つまりは、
「金剛力士像みたいになってる!!」
「へへへ、シロちゃんが私のこのポーズ好きなの」
「どこの世界に下着姿で金剛力士するJKがいるんだよ!!」
「ひ、左腕、ずっと上げてるのキツイよー。はやく撮って!!」
「お、おう。はいチーズ」
「カッ!!」
「金剛力士像みたいな顔になってる!!」
「へへへ、シロちゃんがね」
「それはもういいッッ!!」
いくらミユが巨乳でも、金剛力士像に性的興奮する男なんかいねぇんだよスカタン!!
とまぁ、文句はありつつも、様々なポーズで何枚か写真を撮った。
即SNSでエロ垢を作り、顔はスタンプで隠して投稿。
あれよあれよと、ミユはエロ自撮りアカ主になってしまった。
「ビッチ化計画、いよいよはじまったって感じだね!!」
「そだね」
「で、でさ」
「?」
恥ずかしそうな、されど期待を込めた眼差しで、俺を見つめてきた。
「スタンプで顔を隠すなら、もう少し過激な写真でも……できそう」
「えっと、具体的には?」
「…………ノーブラとか」
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※あとがき
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ビッチ好きの俺に好意を寄せるのは学校一のビッチ……ではなくその取り巻きの処女かよ!! いくかいおう @ikuiku-kaiou
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