6.ジェネレーションギャップ(?)過ぎる夫がかわいい
おいたんは私より十三歳年上だ。
それゆえに、会話の端々にジェネレーションギャップと見られるものが発生する。
「職場のあいつがとっぽくてさ」
とっぽくてさ!? とっぽい!? とっぽ!? とっぽって何お菓子!?
両親に聞いてみたら、「昔の言葉よねぇ。言うわよとっぽい」と言われた。意味としては、『生意気な』みたいな意味を含んでいるらしい。
カラオケに行っても、おいたんは私が生まれる前に活躍していたミュージシャンの曲を良く歌う。逆に私は、多くの人は知らないマイナーミュージシャンの曲を歌う。
お互い聴いていてさっぱり分からない曲だらけなので、むしろそれが新鮮で面白く、恋人時代には足しげくカラオケに通ったものだった。
おいたんは、母が懐かしそうに話す昔話にも共感している事がある。むしろそっちの年代の人なの!?
うちの両親は団塊世代。おいたんは五十七歳だから、そこにもジェネレーションギャップはあるはずなのだけど、おいたんは多くの昭和の記憶を有しているのだ。
私はと言えば、昭和生まれではあるが八歳の時には元号は平成になってしまっている。昭和の記憶はそんなに多くはない。
でも、平成になった頃おいたんはがっつり成人していて二十一歳だ。その脳には多くの昭和の知識が詰まっている。
おいたんは考え方も昭和の頑固おやじみたいな節がある。でも、基本的に私に甘いので、そういう頑固さを私に発揮する事は無い。
ただ、以前風邪を引いた時に、お湯にニンニクと生姜とネギと少量の味噌を溶かしたものを飲まされた時には驚いた。
「身体が温まるから、飲め!」
そう言われてどんぶりいっぱいのそのお湯(?)を飲んだのだが、「これってニンニクと生姜を入れた味噌汁作っちゃダメなの?」と私は思ってしまったものである。
この飲み物も、母は知っていた。
「昔は飲んだわよねー」
やっぱ昭和の遺物なんだ!?
おいたんは、知らない事も多い。人生経験は豊富なのだが、楽しい事、面白い事、エンタメの世界の話などはほぼほぼその知識に含まれないのだ。
私が芸能人の話をしても、「誰?」といつも言われるし、流行の言葉も商品もサービスも何も知らないのだ。
それはもうジェネレーションギャップだけとは言い切れない気がするのだ。
私はおいたんにもっと楽しい事を沢山知って欲しいと思う。
季節のイベントや誕生日、ふたりの記念日とか、とにかく楽しい事を沢山知ってもらいたい。
芸能人に興味が無いのは仕方ないが、時には話題を共有したくもなるので少し寂しい気分にもなったりする。
それ故に、楽しい事を知った時のおいたんの破顔一笑はとてもかわいいのだ。これ以上ないほどの萌えである。
この笑顔を見られるのだったら、私はおいたんに楽しい事や美味しい物を沢山与えたいと思う。
おいたんには、人生を楽しんで欲しいのだ。
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