5.神様が大好き過ぎる夫がかわいい
前話で少し出てきたが、おいたんは神様にお祈りする行為が好きだ。
しかし、特定の宗教に入信しているわけではない。様々な宗教や霊界関係の本を読み漁り、自分なりの祭壇を作り、そして神に祈っているのだ。
おいたんが作った祭壇は、同じ台の上にふたつの宗教が含まれている。
左半分にはキリスト様とマリア様が祀られている。右側には天照大神とお稲荷様が祀られている。
こんな神様をまぜこぜにして良いものか? と思うのだが、それでおいたんの心が休まるのならばそれで良いのだろう。
結婚してからは私も毎朝おいたんが作った祭壇に祈りを捧げている。
おいたんは特に霊界に興味があって、物凄く難しい書籍を沢山持っている。
私も興味があったので、今では寝る前に数十分おいたんにそれらの本を朗読してもらっている。
この習慣はもう何年か続いていて、読んだ本は数十冊に上るだろう。たまにはライトな怪談の本やエッセイも挟み込むのだが、基本的には難しい霊界の本を読んでもらっている。
分からない所があれば、おいたんに聞けば分かりやすい解説が返って来る。
おいたんはお勉強は苦手で、レジでも小銭をあまり使えないタイプなのだが、霊界と宗教に関する知識だけはガチだ。
そんな、難しい本を朗読しながら、「言い回しが難しくて良く分かんねーなー」と言っているおいたんを見ていても、かわいいと思うのだ。
神様が好きすぎて日々神様に祈っているおいたん、時には人生が上手くいかなくて聖書を捨てようとしたおいたん、それでも結局は神に祈る事を選択したおいたんをかわいいと思うのだ。
人は、弱い。
それ故に、縋るものがあった方が心を強く持てる事もある。
いざという時、どうしようも無い時、神に縋ってもいいし神を罵倒してもいい。必死にお願いをする事もあるだろうし、その結果に感謝の祈りを捧げる事だってある。
おいたんは、そういう事を私に教えてくれた。
今では私も日々神に祈らないと気持ち悪いと思う体質になってしまった。おいたんの影響力は半端ない。
元々私は宗教二世だ。母が入信する新興宗教に無理矢理に入れられていた人間だ。
だから、私にとって神に祈る事は日常だった。
大人になって、母が信じる神様と私の考えが合わないと分かって、私だけ脱退するために数年間の月日を要した。そんな苦労も私にはあったのだ。
おいたんは、私に祈りや神様を強要しない。あくまで私の自主性に任せておいてくれている。
だからこそ、私にとって『おいたん教』は心地良いのだ。
私にとって、おいたんこそ私の光であり神様だ。だから、私はおいたんが信じる神様は信じる。
結局のところ、それなのだ。
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