2.鼻の穴を膨らませて好物を食べる夫がかわいい
私の夫、『おいたん』は、一般的な人よりも少々食い意地が張っている大食漢だ。
それでも超デブというわけではないのは、一重においたんの仕事が体力勝負の力仕事だからだろう。
おいたんは毎日おにぎりをふたつお昼ご飯に持って行くのだが、ふたつでお茶碗なみなみ三膳はある大きさだ。
朝ご飯は小さなチョコレート一個とヨーグルトとコーヒーのみなのだが、夕ご飯となるとそれはそれは凄まじい食欲を発揮する。
大盛りのおかずにお米は二膳。パスタなら二人前にパンも沢山。ラーメンなら大盛りにした上でライスも付けて。蕎麦やうどん、そうめんなんて「これは富士山か?」と言わんばかりの盛り具合をぺろりと平らげてしまう。
そんなおいたんは、好物のお菓子やアイスを食べている時、鼻の穴がぷくーっと膨らんでいる。好物を食べる時、無意識で鼻の穴が膨らむらしいのだ。
その姿がかわいくてかわいくて。ついついずっと見ていたくなって、ほいほいとおいたんに食べ物を与えてしまう。
さすがに毎日アイスは血糖値が心配だから、バナナを凍らせたバナナアイスと一日置きにしてもらっているが、それでもおいたんは日々鼻を膨らませてデザートを食べている。
柿ピーを食べていても、クッキーを食べていても、好きなものを食べている時は鼻の穴がぷくーっと。何とも言えない気を抜いた姿である。
おいたんと私が私の実家で両親と同居して数年経つが、委縮する事無くリラックスしている姿を見ると嬉しくなってしまう。
両親、特に父はおいたんが食べる量を見て、毎日のように「信じられない」と言うが、肉体労働者はとにかく食べる事も必要なのだ。
おいたんはそもそもが板前を二十五年やっていたらしいのだが、そこをリストラされてからは産業廃棄物業者や物流関係を転々としていて、基本的に肉体労働をして来た人間だ。
板前の時は「勉強」と称して食べ歩きをしていて、今より大分太っていたらしいのだが、ダイエットをしたり肉体労働をしたりしている内に、今のちょいぽっちゃり体型に落ち着いたらしい。
ただね、おいたん。君が食べる勢いで私に勧めて来るのは止めてくれるかな!?
私はおいたんとは違って血糖値がレッドゾーンの超肥満体だ。おいたんと結婚してから二十キロは太ってしまった。
私がここまで太ったきっかけは薬の副作用っていう何とも言えない事情なのだが、食べる量が多くなったのはおいたんの影響もあるだろう。
おいたんがあんまり美味しそうにご飯を食べてくれるから……つい、私も、ね……。
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