ありがちのタイムパラドックスでは無い面白さ

主人公が不遇で、人生をやり直す物語は確かにありがちですし、タイムパラドックスの要素はスティーブン・キングの「デッドゾーン」を思わせる部分がありますが……

そんなシリアスな要素を巧みに配置しながら、この物語の本領はそこに留まりません。
中年男の感性で、改めて高校時代の初々しい恋に接する戸惑いやときめきがとてもリアルで、読み進める内、他人ごとに思えなくなっていくのです。
又、時にシニカルな味わいを含むコメディ・パートも秀逸。

しっかり張られた緻密な伏線がラストへ向けてどう回収されていくのか、個人的にも楽しみで仕方ありません。