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足の裏がすごく冷たかった。この廊下は床が冷たい。まるで氷で作られているようだった。試しに前足の裏を確認してみると、ぼくの肉球は真っ赤に腫れていた。それを確認したぼくは四本の足をできるだけ均等に使うことで、なんとかその冷たさを回避しようとしたのだけど、それはあまり意味がない行動だったようだ。ぼくの四本の足はすぐに四本とも真っ赤になって、ついにはなんの感覚も無くなってしまった。だからぼくはしばらくの間、廊下を歩くことを諦めなくてはならなくなった。
ぼくは体を丸めて廊下の真ん中にじっと座り込んだ。寒さは相変わらずで、だんだん足だけではなくて、ぼくの体全体の感覚が失われていった。きっと、そのせいなのだろう。ぼくはなんだかとても眠くなってきてしまった。
……夢を見ているということは、ぼくはもうすでに眠っているはずなのに、その夢の中でもまた眠くなってしまうなんて、……ぼくはそんなに眠ることが好きだったんだろうか? と、そんなことを不思議に思った。
それとも夢の中で眠るという行為は現実への帰り道なのだろうか? それはありえそうな話だった。現実の世界で眠りにつくことによって夢の世界へと移動したぼくの意識は、夢の世界の中で眠りにつくことによって再び現実の世界へと回帰する……。そういう仕組みでこの二つの世界は繋がっているということだ。……うん。悪くない考察だ。それはいかにもありえそうなことだった。きっと神様がそういう風に、この世界の仕組みを作ったに違いないのだ。
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