第2話 ウェルシュ・ルシファー
ネクロマンサー…それは契約した者が恨む人物を殺し契約者に刻印をいれる…刻印を入れられた者は、祟り殺される
刻印を入れられて3日間生きてこられた人は存在していない
この物語は、貴方と同じ何の力も持たないただの人間が描いた物語
2024年12月○日月曜日○県
私の名前は柴崎茜、ごく普通の中学生だ
私には誰にも言えない秘密がある、それは…
「おはよう、茜」
「お、おはよう、大和くん」
この男の子の名前は山城大和、私の幼なじみで私の片思いの相手なんだ…好きって伝えるだけの勇気もなければ根性もないから、いつも控えめになってしまう
「昨日のUFOが出た!って番組みた?あれめっちゃ面白かったよな!やっぱりUFOってあるのかな?」
「見たよ!私はUFOが居るって信じてるよ」
大和くんは、疑問に思ったのか尋ねてきた
「どうしてUFOを信じるんだ?俺が言うのもおかしいけど、やっぱりお前変わってるな」
私は自信満々に答えた
「だって、そっちの方が面白そうじゃん!居るか、居ないかでは、居てくれた方がいいからね、これは私の考えじゃなくて願望?なのかな」
大和くんは鼻で笑った
「やっぱお前って変なヤツ~、でも、お前としゃべってて楽しいよ」
もうっそんな可愛い顔されたら私なんて言えばいいか分からないよ~
「あはは、そうかな?」
なんだかちょっと素っ気なくなっちゃった…
お互い話すこともないのでさっさと学校に向かった
こんな過疎地にあるのは、通りすがりに声を掛けてくれるお婆ちゃんの笑顔と沢山の畑しかないけど…私はここが大好きだ
「じゃあ俺、朝練だから急ぐわ」
「うん!サッカー頑張ってね」
「おうよ!」
大和くんと別れてすぐ
「茜じゃん!おはよう!」
「おはよう!綾音ちゃん」
この子は桜綾音ちゃん、中学生になって独りぼっちだった私に声を掛けてくれた心優しい子だ
「何々?大和くんと合い挽きかな?」
なっ!違うよ!
「そんな訳無いじゃん!」
私は恥ずかしさでショートしそうだった…
どうやら、綾音ちゃんにはお見通しだったみたい
「ねぇ、昨日出来たお店知ってる?」
「知ってるよ!確か宝石を売ってて、名前は、ネクロマンスだったっけ?」
妙な店の名前だなぁ、ネクロマンスって魔法使いみたいね
綾音ちゃんはワクワクした様子で言った
「じゃあさ!放課後さ一緒に行こうよ!絶対楽しいよ!」
面白そうだけど…私、お金全然無いんだよね~
見るだけなら…いいよね
「うん!いいよ!」
「じゃあ、放課後ここに集合ね!」
「分かった!それじゃ私こっちだから…」
綾音ちゃんは名残惜しそうに言った
「そうだね、それじゃバイバイ~」
実は私と綾音ちゃんは違うクラスなのだ、なのに孤立していた私を見つけ話かけてきてくれたからとっても勇気のある凄い子なんだよ!私の自慢の友達なの、でもどうせなら…一緒のクラスが良かったけど、贅沢言っちゃ駄目だ!神様が機嫌を損ねちゃう!
1時間目は…え~国語か…私国語苦手なんだよね
だってさ、文章を読んでその登場人物の心情を読み取るなんて魔法使い位じゃないと出来ないよ!
それと段々眠たくなって毎回寝ちゃうんだよね~こんなの神様が見てたら私、殺されちゃうね…
6時間目終了
やった…やっと終わったんだ…私はこの運命の袋小路から逃げ出す事が出来たんだ!
早速、綾音ちゃんの所に行かないと!待たせちゃう…
私は決められた場所に向かうと、綾音ちゃんとバッタリ遭遇してしまった
「お!茜じゃん、これじゃ集合場所決めた意味無いね!」
「そうだね、早く行こうよ、私、待ちきれないよ」
この時私は知らなかった、いや、知る術もなかった…あんな醜くて酷い惨劇が起こるなんて…
私達は宝石店ネクロマンスについた、お金は持ってきて無いので、眺めて楽しむつもりだ
「茜!見て見て!めっちゃ綺麗だよこの宝石!
ルビーかな?」
綾音ちゃんは興奮を隠しきれていない様子だった
「このエメラルド高そうだな…こんなに高いの!?お小遣いじゃ買えないよ…」
綾音ちゃんはご機嫌そうに言った
「プププ、茜の貯金当ててあげるよ…ざっと8千円だね!」
「外れ、正解は300円だよ!」
綾音ちゃんは相当面白かったのか、腹を抱えて笑っている
「300円て、駄菓子位しか買えないじゃん!アハハ」
「綾音ちゃん~?私怒るよ!」
「冗談だから、許して~」
こんな他愛の無い会話が出来る日々が永遠に続けばいいのに、そうすれば私は壊れずにすんだのに…
宝石を見るのに飽きたのか、綾音ちゃんが言った
「ねぇ、もうそろそろ帰ろっかー」
「そうだね、帰ろっか~」
私もそろそろ塾の時間だったから…本当はちょっと名残惜しいけれど…
私達は店を出ようと扉の前に立った瞬間に
ブーッブーッブーッ
万引き防止のブザーが鳴った、
「君、ちょっといいかな?」
「え!?」
「は!?」
私も綾音ちゃんも突然の事で、すっとんきょうな声を出してしまった
「君だよ、君!」
店員さんは、指を指して言った、指は私を指していた…
「そ、そんな!私知りません!!カバンの中だって」
ジャラジャラ、金属の音がした、その瞬間、場が固まった
「このネックレス、300万だよ?君払えるの?ちょっと店の奥きて貰うよ、警察今から呼ぶから」
そ、そんな!そんな事をされてしまったら…私の華やかな学園生活にピリオドが打たれてしまう!
そうすれば私は、学校でまた、独りぼっちに逆戻りだ…
そんな時、以外な人物が声をあげた
「お願いです!!どうか…茜を許してやってくれませんか!?茜は日頃の勉強のストレスで…きっと悪気は無かったんです!お願いします」
綾音は店員さんに土下座した、プライドの高い綾音がそんな事をするなんて…
「そうなのかい?じゃあお嬢さんに免じて今回は不問とするよ…2度目は無いよ」
「ありがとうございますっ!」
私達はさっさと宝石店を出た、こんな思いは二度とごめんだ
「ねぇ…茜…」
ドキッとした、怒られる…そう思ったが…
「もうっ二度とあんな事しないでね!私っ私は、茜があんな風に責められてら所なんて見たく無いのよ!」
目に涙を浮かべ顔を真っ赤にして叫ぶ綾音ちゃんに私もつられて、
「うん!もうしない…」
本当に私は知らない…知らなかった、なのに認めてしまった、綾音の圧力に負けて容疑を認めてしまったのだ、私は今日から薄汚い犯罪者なのだ、純白の私は脳天をぶち抜かれて死んだ…
この時の私はまだ知らなかった、この騒動はあの惨劇の序章に過ぎなかったって事に…
次の日
朝、私はよく眠れなかった、だってあんな出来事が親に知られれば…そう思うだけで怖くて…昨日の事なんか無かった事にしたいが、現実はそう甘くないのだ
学校に出る支度をし、家を出る前にふと、テレビを見ると、とても興味深い話題だった
「○○中学校の中学1年生の龍田時雨さんが、何者かに、頭をピストルらしき物で打たれ死亡する事件がありました、友達の西条遥香さんにインタビューして見ました、映像をどうぞ」
画面が移り変わり、私と同じ位の女の子が出てきたが、何か変だった、顔が真っ青で眉間のシワが谷の様に深かった
「西条さん、貴女はこの事件についてどう思いですか?」
途端に黙り込んでいた彼女が喋り出した
「決まってますよぉ!…それは幸福屋の仕業だ!そうに違いないっ!真理亜だって幸福屋に殺られたんだよ!あははははは」
何を言ってるの…?怖いよ…幸福屋?新しいアニメかゲームかな?そんなお店の名前在ったっけ?
テレビの人が言った
「幸福屋とは…?何ですか?」
西条さん?は吠える様に喋った
「幸福屋は、幸せを前借り出来る所!」
テレビの人は冗談半分に言った
「幸せを前借り出来るなんて…やっぱり幸せって返さないといけないんですかね?」
「当たり前だよ!…そのせいで!時雨も真理亜も死んでしまったんだ!!!」
こりゃ驚いた、こんなおとぎ話じみた話が在るなんて…気付けば時計の長い針は50を指していた
「ヤバい!遅刻する~」
私は、素早さを数値化するなら間違いなく135はある位に急いだ。
教室に着き、扉を開けた途端…
「おい!柴崎、10分遅刻だぞ!次は無いからな!」
担任の岡山に怒られてしまった、うるさいなぁーもぅ
「今日は、転校生を紹介するぞ~、入ってきてくれ」
何っ?!転校生だと?珍しいなこんな田舎じみた町にやって来るなんて、相当物好きなんだろう
「ウェルシュ・ルシファー、ルーシーと読んでくれ、これから宜しく頼む」
なんと!外国人だったのか!金髪ツインテールか、ゲームとかアニメのキャラクターみたいだね
「席は…柴崎の後ろが在るからそこに座ってくれ」
えぇ!?いきなり過ぎない!?私そういうの無理なんですけど
「了解した」
通りすがる瞬間にルシファーちゃん通称ルーシーが、私にとって一番嫌な事を言った
「昨日は散々だったな…何かあったら…私を頼ってくれ…力になるぞ」
昨日って…!どうして、どうしてルーシーが知ってるの!?今日知り合ったばかりなのに…
もしかして何か、事件の予感が…?
私の心配は杞憂に終わり、綾音ちゃんを誘って帰ろうとしたら、
「いたいた~、茜、一緒に帰ろうよ、」
「うん!いいよー」
「私ね、美味しそうな、パスタがあるお店見つけたんだ~一緒に行かない?」
行きたいんだけど…ちょっとお財布事情が…ね
だから…
「ごめんね、遠慮するよ」
その瞬間綾音ちゃんは、魔女みたいな、邪悪な笑みを浮かべて言った
「ふーん、いいんだね?私にそんな事言って」
「いいよーだ、だって私、茜ちゃんだも~ん」
「昨日…助けたの誰だと思ってる訳?茜は恩を仇で返すの?」
嫌な予感がした、出来ればこの予感が外れて欲しい…じゃないと私は、私じゃいれなくなる…!
「先生に…言うよ?いいの?」
予感が的中してしまった、綾音はこれを理由にずっとこれから永遠に私をパシリにするつもりだ!
でも…今回だけだよね?今回だけだったら…
「分かったよ…助けてくれたのは、綾音だもんね…」
私達はお店に向かった…
綾音は満足そうに言った
「ふぅ、食った食ったぜ、旨かった~」
私は素直に笑えなかった
「……そうだね、お会計しようか」
「それじゃ、茜、お願いねー」
「うん…分かった…」
値段は、6900円!?たったのパスタ2つとドリンクバーだけで…この値段なんて…
「6900円ちょうどお預かりしましたー」
お会計を終えた私に綾音が言った
「次も宜しくね?」
私は、ただ返事をすることだけしか出来なかった
「……………分かってるよ……」
それからも綾音の脅しはエスカレートしていった
綾音は何かある度に私を脅して高額な買い物をさせていった、殴られる事もあった…
でも…歯向かったらあの事を先生に言われてしまうかもしれなくて…それが怖くて…怖いよ…
私は綾音の言いなりになるしかないのかな?
もう昔みたいにかけがえの無い友達には、戻れないのかな?主人と奴隷の関係でしか…私達は接する事が出来ないのかな…?私が解放される事は無いのかな?
「もし…綾音ちゃんを殺せたら…」
駄目だ!人殺しなんて…絶対にやっちゃ駄目だ!
だからと言って誰にも相談出来ないし…
「茜…?お前…」
振り向くと、大和くんがいた、どうやら私の独り言を聞かれたようだ
「茜!お前何かあったのか?あんなにも仲良しだった、綾音を殺すなんて…」
「大和……くん」
気付けば私は、泣いていた…心の奥に秘めた想いはまだ、消えて無かったようだ
「俺さ、ずっと、お前に言おうとしてた事があるんだよ…」
「何かな?」
大和くんは顔を赤らめて言った
「俺!お前が…好きだ!だから…俺と付き合ってくれませんか!?」
大和くんが…私の事が好き?!つまり両想いってこと!?答えは決まっていた
「はい!宜しくお願いします…」
嬉しくて死にそうだった、あんなにも疲れきって、渇ききった心に潤いが戻る…そんな様な感覚がして私は、嬉しかった…
私は、こんなに嬉しい気持ちになったのは久しぶりだった、もう2人だけでどこか遠くに逃げ出したい位に…誰にも邪魔されたくない…邪魔するのなら例えどんなに強い人でも私は、容赦しないよ…
深夜1時14分…突然のメールに私は起こされた、綾音からだった
私はメールの内容に驚かされた…
「お前…大和と付き合ったらしいな?誰がそんな事許した!この犯罪者が!今すぐ別れろ、じゃないと、先生に言うよ?」
そんな…いや、負けるな…負けてたまるか!
反抗してやる…もしかしたら、綾音も善意の心を取り戻してくれるかもしれないし…
「そんな!どうして、貴方にそんな事決められないといけないのよ!?」
次の瞬間私ににわかには信じられない事が書かれていた…
「特別にお前に教えてやるよ、お前のカバンにネックレスが入っていたのは…私の仕業さ、私はずっとお前が気に食わなかったんだよ!成績優秀、スポーツ万能で欠点が何も無いあんたの事が!
ずっと憎かった、ずっとお前の事がうざかったんだよ!だから決めたんだ、私がお前の大切な物を奪ってやるってね!実はね…此処だけの話、私も大和くんが好きだったの、最初はお前に譲って上げようと思ったけど、私のプライドがそれを許さないくてね…この作戦を決行したわけさ」
私は言葉が出なかった、裏切られた…その想いが頭を全て支配した、そして私は復讐心に駆られた、復讐せずにはいられない
取り敢えず、寝よう…話は明日からだ、殺す準備も怠らずにね…
次の日
朝、私は、準備を済ませ、復讐について調べたら
興味深い動画を見つけた
「復讐代行人…ネクロマンサーのウェルシュ家?
確か、ルーシーの名字はウェルシュだったよね?」
その動画を見てみると、ネクロマンサーについてまとめられていた、簡単にまとめると、ネクロマンサーは依頼者が恨む人間を祟り殺してくれるらしい、だが、任務達成後に依頼者の胸には、刻印を入れられるらしい、刻印を入れられた人間は余程の強運でなければ、3日で死んでしまうらしい
「ルーシーに詳しい話を聞いてみよう」
そう決めた私は家を出た、間も無くして学校に着いた、教室の扉を開けた瞬間、ウェルシュ・ルシファー、通称ルーシーと目が合った
「その顔じゃ、私に何か用があるんだろ?」
私は決心して言った
「お願い!綾音を…殺して!私、もう耐えられない」
「分かった、勿論、代償は解ってるね?」
「えぇ勿論よ、刻印でも何でもいれて頂戴」
ルーシーは黙って教室を出た、行き先は、綾音の教室だ…私は思わず付いていってしまった
「桜綾音…いるか?」
クラスがざわめく中、綾音が出てきた
「此処にいるけど…どうしたの?」
「話がある、ついて来て欲しい…」
綾音は、何も疑わず付いて行った
馬鹿め!!ルーシーはネクロマンサーなのだぞ?
「こんな人気の無い場所に呼びこんで何のつもり?もしかして愛の告白?残念だけど、私は女に興味無いんだけど」
「お前…死ぬ覚悟は出来たか?」
綾音は相当驚いたのか、尻餅をついた
「あ、あんた何言って…」
バンッ
気付けば、綾音の胸に大きな穴があいていた、これは、確実に即死だろう!!やったぜ!
「あ、刻印が入ってる」
それは赤黒くてコップの底位の大きさで、ドラゴンのマークが刻まれていた
「その刻印は"ライフディバイド"お前は3日のうちに死ぬだろう」
は?私が?3日で死ぬだと!?ふざけるな!やっと幸せを手に入れたんだ、簡単に死んでたまるか!
「運が良かったな、お前位の憎悪を持った人間なら、普通は即死だぞ」
「どうやったら、私は死ななくて済むの!?」
私の希望は簡単に打ち砕かれた
「無い」
どうやら、私は"死"という概念からは逃れられないらしい
「残りの人生を謳歌するんだな、人を呪わば穴二つ…って言うだろう?」
私は頭の中が真っ白になった、ただの中学生に余命3日は受け止められない、
私は早退した。運命から目を背けたかった…ただそれだけの理由で…沢山の人に迷惑をかけた
やっぱり私は生きてるだけで、誰かに迷惑をかけてしまう…生まれてきてごめんなさい…
私はもう後戻り出来ない…人殺しだから…
最後は嫌われながら死んでいくのかな…?
嫌だ…死にたくない…死にたくない…
私は泣き疲れて眠ってしまった…
23時17分
メールが来た、大和くんだ、メールの内容は
「おい、今日どうしたんだ!?早退するなんて、お前らしく無いぞ」
私らしい?私らしいって何?自分の私情だけで人殺しに成り下がる様な下道を演じろって言うの!?
「私らしくって何よ?」
冷たく返信した私だったが、帰って来たメッセージはとても暖かみがあった…
「さぁ、よくわからん、だけど、お前が悲しんでる…って俺は思うんだ
俺で良ければ、話を聞かせて欲しい、お前の力になりたいんだよ!だから、誰かに迷惑かけたっていい、その代わり俺を頼ってくれ、信用してくれ!」
なんて…なんて馬鹿なんだろう、だけど、とても暖かい…
「実はね…」
私は大和くんに全部話した、綾音に脅されて毎日毎日高い物を買わされたことも、ネクロマンサーを使って綾音を殺したことも、後残りの命は3日だってことも、全て話した、嫌われるかもしれなかったけど、私が死んだ時悲しく無くなるって思ったら…
「やっぱり、こんな話すべきじゃ無かったね
ごめんね…幻滅したよね…」
「そうか…だったら今日抜きにして、残りの2日遊びまくろう!」
なんて…馬鹿なんだろう…でも嬉しい…
人殺しの私が、そんな幸せ受け取っていいのかな…?
「今日は寝よう、明日に備えるぞ、明日の学校サボって1日中遊びまくるぞ!」
「うん!よろしくね!お休みなさい」
「お休み~」
私達二人は、時間を忘れて遊んだ、小さい頃に戻った様に、遊んだ…
そして…最終日を迎えた、私は今日の18時に死ぬ
らしい、やはり私は死ぬのが怖いらしい、身体の震えが止まらない、現在時刻は17時57分、大和くんが隣にいてくれなかったら私はもうとっくに駄目になっていただろう…いや、人を殺した時点でもう私は、私では、無くなっていたのか…
人殺しにはふさわしいバッドエンドだな、人を呪わば穴二つ…私にぴったりな言葉だ…
「大和くん…私もう死ぬみたい…最後に一つ聞いてくれない?私伝えたい事があるの」
大和くんは、泣きながら頷いた
「私ね…大和くんが励ましてくれて…私嬉しかったんだ…この人だったら、信じられる…そう思ってね」
「………………」
「愛してる、愛してます…私は貴方を愛しています………」
「おい!茜っ!茜っ!返事してくれ!俺は…俺もだよって言ってあげられなかった…神様頼むよ、後10秒だけでいいから、茜と話させてくれ!
………誰だ?」
「おぉ、これは、これは、実に面白い…」
「何が面白いってんだ!!」
「私と契約して刻印を刻まれて死んだ人はみんな、恨みや劣等感を抱いて成仏出来なかった…死ぬ間際まで、笑っていたのか…お前程の人間なら道を踏み外さずとも、綾音と解りあえたかもな…」
最後にルシファーが聞いたのは、一人取り残された悲しき男の悲痛な叫びだった
「今回、私の出番無かったね」
幸福屋が呟くと、その影から人影が出来た
「ウェルシュ・ルシファーが動き出した、気をつけろ、最悪死ぬぞ…」
「ハイハイ、分かってますよ~っと」
呆れた様に人影は言った
「次は、お前も動けノルマが危ういぞ」
「了解」
呪縛霊子さんは幸福屋である 紫時雨 @kabao555
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